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コラム
政府の塩分制限対策で長生き?
2017年1月22日
政府の塩分制限対策で長生き?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「政府の塩分制限対策で長生き?」という報告です。
政府による塩分摂取削減政策の費用対効果は非常に高いことが示された。どういった政策かというと、食品関連企業と塩分削減の約束をすること、その実行状況を政府がモニタリング(監視)すること、そして国民への健康教育をするといった政策である。こうした政策を10年間持続することによって、10%の塩分摂取削減を目標とする。
塩分摂取削減政策により、障害調整生存年数を1年延ばすのに、調査した183ヵ国の平均で204USドル(約2万3,000円)必要との結果であった。障害調整生存年数とは障害がない状態での寿命のことなので、平易にいうと、健康寿命を1年延ばすのに塩分摂取削減政策は2万3,000円要したことになる。医薬品での目安としては、その国のGDPの1~3倍の範囲が妥当とされている(WHOの基準)。日本では国民1人あたりのGDPはおよそ385万円である。塩分摂取削減政策にかかる2万3,000円というのは、GDPの1%にも満たない低水準である。医薬品などと比較すると非常に安いことがわかる。2万3,000円で1年長く生きられるなら、国民もこの塩分摂取削減政策へ賛同することだろう。
塩分摂取削減政策に要する費用が国民1人あたりのGDPの1%未満になっている国には、日本のほかにも、米国、韓国、ロシア、タイなどが含まれていた。逆に、それが5%以上になっている国には、エチオピア、バングラデシュ、ナイジェリアが含まれていた。これらの国では、もともと塩分摂取量が少ないためと思われる。
食生活の改善、運動習慣の改善、喫煙など嗜好習慣の改善、こういったことの政策キャンペーンをすることは、高価な医薬品開発をするよりも非常に効率的であることが示された。もっともっと健康施策を講じるべきかと痛感させられた。
欧米諸国に比べて塩分摂取が多い日本でこそ塩分摂取制限対策を積極的に行うべきではないかと思われます。近年、厚労省は時折効果の期待出来ないこともあるジェネリック医薬品の普及にかなり力を入れていますが、まずはこういうとことからの対策の方が重要なのではないでしょうか?
昨晩は医師会の新年会でした。開会の挨拶も無事こなせました(笑)
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