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精神的苦痛で発がんリスク増大?

佐藤浩明

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テーマ:がん予防

精神的苦痛で発がんリスク増大?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「精神的苦痛で発がんリスク増大?」という報告です。
精神的苦痛(うつ、不安の症状)が重くなるほど、大腸がんや前立腺がんのリスクが高まり、精神的苦痛は発がんの予測因子となる可能性があることが、英国の検討で示された。精神的苦痛とがんとの関連については、(1)精神的苦痛に繰り返し曝されるとナチュラルキラー細胞の機能が喪失して腫瘍細胞の増殖を招く、(2)うつ症状は視床下部-下垂体-副腎系の異常をもたらし、とくにホルモン関連がんの防御過程に不良な影響を及ぼす、(3)苦痛の症状は喫煙、運動不足、食事の乱れ、肥満などの生活様式関連のリスク因子への好ましくない影響を介して、間接的に発がんの可能性を高めるなどの機序が提唱されている。
研究グループは、部位別のがん死の予測因子としての、精神的苦痛(うつ、不安の症状)の可能性を検証するために、1994~2008年に開始された1研究に参加した患者のデータの統合解析を行った。イングランドおよびスコットランドの健康調査から、英国の典型的なサンプルを収集した。精神的苦痛は精神健康調査表(GHQ-12スコア)により、無症状(0点)、潜在性症状(1~3点)、有症状(4~6点)、重度症状(7~12点)に分類した。16種のがん、その他のがん、喫煙関連がん、喫煙非関連がんに分け、精神的苦痛との関連を解析した。
 ベースラインの平均年齢は46.3歳、女性が54.9%を占めた。精神的苦痛スコアの平均値は1.5点、平均BMIは26.6、義務教育修了年齢以降の学歴ありは67.9%、喫煙者は26.3%、週1回以上の飲酒は62.0%だった。16件の研究の死亡調査の平均期間は9.5年で、この間に1万6,267例が死亡し、このうち4,353例ががんで死亡した。年齢、性別、教育、社会経済的状況、BMI、喫煙等で解析を行ったところ、精神的苦痛が軽度の群に比べ、苦痛が重度の群は、すべての部位のがんを合わせた死亡率が有意に高かった(危険率1.32倍)。また、精神的苦痛が重度の群は、喫煙非関連がん(危険率1.45倍)、大腸がん(1.84倍)、前立腺がん(2.42倍)、膵がん(2.76倍)、食道がん(2.59倍)、白血病(3.86倍)のリスクが有意に高かった。大腸がんと前立腺がんのリスクは、精神的苦痛スコアが上がるに従って有意に増加した。
 著者は、「精神的苦痛が、特定のがん発症の予測能を有する可能性を示唆する証拠が得られた」とまとめ、「個々の精神的苦痛とがんの因果関係がどの程度に及ぶかを解明するために、さらなる検討が求められる」と指摘している。
以前からがん患者さんが苦痛症状がないような生活が出来るとがんの進行が遅れるなどということを聞いたこともありますが、がん発症以前に精神的な苦痛が重い程発症リスクが高くなるというのも驚きです。がんの発症には様々な要因が考えられますが、日常生活の過ごし方も大きく影響するということは肝に銘じる必要がありそうですね!
      
17.2.25 梅

 昨朝の通勤路で見かけた光景。梅?の花が綺麗に咲き出していました!

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佐藤浩明
専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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