英検1級道場-ジャパンタイムズ記事への意見 その⑧ 現役の高校の先生から
40年余り前のことです。
私がパナソニックで海外営業を担当していたころ、オランダのお客様と現地のレストランで食事をしました。
日本社会の話になり、日本では小学生がランドセルという鞄を背中にしょって通学するという話をしました。
すると、それはオランダ語のランセル(ransel)と同じではないか、との反応がありました。
オランダでは、兵隊が背中に担ぐ大きな荷物鞄をランセルというそうです。
古い日本語では、背嚢(はいのう)と呼びます。
日本の歴史の中で、スペイン、ポルトガル等のカトリック教国が追放された(いわゆる「鎖国」はこのことです)後でも、プロテスタント国であるオランダは長崎の出島に商館を開き、日本との貿易を許されていました。
このため、日本語の中には、オランダ語が起源であるものが多くあります。
オランダのお客様に、ランドセルの様子を紙に書いたところ、
「間違いない。兵隊が背負っているランセルだ」
とおっしゃいました。
出島での日本とオランダの通商が始まってから、400年以上が経過します。
今の日本に、私たち日本人がまったく意識しないレベルまで根付いた単語が、実はオランダに起源があったと知ったとき、私もオランダ人の彼も、お互いに肩を叩き喜び合いました。
グローバル化とは、だいそれたことではなく、このように小さく身近なことではなないかと思います。
40年前のことを思い出しながら、晴れ晴れとした気持ちで、これを書いています。