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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

質の高い食事が脳を大きくする?

2018年5月30日

テーマ:医療マメ知識

コラムカテゴリ:医療・病院

質の高い食事が脳を大きくする?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘質の高い食事が脳を大きくする?’という報告です。

 脳機能を明敏に保つためには食事内容を見直すのが良いようだ。オランダの研究で、野菜、果物、ナッツ類、魚が豊富な食事を取っていた人は、栄養が不十分な食事を取っていた人に比べて脳のサイズが大きいことが明らかにされた。研究の責任著者で、エラスムス大学メディカルセンターの研究者は、「健康的な食事を続けることは、高齢者が思考力や記憶力といった認知機能を維持し、増強するために有用な可能性がある」と述べている。

 今回の研究では、研究開始時点で45歳以上であった4,213人(平均年齢66歳)を対象とした。参加者には約400種類の食品が記載された質問票を用いて、最近1カ月に食べた食品の種類と量を記入してもらい、食事ガイドラインに基づいた0~14のスコア(14が最も健康的)で食事の質を評価した。平均スコアは7であった。さらに、脳MRI検査を行い、参加者の脳容積を測定した。

 その結果、高血圧、身体活動、喫煙など、脳容積に影響を及ぼす他の因子を考慮して調整した解析でも、食事の質が高いほど脳容積が大きいことが分かった。最も健康的な食事を取っていた人は、最も不健康な食事を取っていた人に比べて脳の容積が約2mL大きかった。同氏によると、加齢とともに認知機能が低下するリスクが高まることが知られており、全脳容積は1歳年を取るごとに3.66mL減少することが分かっているという。つまり、2mLという脳容積の差は約6カ月分の老化に相当すると、同氏は説明している。質の高い食事が脳に良い理由としては、今回の調査で健康的な食事をしていた人たちは、脳が発達する若い時期から十分な栄養を摂取していた可能性が考えられるという。

 米アルツハイマー病協会(AA)理事は、健康的な食事により全身の血流も良くなると指摘している。「心臓に良いものは脳にも良い。心臓がよく動いていて脳に十分な血液を送ることができていれば、脳の機能もより向上する。また、アルツハイマー病の原因とされるアミロイドβやタウ蛋白を除去するためには、脳の血流が良好でなければならない」とも述べている。

 食事は体を支える源でありますからある意味当然の結果かも?しれません。でも、本研究は45歳以上の参加者を対象にした研究ですから当たり前のことかもしれませんが、質の高い食事を摂取することは認知症を含めた脳機能を維持することには非常に大事かも知れません。

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