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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

米国若年者の脳卒中増加?

2017年4月23日

テーマ:脳卒中リスク低減には?

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

米国若年者の脳卒中増加?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「米国若年者の脳卒中増加?」という報告です。
 米国立慢性疾患予防・健康増進センターの研究者らは、1995~2012年のNational Inpatient Sample(NIS)の入院データを解析し、この期間に米国の若年成人では急性期脳梗塞による入院が増加するとともに、脳卒中の危険因子の保有率が上昇したと発表した。同氏らは「今回の結果は、若年成人の健康増進に目を向けるべきであるという警告になるはずだ」と述べている。
 同氏らは1995~2012年のNISから、主たる入院の理由がくも膜下出血、脳内出血または急性期脳梗塞である18~64歳の入院データを抽出。2年ごとの5期間(2003~04年から2011~12年)に分けて、脳卒中のタイプ、年齢、性、人種/民族別に入院の傾向を解析した。その結果、2003~04年から2011~12年の間に、18~34歳の非ヒスパニック系黒人およびその他の人種を除く18~54歳の全ての人種/民族および男女で、急性期脳梗塞による入院率が有意に上昇していた。特に、18~34歳および35~44歳の男性では、1995~96年から2011~12年の間に入院率が約2倍に上昇していた。一方、55~64歳で有意な上昇が認められたのはヒスパニックのみでこの年齢群の男女および非ヒスパニック系人種の入院率は不変であった。脳内出血およびくも膜下出血による入院率は2003~04年から2011~12年でほぼ変化がなかったが、くも膜下出血による入院率は45~54歳の男性および非ヒスパニック系黒人で有意に低下した。
 脳卒中危険因子の解析では、2003~04年から2011~12年に急性期脳梗塞で入院した全ての年齢群の男女において、古典的危険因子(高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満)の保有率が上昇していた。特に、18~34歳の男性では同期間に高血圧の有病率が34.0%から41.3%に上昇し、脂質異常症の有病率は14.6%から29.1%に上昇した。また、3個以上の古典的危険因子の保有率は、急性期脳梗塞で入院した全ての年齢群の男女で約2倍に上昇し、脳内出血で入院した全ての年齢群の男女でも有意に上昇した。急性期脳梗塞による入院率が18~54歳では上昇していたのに対して55~64歳では不変という結果について、同氏らは「同期間中に、高齢者の高血圧管理が若年成人に比べて改善されてきたことを示している可能性がある」と説明。「急性期脳梗塞を発症する若年成人では脳卒中危険因子の保有率が高く、上昇を続けていると分かれば、若年成人などに『思春期の患者やその家族、若年成人に脳卒中危険因子の検査と治療を受けさせ、早期発症の脳卒中による悲劇を避けるために健康的な生活を送るよう推奨しなければ』という緊迫感が生じるはずだ」と述べている。
 日本よりも貧富の格差が著明になっている米国では恐らく所得も含めた格差が露呈しており、それが引いては脳卒中の危険因子の増加を招いているであろう事は想像に難くありません。今や低価格、高カロリーの食べ物は数多く存在しますからその辺の所から気をつけないとこの傾向は改善しないかも?知れませんね。

17.4.22 イースターカクタス
 院長室のイースターカクタス、今年も綺麗に咲きました!

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佐藤浩明

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