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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

肥満者が運動出来ない理由?

2017年1月31日

テーマ:医療界の新発見?

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

肥満者が運動出来ない理由?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「肥満者が運動出来ない理由?」という報告です。
 過体重のマウスを用いた新しい研究から、肥満者がなぜ「今年こそは運動を始めよう」という新年の誓いが守れないのか、その理由のヒントがみつかった。肥満マウスの脳には、“身体不活動であること”を奨励する徴候が発見されたという。
 「身体活動が健康によいことは明らかだが、なぜ肥満したヒトや動物が身体不活動に陥りやすいのか、その理由はよくわかっていなかった」と、研究指導著者である米国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所(NIDDKD)の研究者は述べている。
 「一般には、肥満した動物は、余分な体重が支障を来たしてあまり動かなくなると考えられている。しかし、今回の知見は、それだけではすべてを説明できないことを示唆している」と同氏は述べ、脳内の化学物質『ドーパミン』が、肥満マウスが運動しない理由の鍵になるとしている。「これまでの研究では、ドーパミンのシグナル伝達障害が肥満に関連づけられているが、こうした研究のほとんどは、動物が違う食べ物を摂取した際にどう感じるのかという報酬プロセスに着目していた。わたしたちはもっと単純に考え、ドーパミンシグナルの問題だけが運動しないことの説明になるとの仮説をたてた」と、同氏は説明している。
 研究グループは、マウスに通常食または高脂肪食を摂取させたところ、高脂肪食を摂取させたマウスでは、体重が増えて身体活動量が減ったが、運動しなくなったのは体重が増える前であったことを突き止めた。運動しなくなる前に体重が増えていた説明の1つには、肥満で不活発なマウスでは、ドーパミン経路の「受容体」が減っていることがわかった。さらに、体重の増加は運動しなくなったことで引き起こされている可能性も示唆された。
 「多くの場合、自分の意志の力で行動変容をもたらすことができると考えられている。しかし、習慣的な行動の根底に潜んでいる生理的な基盤が明らかになれば、人間の意志では解決できない身体不活動の理由がわかるかもしれない」と、同氏は述べている。ただし、基礎研究の結果は必ずしもヒトには当てはまらないことに注意が必要だ。著者らは、ドーパミンと肥満に関連する身体不活動との直接的なつながりを結論づけるには、さらなる研究が必要だとしている。
 この報告でも述べられているようにどうも体重が増えたから運動出来なくなるのではない様ですね。運動に関しても自分の意志の問題だけではない理由があるかも知れないというのは興味深い発見だと思われます。

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佐藤浩明

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