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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

過去40年で小児肥満10倍へ?

2017年10月20日

テーマ:医療情報

コラムカテゴリ:医療・病院

過去40年で小児肥満10倍へ?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘過去40年で小児肥満は10倍へ?’という報告です。
 英・Imperial College Londonの研究者らは「世界における肥満の小児の数が1975年以降の40年間で約10倍に増加した一方で、低体重の問題も依然として未解決であることが明らかになった」と医学雑誌Lancetで報告。「この傾向が継続すれば、2022年には全世界における肥満の小児・青年の数が中等度以上の低体重の症例数を上回ることが想定される」と警告している。
 小児・青年期における低体重、過体重・肥満は生涯にわたり健康に悪影響を及ぼすことが知られている。そこで同氏らは、一般集団を対象とした研究2,416件から5歳以上の延べ1億2,890万人の身長・体重データを用いて、1975~2016年の200カ国における小児・青年の体格指数(BMI)の推移を検討した。その結果、1975~2016年に世界の年齢標準化平均BMIは、女性が17.2→18.6、男性が16.8→18.5に上昇した。10年当たりのBMI上昇幅は、女性が0.32、男性で0.40であった。また、成人の平均BMIが調査期間を通して上昇していたのに対し、小児・青年の平均BMIの上昇は世界全体では近年、鈍化傾向にあり、2000年以降は両者の相関は低くなっていた。
 1975~2016年の42年間に、世界における肥満の小児・青年の数は10倍以上に増えており、女性では500万人→5,000万人、男性では600万人→7,400万人に増加していた。また、同期間における年齢標準化肥満有病率は、女性では0.7%→5.6%に、男性では0.9%→7.8%に上昇していた。国・地域別の検討で、小児・青年の肥満有病率が30%を超えていたのはナウル、クック諸島などで、20%を超えていたのはポリネシア・ミクロネシアの一部、中東、北アフリカ、カリブ諸国、米国などであった。一方、1975~2016年の日本人女性の肥満有病率は0.6%→1.7%に上昇していたが、世界200カ国における順位は99位→193位へと相対的に改善していた。1975~2016年の日本人男性の肥満有病率は1.5%(49位)→5.0%(同142位)に上昇したものの、他の国々との比較では相対的に改善していた。
 同氏は「2000年以降の傾向が継続すれば、2022年には肥満の小児・青年の数が低体重を上回ることになる。不健康な食生活同士の急激な変化により、低体重が主な問題であった国が短期間で肥満の問題を抱えるようになることも考えられる。政策当局は食料安全保障の視点に立ち、低体重と肥満の双方を踏まえて小児・青年のBMI適正化に真剣に取り組むべきだ」と強調している。
 近年は貧困層での肥満が取沙汰される様になって来ている実情は知っていましたが、ここまでの状況とは少し驚きです。以前は恰幅の良いことはある意味では裕福さの象徴ですらありましたが、食生活の変化に伴い高カロリー・低価格のジャンクフードの台頭によってその状況も一変して来た様です。将来的には小児肥満は様々な生活習慣病発症の誘因にもなるでしょうからそれも大きな問題となるの火を見るより明らかです!
17.10.19 花々

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