言葉を着替えると、悪いことまでオシャレになる。

鎌田千穂

鎌田千穂

テーマ:心のあり方のヒント

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最近、

「セカンドパートナー」

という言葉を見かける。

……誰?
と思った。

セカンド。
パートナー。

なんだか、
外資系企業の会議に出てきそうです。

「今期のセカンドパートナー戦略について。」

とか言われても、
うっかり資料を開きそう。

ところが、意味を知る。

……不倫相手ですやん。

「不倫相手」と言うと、一気に生々しい。

ところが、
「セカンドパートナー」と言った瞬間、

……なんでしょう。

急に観葉植物が置いてある
オシャレな部屋の話みたいになる。

言葉って、すごい。

罪悪感にまでインテリアを付けられる。

( ̄▽ ̄;)

言葉を変えるだけで、悪事が自己啓発になる

考えてみると、
私たちは普段から
かなりやっています。

「サボった。」
これはダメ人間。

「戦略的に休んだ。」
急に仕事のできる人。

……休んだだけです。

「忘れた。」
ただの物忘れ。

「記憶を手放した。」
なんか、悟りを開いたみたいになる。

20年前のどうでもいい一言は
鮮明に覚えているくせに。

「太った。」
……現実。

「貫禄が出た。」
……自己肯定感。

「食べすぎた。」
……反省。

「心と体が栄養を求めていた。」
……胃袋にそんな崇高な理念はない。

「無駄遣いした。」
……財布が泣いている。

「自分への投資。」
……財布は、泣きながら納得させられている。

「先延ばしした。」
……怠けた。

「最適なタイミングを待っている。」
……待ってる間に、締め切り来ますけど。

言葉を着替えるだけで、
本人の中では人生がちょっと整う。

現実は、
何ひとつ整っていない。

「逃げた」も「距離を置いた」にすると急に尊い

これもすごい。

「逃げました。」
と言えば、

「ああ……。」
となる。

ところが、
「自分を守るために距離を置きました。」
と言えば、

なんとなく
カウンセリングの教材みたいになる。

いや。
逃げたんですよね?

もちろん、
逃げることが必要な場合もあります。

でも、
逃げた自分を
ちょっと格好よく見せるために、

言葉だけ
高級ホテルのロビーに移動させる。

……生きのびるための戦略のひとつのようです。

「怒っている」が「本音を伝えている」になる

さらに便利なのが、
感情の言い換え。

「キレた。」
だと、怖い。

「自分の気持ちを率直に伝えた。」
だと、コミュニケーション能力が高そう。

「文句を言った。」
だと、面倒くさい。

「改善提案をした。」
だと、会社に貢献している。

「嫌味を言った。」
だと、

……これは何でしょう。
「高度なフィードバック。」
くらいにしておきましょうか。

もう、何でもいける。

悪口ですら、
横文字にしたら
研修資料に入りそうです。

「性格が悪い」
 ↓
「忖度しない」

……便利ですね。
便利すぎて怖い。

名前を変えたら、現実まで変わった気になる

もちろん、
言葉は大事です。

同じことでも、
言い方ひとつで
誰かを救うこともある。

でも。
自分に都合よくするためだけに
言葉を着替えさせていると、

いつの間にか、

「現実を変える」のではなく、
「現実の呼び方を変える」


ようになる。

そして、なぜか満足する。

部屋は散らかったまま。
仕事は終わっていない。

財布は軽い。
体重は増えている。

でも、
「まあ、これは自己投資だから。」
と言って寝る。

……寝るんかい。

人間は、自分の人生に都合のいい字幕をつける


たぶん、
私たちはみんな、

少しくらいはやっています。

失敗した。
 ↓
「経験値が増えた。」

太った。
 ↓
「丸みを帯びた。」

忘れた。
 ↓
「脳の断捨離。」

サボった。
 ↓
「充電期間。」

無駄遣い。
 ↓
「経済を回した。」

現実逃避。
 ↓
「自分探し。」

……最後だけ、急に旅に出る。

こうやって、
ちょっと困った現実に
それらしい名前をつける。

すると、
ほんの少しだけ
自分が悪くない気がする。

人間って、
よくできています。

いや。

自分に甘くできすぎています。

だから、

「セカンドパートナー」
という言葉を見て、

「なんてオシャレな呼び方なんだ。」
と感心する前に、

ちょっと考えてみる。

もしかすると私たちは、

今日も何かを
オシャレな名前に着替えさせている。

「現実逃避」を「気分転換」に。
「先延ばし」を「熟考」に。
「食べすぎ」を「ご褒美」に。

そして、
「何もしていない」を、
「今日は自分を大切にした。」に。

……うん。

それはもう、

自分を大切にしたんじゃなくて、
自分を甘やかすための広報活動です。


でも。
まあ。

広報活動くらい、
たまにはしてもいい。

ただし、
現実まで
騙せると思わないこと。

言葉を着替えても、

財布は軽い。
仕事は残る。
体重も残る。

とはいえ、
締め切りは、
こっちの言い換えなんか一切聞いてくれない。

……世の中、
そこだけ妙に正直です。

( ̄▽ ̄;)

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鎌田千穂
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鎌田千穂(産業カウンセラー)

Chi-ho’s studio

組織課題を広い視野で捉え、主体性を持った思考と行動力、公私の均衡を図る自律型人材育成を行うこと。分析・統計による業務改善の解決策を示し、個人の悩みを解き放ち、企業の繁栄に繋げることが専門です。

鎌田千穂プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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