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コラム
普通の風邪って、何?
2017年10月12日
普通の風邪って、何?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘普通の風邪って何?’というお話です。
よく、患者さんは風邪ですと言って来院なされますが、実際に風邪の症状というのはどういうものなのでしょうか?鼻症状(鼻汁、鼻閉)咽頭症状(咽頭痛)下気道症状(咳、痰)の3系統の症状が「同時」に「同程度」存在する場合は非特異的上気道炎、いわゆる普通感冒の可能性が高く、一般的に抗菌薬投与のメリットは極めて小さいのです。結果的に診断が間違っていることもあるかもしれません。しかし、間違っていたとしても再診についての具体的な指示を行い、その後の経過をフォローすることによって危険を回避することが大事であると思われます。
近年、急性気道感染症における抗菌薬使用削減のための戦略として、抗菌薬の延期処方に関する報告が増えてきています。初診時に抗菌薬投与の明らかな適応がない急性気道感染症患者に対して、すぐに抗菌薬を処方した場合と、経過が思わしくない場合に抗菌薬を投与した場合を比べると、合併症や副作用、予期しない受診などの好ましくない転帰を増やすことなく抗菌薬処方を減らすことができるというものです。
「抗菌薬を出さずに何かあったらどうするのか?」という疑問をもたれる方もいらっしゃるかもしれません。そんなときは「何か」って何なのか?を具体的に言語化することが大切です。言語化することにより対策を立てることができます。漠然と不安を感じているだけで、なんとなく抗菌薬を処方しても危険を回避できているとは限りません。たとえば、風邪だと思ったら実は心筋炎だったとか、実は感染性心内膜炎だったとか、実はマラリアだったとか。診断を推定せずに闇雲に抗菌薬を処方することは、危険を回避するどころかときに有害ですらあります。また、どんな抗菌薬にも副作用はあります。明らかな適応がないにもかかわらず処方した抗菌薬によって重大な副作用が出てしまう可能性もあります。「抗菌薬を出さずに何かあったらどうするのか?」の裏側には「抗菌薬を出して何かあったらどうするのか?」がつきまといます。上気道症状のある患者さんで抗菌薬の適応がなさそうだと思った場合は「今のところ、抗菌薬が効かないタイプの風邪のようです」と伝え、経過が思わしくないようであればその時点での再評価が必要になることをお話しし、再診についての指示を行うようにするのが妥当と思われます。説明が面倒だからとりあえず抗菌薬を処方しておけばよいという考え方は、何の危険回避にもなっておらず、ときに患者さんを危険にさらしている可能性すらあるので、お勧めできません。*神戸大学感染症内科 山本舜悟先生のブログを抜粋し、一部改変
患者さんの中にはよく、普通の風邪の際にも抗生剤をほしがる方も時折おられますが、私も上記の様な理由で普通は出さない様に気をつけています。ただ、扁桃腺に炎症を伴う様な感染の場合にはその限りではなく投与しています。
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