感情に振り回される判断:決めつけのリスクに沼る罠
独立したての方がいる。
・・・勉強熱心。
会うたびに知らない言葉を覚えてくる。
DX。
CX。
人的資本経営。
ウェルビーイング。
パーパス。
途中から会話より検索が忙しい。
私は相づちを打ちながら、
机の下でこっそり調べる。
現代社会は忙しい。
そして始まる「正解発表」
そんな独立したての方の会社が最近苦戦しているらしい。
いろいろ話を聞いた。
私は経営理論や流行のメソッドに詳しくない。
ただ、流行が変わるたびに思う。
結局最後まで残るのは、
昔から言われていることばかり。
だから昔から考えていることを言った。
人と同じことをしない。
世の中の役に立つことをする。
本物を売る。
すると独立したての方が言った。
「そんなの当たり前ですよ」
その通り。
むしろ困る。
私も当たり前だと思っている。
人と同じことをしない。
役に立つことをする。
本物を売る。
どれもポスターに書いてありそうな話。
新幹線の待合室に貼ってあっても違和感がない。
人類はだいたい正解を知っている
人類はだいたい正解を知っている。
痩せたいなら動く。
お金を貯めたいなら使わない。
健康になりたいなら寝る。
とはいえ、何十年研究しても、
結論は同じだから。
問題は、
人類は正解を知らないのではない。
正解を続けられないだけ。
正論は腹が立つ
だから正論は嫌われる。
痩せない人に
「食べなければいい」
貯金できない人に
「使わなければいい」
売れない会社に
「お客様の役に立てばいい」
全部正しい。
正しいが全く役に立たない。
・・・なぜなら。
困っている本人が、
一番分かっているから。
正論とは、
だいたい知っていることを、
もう一回言われる行為であるし。
成功すると、人は哲学者になる
不思議なことがある。
成功した人の話は深い。
失敗した理由も語れる。
成功した理由も語れる。
人生も語れる。
社会も語れる。
だけど、私は疑っている。
その哲学、
成功する前から言ってましたか?
成功した後だから、
言えることもある。
勝った将棋の解説は上手い。
でも、対局中はみんな迷っている。
人生もたぶん同じことかと。
最後に
独立したての方は言った。
「そんなことは当たり前です」
私は思った。
その通り。
たぶん経営の世界に限らない。
人間は昔から、
新しい答えを探し続ける。
でも本当に困らせているのは、
答えが見つからないことではなく、
昔から知っている答えを続けられないことなのかもしれない。
そして今日も本屋には、
その答えを違う表現で書いた本が並んでいる。
人類は何千年も前から、
同じ問題で悩み続けている。
たぶんこれからも。
新しい言葉は増える。
新しい理論も増える。
新しい横文字も増える。
でも結局、
「ちゃんとやる」
に勝った話を、
私はまだ知らない。
たぶん来年も知らない。
その頃にはまた新しい横文字が増えていて、
私は机の下で検索していると思う。
現代社会は忙しい。



