ビジネス変革:パーパスの時代のチェンジマネジメント:変革実現への探究を始めよう
このコラムはビジネスパーソンの方々を対象として書いています。
このコラムはビジネス変革について書きます。
私は、『ビジネス変革:顧客体験価値にこだわる:具体策を考える』というコラムを書きました。ビジネス変革を成功させるためには、顧客体験価値にこだわることが大切であると書きました。
このコラムでは、「顧客体験価値にこだわる」ということは具体的にどういうことなのか、事例を参照しながら、顧客体験価値にこだわる具体的方法を考えたいと思います。
参照する事例は、米国 XPLANE社 が開催したウェビナー "Attract, Retain, and Delight Your Customers: How to Create a Customer-Centric Company" で紹介されていた事例です。XPLANE社が Mathematica社 という米国のデータサイエンスの会社と協働して顧客体験にこだわった事例です。
ウェビナーのタイトルを日本語にするなら、『あなたの顧客を魅了し、関係性を保ち、喜ばせる:顧客中心の会社を築く方法』という感じでしょうか。拙い日本語で恐縮です。
ところで、DXという言葉を見聞きしない日はないというくらい、世の中に溢れてきています。
デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)とカタカナ表記されることが多いですよね。私はDXの本質はビジネス変革だと考えています。私は、DXを「デジタル技術を活用したビジネス変革」と表現しています。
このコラムのタイトルはビジネス変革です。今の時代ですから、デジタル技術を使うのでしょう。ただ、DXの本質はビジネス変革であり、あくまでデジタル技術はそのビジネス変革を実現するためのツールという位置づけです。そのように考えるべきだ、と私は考えています。
- 最初に、顧客体験価値にこだわることが重要である理由を、今一度確認します。
- 次に、参照事例の要点をまとめます。
- 最後に、私からの提案として、会議やワークショップでの議論は、成果物を作成するための協働の時間であると考えることを書きます。
このコラムは次の3つの章で構成します。10分程度で読める量です。
私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのためのお手伝いをしたい」と考え、この屋号にしました。
ファシリテーション。Facilitationという名詞です。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。ファシリテーションをする人をファシリテーター (facilitator) と言います。
1. 顧客体験価値にこだわることが重要である理由
この章では、ビジネス変革を実現するために、言い換えるとDX(デジタル技術を活用したビジネス変革)を成功させるためには、顧客体験価値にこだわることが重要であるということを、今一度確認したいと思います。
1.1. 『ビジネス変革:顧客体験価値にこだわる:具体策を考える』から
『ビジネス変革:顧客体験価値にこだわる:具体策を考える』というコラムから要点を抜粋します。
最初に、顧客体験価値という言葉を今一度確認しましょう。
顧客があなたの会社が提供する商品やサービスを体験することを通してどんな価値を得るのか、顧客にとってどんな良い価値を提供できるのか、一言で言うと顧客体験価値とはこのようなことでしょう。ビジネス変革を実施する際の重要な軸は、顧客体験の価値をいかに高めるのか、ということです。
次に、顧客体験価値にこだわることの本質について考えてみましょう。
優れた顧客体験とは、企業が提供する商品やサービスそのものではなく、顧客にとって最も重要な目的を果たすことをいかに手助けしてくれるかによって決まるのです。
個々の顧客の目的、問題・課題、ニーズ、疑問といったものを、迅速に解決してくれることが重要です。
クレイトン・クリステンセン教授のジョブ理論(Jobs To Be Done(JTBDと略されている))です。ジョブ理論でよく引き合いに出される例は、「顧客はドリルではなく、穴が開いた板が欲しいのだ」というものです。モノを売りたいメーカーは、どうしてもドリルそのもののデザインや性能にこだわってしまいがちです。一方、顧客が欲しいのは穴が開いた板であり、課題は必要な大きさの穴が開いた板を入手することなのです。
顧客にとっては、企業が所属する業界は関係ありません。必要な大きさの穴を開けることができるのであれば、ドリルをホームセンターで購入して自分で開けてもいいでしょうし、ドリルをレンタルして自分で開けてもいいでしょうし、DIYのお助けサービスがあるのならサービスを購入するという手もあるでしょう。企業に属するビジネスパーソンとしては、自社の業界だけを見ていては不十分です。私たちは、横並びなんて関係ない世界にいるのだと思います。
さらに、顧客は企業の存在意義・存在目的を大切にする傾向が強くなっています。Y世代(1980年〜1995年頃に生まれた人たち)とZ世代(1996年〜2012年頃に生まれた人たち)の半数以上が「社会問題に関する企業の言動に失望したために、その企業への支出を減らし、別の企業に乗り換えたことがある」と答えているそうです。顧客が企業の存在意義・存在目的に共感し、その意義・目的を達成する一員であること。共通の理念のもとに顧客をつなぐ企業やブランドを好む、ということです。
