高脂肪食で肝機能に混乱?
肥満の遺伝リスクが高いほど食事には注意?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘肥満の遺伝リスクが高いほど食事には注意?’という報告です。
肥満そのものが病気であるとの認識を持つことが肥満の治療上重要である。とくに内臓脂肪蓄積は、肥満に伴い多くの悪玉サイトカインを分泌することで、炎症を惹起し万病を生み出している。肥満は健康の敵であることは言うまでもないが、肥満をいかに治療するかは深刻な問題である。一方で肥満は過食が大きな要因の1つではあるが、体質によって太りやすい人、太りにくい人がいることも周知の事実である。米国テューレン大学の研究者らによる論文は、肥満と遺伝リスクとの関連性ならびに健康食順守による肥満治療効果を併せ検証した興味深い研究である。
本研究対象は米国で行われた医療従事者を対象とした2つの前向き研究「看護師健康調査(NHS)」、「医療従事者追跡調査(HPFS)」のデータから、健康的食事パターン順守、遺伝リスク、長期体重増加との関連性について研究が行われた。両研究の参加者を対象に肥満と関連する遺伝的素因スコアを算出した。食事パターンの評価は代替健康食指数2010(AHEI2010)、高血圧予防食(DASH)などのスコアで食事パターンを評価した。
その結果、AHEI2010の順守率が多いほど肥満に関連する遺伝リスク高値群で肥満是正効果がより強く表れた。遺伝リスクのBMI/体重(kg)への影響はAHEIスコアの1SD(標準偏差)増加につき遺伝リスクの低値群、中等度群、高値群でそれぞれ-0.12/-0.35、-0.14/-0.36、-0.18/-0.50であった。DASHスコアでも同様の成果を認めた。
肥満遺伝リスクが高く肥満の遺伝素因が強いほど、過食が肥満により大きな影響を及ぼすことが本研究により明らかになった。肥満治療に当たっては、遺伝リスクの重要性を意識しながら肥満治療を心掛けることが、治療成功のカギを握るのではないか。しかしながら、臨床現場では、現実的には簡単かつ低コストの遺伝子スクリーニング法はいまだなく、代替として、泥くさいが肥満の家族歴情報収集が現実的代替手段の一助になるのではと考える。遺伝素因の肥満への関与と適切な食事治療の重要性をクローズアップした点に価値はある。
*島田 俊夫先生(静岡県立総合病院)の医療コラムを抜粋し、一部改変
食べてもあまり太りにくい人と直ぐに太ってしまう人はどうもいる様です。それはやはり遺伝的な要因も大きく影響している可能性がありそうです。最後にも述べられていますが、少なくとも両親が太っている方々はその可能性が高いと思われますのでご自身で十分気をつけて食事をする必要がありそうです。