ACアダプタはコネクタ形状や電圧・電流表示が同じでも互換性があるとは限らない
●前回のコラムではパソコンの電源コードは終了後にコンセントから外したほうが良いのかどうか・・・についてお話しました。
「パソコンの電源コードは「つないだまま」でいいのか、それとも・・・ 」
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4008465/
●今回はIT周辺機器の電源についてもコンセントに差したままでいいのかどうか気になりますので、サポートの経験を元にした最善策をお話したいと思います。
IT周辺機器の電源を切る習慣は問題ないか
●コンセント差込口それぞれにON、OFFができるようにスイッチが付いたテーブルタップからパソコンなどIT周辺機器の電源を取っているサポートの現場を良く見ます。
●パソコンを終了させたあとに、タップのスイッチでパソコンをはじめ周辺機器への通電も全部同時に切る習慣のある方はかなりいるのではないでしょうか。
●タップにつながっている周辺機器には、たとえばNTTなどの光回線モデムやWi-Fi無線ルータ、プリンタなどがありますが、パソコンを終了させたあとにそれらの電源コードも全部コンセントから抜くべきなのでしょうか?
●この場合、前回解説したパソコンと同じで周辺機器の場合でも待機電力などの消費を考えれば、省エネの観点からは当然コンセントから抜いておいたほうが良いのは言うまでもありません。
●夜、寝静まった暗い部屋で蛍のようにたくさん光って見えるインジケータランプは今ではどこの家でもすごい数になっています。また、ネットの回線が一日中モデムにつながったままで大丈夫なのか?と気になったこともあるでしょう。できれば、そのような状況がどうにかできればと思っている方もいるかもしれません。
●しかし、全部電源を落としてしまうことで何か問題や不都合はないのか、また運用上の利便性などの観点からみた場合どうなのかなど、ITサポートエンジニアがITサポートの経験をもとに解説してみたいと思います。
コンセントから電源を抜いた場合、IT周辺機器類はどうなるのか?
●電話回線とインターネット回線が別々になっている場合、光回線やケーブル回線のモデム、Wi-Fi無線ルータやWi-Fi対応プリンタなどは、コンセントから電源コードを抜いても問題があるわけではありません。設定値などは不揮発性メモリという部分に書き込まれているために設定内容が消えてしまうことはありません。再度通電すれば普段通りにネットにつながります。
●Wi-Fiルーターにはセキュリティーログやルーティング、端末管理といった接続ログの記録や管理などを行う機能があり、長期間接続しているとそのログの量も肥大化していきます。電源コードを抜くと肥大化したルーターのログや元回線などの接続が初期化、リセットされて状態をリフレッシュする効果があります。
●設定内容が消えたり書き換わるわけではありませんから大きな問題はなく、逆にそれによってルータやモデムの動作が改善されることがありますのでメリットのひとつになります。
●Wi-Fiルーターやモデム、待機モードのインクジェットプリンターは消費電力は小さいですが、電源コードを抜いている時間分省エネの観点からもわずかですが貢献できることでしょう。
●また、セキュリティー面から言える事もあります。最近問題になっているブロードバンドルータや無線LANへの不正アクセスや攻撃に対して、電源が抜けている間は装置自体が完全に機能していないため被害に遭うことはなく、セキュリティー上でメリットとなる点です。
●ですから旅行などで長期間留守にする際は、ネット関連の機器の電源はできるだけコンセントから抜いたり、タップのスイッチでOFFにしておいたほうが良いでしょう。
●しかし、いいことばかりではありません。気になるのがデメリットです。
コンセントから電源を抜くことによるデメリットもある
●デメリット以前に、電話回線がADSLであったり、電話とインターネットを光回線でまとめて契約している場合は、電源コードを抜いてしまうとネットだけでなく電話もつながらなくなってしまいます。ですからそのようなネット環境の場合はモデム類の電源はコンセントから抜いたりタップのスイッチでOFFにできません。インターネット回線が電話回線と別になってる場合のみ、ネット回線側の機器だけを抜いておくことができます。
●電源を抜いておくデメリットは他にもあります。光回線モデム、ADSLモデム、ケーブルモデムなどのネットに関係する機器類は、電源コードをコンセントに挿して通電しても実際にネットがつながって使用できるようになるのにはある程度の時間がかかります。電源を投入してから数分間、場合によっては10分程度はつながらない場合があります。すぐにつながらないわけは、元回線のサーバと相互通信してネット網に入るための認証などのやり取りがあるためです。これは瞬時には完了しないのです。
●無線Wi-Fiルータも同じで、起動してから安定するまでには数分の時間を要します。一度電源を抜いたプリンターを再度コンセントに挿すとヘッドクリーニングを始めますのでインクも減るし、印刷可能になるまでの時間もかかります。
※使用用途や環境によっては電源コードを毎回抜くことは デメリットになることもある
●ですから、毎回タップのスイッチでOFFにして電源を根元から切ったりしていると、ネットやプリンターなどの周辺機器類をすぐに使いたい場合や仕事や作業で使用している場合、すぐには使えず待たなければならなくなります。それが許容範囲内であればいいのですが、急いでいるときにWi-Fiはつながらない、ネットワークプリンタがすぐに使えない・・・ということになれば、イライラの原因や時間の無駄となり具体的な「支障」となります。
●それでは、仕事はさっぱりはかどらなくなってしまいます。そうでなくても、最近ではスマホ、タブレットなどでWi-Fiを頻繁に利用している方も多く、常時使用は当たり前になっているご時世です。ルーターやモデムのわずかな待機電力を「節約」とか「環境保護に貢献」とか言ってお父さんの浅知恵で電源コードを毎度毎度引っこ抜いていたら、「ネットがつながらない!!」と奥さまや娘さん、息子さんから壮大なクレームが寄せられることは必至です。
●しかし、常時接続の無線ルータには前述したセキュリティーの問題が浮上してきます。ですからお父さんに必要なのはWi-Fiルータには必ずID、パスワード設定を行い、ファームウェアを最新版に更新するなどして適切に管理しておくことです。
●電源管理ひとつで利便性やセキュリティーに関係してしまうIT機器類はやはり奥が深く、そう簡単にはいかないという証拠でもあります。
九州インターワークス
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