また、顧客のデータ・プライバシーを守ることは重要です。
魅力的な顧客体験価値を得るために、顧客が自分の個人データを提供してもよいと思ってもらうためには、個人データというプライバシーに関わる情報を守ることが重要になります。そのためには、顧客からの厚い信頼が必要になります。
平たく言うと、「◯◯なら安心して私の個人データを提供できる。そして魅力的な顧客体験の価値を手に入れることができる。」このように思ってもらえることが必要になります。
1.2. DX(デジタル技術を活用したビジネス変革)の規模感
『ビジネス変革:世界の成功事例:成功要因を考える』というコラムからDXの規模感を抜粋します。
IDC によれば、2021年からの3年間にDXに投資される金額は7.4兆ドルだそうです。1ドル110円とすると、814兆円もの投資が行われると予測しています。これは世界経済の10%に相当するそうです。
PwC によれば、2030年までに生産性向上により15.7兆ドルの効果が見込まれるそうです。上と同じ換算レートを用いれば、1,727兆円となります。
2021年からの3年間で814兆円の投資が行われ、2030年までに1,727兆円の効果が見込まれている、ということです。
世界中の多くの企業がデジタル技術を活用したビジネス変革に本気で取り組む、という予測なのだろうと思います。この規模感の全世界的な動きに参画する意味は大きいと考えます。
1.3. 参照事例『あなたの顧客を魅了し、関係性を保ち、喜ばせる:顧客中心の会社を築く方法』からの引用
2章で要点を説明しますが、このコラムで参照する事例『あなたの顧客を魅了し、関係性を保ち、喜ばせる:顧客中心の会社を築く方法』の冒頭で、顧客体験にこだわることの理由を数字で示していますので、引用します。
- 顧客との関係性を5%増やすことで、会社の利益は25%から95%増加する
- NPS(ネット・プロモーター・スコア)を12ポイント増やすことで、会社の成長率は2倍になる
- 顧客体験価値を高めることで、従業員体験価値は30%高まる
ここでは、NPS(ネット・プロモーター・スコア)を説明しましょう。
ウィキペディアによれば、日本語では「顧客推奨度」や「正味推奨者比率」と訳されるそうです。
あなたは、「この製品やサービスを親しい友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」という質問を受けたご経験はありますか?多くの方が既にご経験済みだと思います。あれがNPSです。0〜10点で表します。
NPSのアンケート実施や分析サービスを提供している会社の大手には、メダリア や クアルトリクス があります。
下表はメダリアの記述を一部加筆変更して表形式にしたものです。
点数 | 評価 |
---|---|
10〜9 | 推奨者(Promoter)あなたの会社の製品やサービスが大好きな顧客です。リピーターであり、あなたの会社の製品やサービスを潜在的顧客に勧めてくれる熱心な伝道者でもあります。 |
8〜7 | 中立者(Passive)多少満足していますが、機会があれば簡単に他社の製品・サービスに乗り換える可能性があります。ネガティブな口コミを拡散する可能性は低いですが、そこまで製品やサービスを気に入ってはいませんので、プロモーションをしてくれることもないでしょう。 |
6〜0 | 批判者(Detractor)これらの顧客は、製品やサービスに感心していません。おそらくあなたの会社から再び購入することはないでしょうし、ネガティブな口コミによって、会社の評判を傷つける可能性もあります。 |
2. 参照事例『あなたの顧客を魅了し、関係性を保ち、喜ばせる:顧客中心の会社を築く方法』の要点
この章では、米国 XPLANE社 が開催したウェビナー "Attract, Retain, and Delight Your Customers: How to Create a Customer-Centric Company" で紹介されていた事例を参照し、要点を抽出します。
まず、下図をご覧ください。
POVは、Point of View(ポイント・オブ・ビュー)の略で、視点とか観点という意味で使われます。
CXは、Customer eXperience(カスタマー・エクスペリエンス)の略で、顧客体験です。
顧客体験価値は成長戦略の中核です。
文化(CULTURE)が中心にあります。マインドセットや行動、そして働き方を変える必要があります。
その上で、顧客体験価値を上げること。それこそが戦略である、ということです。
参照事例は、顧客体験価値にこだわるために、顧客中心の会社を築くにはどうしたら良いかを、XPLANE社とMathematica社が協働して議論した事例です。
顧客体験を変革するためのステップとして、下記の5つが挙げられていました。
- 顧客との接点の地図を描く
- 将来起こり得る良いことを想像する
- 顧客について学ぶ
- 従業員を活性化する
- 顧客体験価値を高める取り組みに顧客と従業員を巻き込む
以下、上記5つについて要点を書きます。
2.1. 顧客との接点の地図を描く
大切なことは、顧客の観点から、顧客との接点を考えることです。
そして、顧客との全ての接点を地図に描きます。
欠落していることや、機会となり得ることを特定します。
下図は、Mathematica社の事例です。
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顧客との接点(touchpoints)を5つの観点でまとめています。
