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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

適度な運動20分で体内の炎症が抑制?

2017年2月8日

テーマ:運動の効用

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「適度な運動20分で体内の炎症が抑制?」という報告です。
適度な運動をたった20分間行うだけで炎症を抑えられる可能性が、新しい研究で報告された。この知見は、「健康によい運動は、必ずしも高強度である必要はないことを示唆している」と、研究著者である米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者は述べている。
この研究は、身体の「炎症」に焦点を当てたもの。傷や異物から身体を守るために免疫系が急反応すると炎症が引き起こされるが、この炎症が長く続くと糖尿病をはじめとする慢性疾患の発症につながると考えられている。たとえば、肥満では高レベルの炎症が生じ、また、炎症による動脈の傷害は心疾患の発症に関与すると、同氏は説明している。
これまでの研究で、定期的に運動を行うと炎症が抑えられることが示唆されていたが、この詳細な機序は明らかにされていなかった。今回の研究で、同氏らは、健康なボランティアの成人男女47人を対象に、中強度運動として20分間のトレッドミル運動を行ってもらい、その前後で血液検査を行った。対象者のほとんどが白人で、このうち26人が男性、平均年齢は41歳であった。その結果、トレッドミル運動後には、炎症に関連する免疫細胞が5%減少していることがわかった。この知見が個人の健康にどういった意味をもつのか、その因果関係は明らかではないが、同氏は、「この結果は確実かつ有意な向上だ」と述べている。
 米アパラチアン州立大学の研究者によると、この知見は、運動などの生活習慣と炎症について既に分かっていることを確認したものだが、「炎症はすべての慢性疾患の発症や進展に関与するため、炎症をできるだけ抑えることが重要であり、その最も有効な手段は体重管理だ」と述べている。また、同氏は、運動が身体にどういった影響を与えているのかを正確に理解することが今後の研究には不可欠だとし、「運動することで免疫や細胞レベルに変化が生じることを一般の人々にも伝えたい」と付け加えている。
運動の効能は今までにも何度も紹介してきましたが、20分程度の運動で体内の炎症が抑えられるというのは驚きです。上記にも書かれていますが、体内の内臓脂肪細胞からは数々の炎症に関連したサイトカインとよばれる物質が分泌され、それが糖尿病などの生活習慣病の誘因となることも分かっています。運動や食事管理で体重をしっかりコントロールすることの重要性がこれらのことからもよく分かりますね!

16.2.8 吾妻
 昨年の2/8の吾妻小富士。今朝はこんなに綺麗に見えるのでしょうか?

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