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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

高齢者は握力低下でうつ病リスク?

2018年3月18日

テーマ:運動の効用

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: うつ病 特徴うつ病 対策

高齢者は握力低下でうつ病リスク?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘高齢者は握力低下でうつ病リスク?’という報告です。

 筋力は、高齢者のメンタルヘルスにおける、修正可能な保護的要因である。性差のエビデンスにおいて、メンタルヘルスとその関連は限られている。アイルランド・リムリック大学の研究者らは、握力とうつ症状やうつ状態との横断的および将来的な関連について、性差の評価を行った。

 対象は、50歳以上の一般成人4,505例(女性:56.5%)。筋力の尺度として、ベースライン時に、手持ち式の握力計を用いて利き手の握力(kg)を測定した。対象者は、握力別に三分位に振り分けられた。ベースライン時と2年後のうつ症状は、疫学研究用うつ病尺度(CES-D)で評価し、16点以上をうつ病例とした。

 主な結果は以下のとおり。
・うつ症状は、ベースライン時では女性において有意に高かった。
・将来モデルは、年齢、性別、腹囲、社会階級、喫煙、健康状態で調整した。
・男性におけるうつ病発症危険率は、三分位の中位で32.9%減少し、上位で9.9%減少したが、それぞれ有意な関連ではなかった。
・女性におけるうつ病発症危険率は、三分位の中位で28.5%減少し、有意な差は認められなかったが、上位では43.4%の有意な減少が認められた。
・全サンプルにおけるうつ病発症危険率は、三分位の中位で31.5%減少し、上位で34.1%減少しており、それぞれ有意な関連が認められた。
・性別と握力の相互の影響は、統計学的に有意ではなかった。

 著者らは「高齢者において、握力とうつ病との逆相関が認められた。この関連は、男性よりも女性において強かった」としている。

 近年はうつ病治療に運動療法も取り入れられる様になってきたとも聞きます。うつ状態になると当然の事ながら活動性も低下し、運動しなくなる事でさらにそれが助長されることもある様です。筋力の低下が認知症と関連しているとも言われていますが、今回の報告でうつ病との関連も示唆された事を考えると若いうちから体を動かすことは大切ですが、年齢を重ねるほど逆に運動をすることはさらに重要になるのかも?知れません。

18.3.17 吾妻

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