左から右へ下記の5つがまとめられています。
- 顧客を魅了し、顧客との関係性を維持する(Attracting/Sustaining Relationships)
- 新しいプロジェクトを開発する(Developing a New Project)
- 設計し計画する(Designing and Planning)
- 設計し計画したことを実施する(Doing the Work)
- 効果を推進する(Driving the Impact)
一例として、「顧客を魅了し、顧客との関係性を維持する」を見てみましょう。
アイコン付きで、顧客との接点(touchpoints)がリストされています。
さらに、必要となるスキルとトレーニング(Skills/Training)、これらの顧客との接点を運営管理するための協働する仕組み(Admin Collaboration)、顧客を理解するための知識基盤(Knowledge base/Client)について、具体的に何が必要なのかが洗い出されています。
2.2. 将来起こり得る良いことを想像する
まず、現状を理解することから始めます。
機会がありそうな領域を特定し、将来どうなったら良いかを考えます。
そして、将来展望の青写真を文書化します。
下図は、Mathematica社の事例です。
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左側が現状の顧客体験を表現したものです。
右側が将来こうなって欲しいという顧客体験を表現したものです。
左側の現状の顧客体験の円の中心には "THE PRODUCT IS EVERYTHING" と書かれています。製品中心主義ですね。目線は内向き(自社製品)に向いています。
右側の、将来こうなって欲しいという顧客体験の円の中心には "OUR WORK HELPS OUR CLIENTS HAVE AN IMPACT IN THE WORLD" と書かれています。顧客中心主義に変わりたいと表現しているようです。目線は外向き(顧客)に向いています。「私たちは、世界中の私たちの顧客が達成したい効果を出してもらうことを助けるために働く」という感じでしょうか。
左側の現状とは軸足が大きく変わっていると思います。自分たちが変わる必要がある、変わりたい、そんな意思が読み取れます。
さらに、左側の現状には "CLIENT AS FUNDER"(資金提供者としての顧客)という記述があります。
顧客は事業を行う上での資金提供者。平たく言ってしまうと、「顧客は金(カネ)」という意識が読み取れます。
右側の将来像では "CLIENT AS PARTNER"(顧客はパートナー)という記述があります。
「顧客が達成したいことを助けるパートナーになりたい」という意識が読み取れます。その上で、顧客が達成したいことを助けるということに対して、顧客が体験価値を見出してくれて、対価を払ってくれる。そのことでMathematica社は事業を行うことができる。このようになりたい、ということなのでしょう。
もう1点。顧客からのフィードバックについて。
左側の現状には "BLACK HOLE" と書かれています。顧客からのフィードバックはブラックホールに吸い込まれてしまい、何にも活かされない、ということのようです。
右側の将来像では "FEEDBACK LOOPS"(フィードバックの循環)と書かれています。顧客からのフィードバックは宝の山と捉えることができます。顧客からのフィードバックを活用して、顧客からの信頼を築きたいということのようです。
2.3. 顧客について学ぶ
顧客について、何を知っていて、何を知らないのかを文書化します。
正確にいうと、「何を知っていると思っているのか」、「何を知らないと思っているのか」ということなのだと思います。
思っていることと、現実は異なることが多いものです。
前の節で書いた「顧客はパートナー」という姿勢で、顧客を巻き込み、自分たちが思っていることが正しいのか否かを実際に顧客に確認することができると良いですね。この考えを発展させることができれば、顧客はパートナーであり、顧客がやりたいこと・顧客が望むものを共創するところまでいけるかもしれません。顧客の望みを顧客に語ってもらい、対話しながら協働して、望みを実現できるかもしれません。
下図は、Mathematica社の事例です。
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顧客について学ぶための8週間の計画が議論されたようです。
顧客とのコミュニケーションから始まり、最終版ドラフト作成までの計画が表現されています。
2.4. 従業員を活性化する
ここからは従業員を巻き込んでいきます。
大切なことは、この活動というか流れを部門内に作り出すことだ、と言っていました。
そのためには、小さな成功を共有すること、顧客からのフィードバックを共有すること、これらが大切だとも言っていました。
下図は、Mathematica社の事例です。
『会社の会議:来るべき強者に備える:小中高生に学ぼう』というコラムで紹介したアクティブ・ラーニングの風景に似ていますね。主体的な対話型の活動は、このような形になります。
このような従業員を巻き込んだ活動により、顧客中心のプレイブックを作成することができたそうです。
下図がプレイブックの事例です。
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このプレイブックで記述されていることを1枚で表現したものが下図になります。
