2016年の通訳のお仕事①伊香保ハワイアンフェスティバル
今回は番外編として、【文化の通訳】についてお話したいと思います。
【文化の通訳】とは、日本人スタッフ(企業)と外国人スタッフ(企業)間にある
「文化の溝」を埋めることです。
どんな溝があるかと言うと…
《日本サイド》
遅刻ばっかりして!(実際に2~3分現場到着が遅れてる場合が多い)
自社製品をゴリ押ししてくる!(外国人にとっては普通のアピール)
《外国サイド》
えっ?遅刻?ちゃんと来たじゃない?2~3分遅い?別にそんなの大丈夫でしょ?
(遅刻のうちに入らないと思っている)
自社製品の良さをわかってもらわなくちゃ!(日本人がたじろいでいるのに気付かない)
今思いつくのはこんな感じです。これは実際に私が長期で入った通訳の現場で起こったことです。
遅刻に関しては、日本サイドへは「南国タイム」であることを説明し(マレーシア人だったため)、
外国サイドへは「日本の10分前行動」の慣習を説明します。
製品のアピールに関しては、日本サイドへは「外国は押しが強いことが多い」と説明し、
外国サイドへは「日本人は押しが強いのは好きじゃない(謙虚なのがいい)」と説明します。
こうして、少しでも双方のわだかまりが少なく、お仕事をスムーズに進められるように、
双方の文化の違いを通訳します。
厳密には、【通訳】という仕事の範囲外ですが(実際に「そこまでするの?」と驚かれたことがあります)、
ちょっとした誤解を解くことで関係がより良くなるのですから、そのお手伝いをしたいと思っています。
ビジネスの世界では、誤解したままでお互いに損することを最も避けなければならないと思うからです。
完全に理解はできないまでも、文化の違いを知ることによって、そこからの歩み寄りが大事だと思います。
過去に、外資系小売店が自社のやり方を日本の新店舗のスタッフに教育し、
そのスタイルを変えないままでいたところ、あっと言う間に閉店撤退となったそうです。
日本の消費者の心を捉える、「文化の溝」を埋められなかったのでしょう。
またその逆で、海外へ進出した日系企業が現地の文化慣習を取り入れながら、
現地従業員に日本流サービスの教育をしたところ、開店当初から順調な売上だったそうです。
こちらは「文化の溝」を埋められましたね。
皆さまに気持ち良くお仕事をしていただくために、今後も【文化の通訳】を続けていこうと思います。