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"Reimagining the Mathematica Client Journey" とありますので、顧客との接点を旅と捉え、その旅を考え直すという感じだと思います。
下記の5つを旅と捉えて、顧客体験価値にこだわって、顧客中心に働くことが具体的かつ簡潔に表現されています。
- 顧客を魅了し、顧客との関係性を維持する(Attracting/Sustaining Relationships)
- 新しいプロジェクトを開発する(Developing a New Project)
- 設計し計画する(Designing and Planning)
- 設計し計画したことを実施する(Doing the Work)
- 効果を推進する(Driving the Impact)
2.5. 顧客体験価値を高める取り組みに顧客と従業員を巻き込む
最後のステップです。
継続的な改善の取り組みに顧客と従業員を巻き込みます。
この取り組みの運営モデルを作り、管理システムを作ります。
Mathematica社では、顧客体験価値を計測する手段として、NPSサーベイを採用したそうです。
そして、顧客サービス評議会という、NPSサーベイの結果を評価し対策を講じる会議体を作ったそうです。
また、説明責任のあるリーダーシップという観点から、専任の顧客体験リーダーという役割の人を、新たに採用したそうです。
3. 提案:会議やワークショップでの議論を成果物を作成するための協働の時間と考える
この章では、顧客体験価値にこだわるために、2章の事例を踏まえて、具体的な提案を行います。
2章のXPLANE社とMathematica社が協働した事例をご覧になって、どう感じましたか?
作成すべき成果物が事前に決められていて、それを作成するために議論をしていた。私はこの点を強調したいと思います。
例えば1時間話し合う時間があるのなら、その時間内で、最初にこれを作って、次にこれを作って、...という具体的な目標があるべきです。
会議には、その会議を主宰するオーナーというべき人が必ずいるので、オーナーと上の段落に書いたような具体的な時間の使い方を設計することが重要になるのです。
2章の事例では、ウェビナーで説明していたMathematica社のCBO(Chief Business Officer、最高ビジネス責任者)がオーナーだったのだろう、と私は考えています。そしてXPLANE社が具体的に最初にこれを作って、次にこれを作って、...という設計をしたのだろう、と私は考えています。
2章に事例として取り上げたフレームワークを使って、2章の事例のような議論プロセス(5つのステップ)で、Mathematica社を顧客中心の会社に変革するための方法を考えたようです。顧客体験価値にこだわるためには、同じ議論プロセスとフレームワークを使わなくてはいけない、ということではありません。別のフレームワークを使っても良いのです。2章の議論プロセスを参照しながら別の議論プロセスでアプローチしても良いのです。
大切なことは、あなたの会社に合った議論プロセスと議論の内容に合ったフレームワークを選んで、必要ならば議論の内容に合わせてカスタマイズすることです。
下の画像をご覧ください。TRADITIONAL MEETINGとありますので、伝統的な会議という感じでしょうか。4人が会議室に集まって何かを話し合っているようです。文字や絵はありません。言葉だけがやりとりされています。伝統的な会議と言われるだけあって、この形の伝統(会議の伝統)を守っている会社は多いのではないでしょうか。
上図は、このYouTube動画 から撮ってきたものです。
伝統的な会議の形は古い、と私は考えています。
この形の会議では、冒頭で具体的な時間の使い方、具体的な作成すべき成果物、成果物の作り方、等々が会議の冒頭で共有されることは稀です。漫然と時が流れてしまう危険性があります。
漫然と時間を使えるほど暇な人はいないと思います。効果的に時間を使いましょう。
会議やワークショップでの議論を成果物を作成するための協働の時間と考える。このことを私は提案します。
そのためには、会議やワークショップにファシリテーションを活用することが必要です。
2章の事例の「顧客との接点の地図を描く」のステップで例示した顧客との接点(touchpoints)には、スキルとトレーニングが書かれていました。
- 顧客を魅了し、顧客との関係性を維持する(Attracting/Sustaining Relationships)
- 新しいプロジェクトを開発する(Developing a New Project)
- 設計し計画する(Designing and Planning)
- 設計し計画したことを実施する(Doing the Work)
- 効果を推進する(Driving the Impact)
上記5つのほとんどに、ソフトスキルとファシリテーションが書かれています。
言い換えると、顧客体験価値にこだわるのであれば、ソフトスキルを実務で使えるレベルまで引き上げることが必須とも言えます。
ソフトスキルは、ファシリテーション、コミュニケーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、チームビルディング、ネゴシエーション、エモーショナル・インテリジェンスなどの対人系のスキルです。
最後までお読みいただきありがとうございました。