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小川芳夫

ファシリテーションの活用を支援するコンサルタント

小川芳夫(おがわよしお) / ファシリテーター

BTFコンサルティング

コラム

会社の会議:参加者にコミュ力は必要なのか:会議に必要な能力を考察する

2020年10月12日 公開 / 2022年6月6日更新

テーマ:会議活性化

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 業務効率化 手法働き方改革チームビルディング

このコラムはビジネスパーソンの方々を対象として書いています。

このコラムでは、会社の会議に必要な能力を考察します。

会社での会議には「コミュ力」が必要だと思っている方がいらっしゃいます。
私には違和感があります。この違和感がこのコラムを書くモチベーションです。

最初に、このコラムで扱う会議を定義します。
次に、いわゆる「コミュ力」について触れます。
最後に、会議に必要な能力について考察します。


このコラムは次の3つの章で構成します。10分程度で読める量です。


私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのためのお手伝いをしたい」と考え、この屋号にしました。

ファシリテーション。Facilitationという名詞です。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。ファシリテーションをする人をファシリテーター (facilitator) と言います。


1. 会議とは

この章では、このコラムで扱う会議を定義します。情報伝達の場は外しましょう。

参加者全員で課題を議論し、打ち手を決め、さらに、誰が、何を、いつまでに、何の役割を持って、実施するのかを合意形成する。そして、今後どのように実施状況を追跡するのかを合意する。このコラムで言う会議とは、このような会議です。

上の段落を分解して説明します。

「参加者全員」

参加者の数名が議論して何かを決めるのではなく、参加者全員が議論に参加する、ということです。

「課題を議論する」

雑談から入らない。会議中に隣の人と会議に関係ないことを喋らない。議論すべきことを議論する、ということです。

「打ち手を決め」

会議の成果物として、代表的なものの1つにTo Doがあります。課題を議論し、課題を解決するためのTo Doを決める、ということです。

「誰が」

個々のTo Doについて、誰が担当するのかを個人名付きで決めます。グループ名やチーム名はいけません。理由は、少し後に書きます。

「何を」

個々のTo Doについて、何をするのかを、具体的に決めます。曖昧な表現は後々解釈の相違を生む危険性がありますので、具体的に決める必要があります。

「いつまでに」

期限です。「いつ頃」ではなく、日時を決めるべきです。

「何の役割を持って」

「誰が、何を、いつまでに」までは決めている方もいらっしゃると思います。役割も決めてください。
RACI(みんなで相談した後)
上図は、私のコラム『会社の会議:会議の変革:RACIを活用して実施可能なTo Doを合意しよう』から抜粋したものです。(画像のタップやクリックで拡大します)

上図は、ある家庭での家事分担を RACI を活用して、話し合いをした結果の表です。
RACI は、役割と責任を見える化するものです。R、A、C、I 各々の役割と責任は下記です。

  • R:実行責任者 (RはResponsibleの頭文字):当該 To Do 項目を実行することに責任を持つ人(複数人可)
  • A:説明責任者 (AはAccountableの頭文字):当該 To Do 項目について内容や進捗・状況を組織内外に説明することに責任を持つ人(通常ひとり)
  • C:相談される人 (CはConsultedの頭文字):当該 To Do 項目の実行を支援する役割を担い、円滑に実行されるよう相談を受け助言する人(複数人可)
  • I:報告を受ける人 (IはInformedの頭文字):当該 To Do 項目の進捗・状況について報告を受ける役割を担う人(複数人可)
  • R と A は誰かを必ず任命します。兼任可です。
  • C と I は誰も任命されなくてもOKです。この2つも兼任可です。


お母さんは全部の家事の項目について、Aすなわち内容などを家族に説明する責任を持ち続けます。

R つまり実行する責任をみんなで分担することにしました。
買い物はお父さん、洗濯は中学生のお姉ちゃん、皿洗いはお母さん、調理は最近家庭科で調理を習って興味を持ち始めたボクがお母さんの助けを受けながら頑張ることにしました。

C は相談される人です。実行の支援もします。お母さんは、お姉ちゃんの洗濯の相談役にもなっています。

I は報告を受ける人です。お母さんは、食料品の買い出しについて、どこで何を買ってくるのか事前にお父さんが考えていることの報告を受けます。有体に言うと、お母さんが買ってくるものを実質決めるのかもしれませんね。お姉ちゃんとボクも食べたいものがあるので C がついています。

お父さんは、調理に I がついています。味にうるさいのかもしれませんね。あるいは、食べ物に何かの制限があるのかもしれません。

食料品の買い物はお父さん。と決めただけではうまくいきません。
上記で書いた、「お母さんは、食料品の買い出しについて、どこで何を買ってくるのか事前にお父さんが考えていることの報告を受けます。お母さんが買ってくるものを実質決めるのかもしれませんね。お姉ちゃんとボクも食べたいものがあるので C がついています。」なのです。実はお父さんは食料品の買い物をした経験が少なく、家族から「大丈夫かなぁ」と思われているのかもしれません。

To Doを新人に割り当てる事がありますよね。経験を積み育ってもらうためです。上記のお父さんも食料品の買い物の新人かもしれません。そういう場合は、新人に R の役割を持ってもらい、信頼できる人に C の役割を持ってもらうのです。平たくいうと、「初めてだから、いろいろ不安かもしれないけど、C の役割の◯◯さんが丁寧にサポートしてくれるから、安心して大丈夫だよ」という体制にする、という事です。

少し上の段落で、「誰が担当するのかを個人名付きで決めます。グループ名やチーム名はいけません。理由は、少し後に書きます。」と書いた理由がこれです。個人に役割を持たせる事が大切です。グループやチームに持たせてしまうと、役割や責任が曖昧になり、結局誰も実施しない、ということになってしまう危険性があります。

「何の役割を持って」とはどういうものか、ニュアンスをつかんでいただけたら幸いです。役割を明確にすることは大切です。

「今後どのように実施状況を追跡するのかを合意する」

例えば、「食料品の買い物」について、「次の日曜日に家族みんなで集まって、これでいいのか、もっと良くするためにはどうしたら良いのか、1週間を振り返る」です。「実施状況の追跡」を合意しておかないと、合意されたと思われたTo Doが結局実施されなかった、なんてことになってしまうかもしれません。ですから、この合意形成はとても大切なのです。


2. コミュ力とは

コミュ力。マジックワードかもしれません。マジックワード(magic word)は、直訳すれば「魔法の言葉」となります。さまざまな場面で使われる「便利な言葉」で、説得力があるような感じがするものの、とても曖昧な言葉を指す表現がマジックワードだと言われています。

コロナ禍になってからは、ほぼなくなってしまったかもしれませんが、数名でランチに行った時、話し好きで話題も豊富で、その場を仕切ってしまうような人っていますよね。宴会の時も同様。一方で、会議になると、そうでもない。そういう人がいます。

私は以前、『会社の会議:会議に活かす性格分類:従業員体験を向上させよう』というコラムで、大型類人猿分類を紹介しました。話し好きなボノボタイプがコミュ力があって会議で話すのが得意で、他のタイプは会議では話をするのが苦手なのでしょうか。オランウータンタイプやゴリラタイプは、意見を求められなければ話さないかもしれません。自分からは積極的に話そうとしない。まず発言し、発言しながら考えることができる人もいます。よく考えてから口を開く人もいます。どちらが良くて、どちらが良くない、というようなことではありません。

このコラムの冒頭で、「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」ことをする人をファシリテーターという、と書きました。
自分からは積極的に話そうとしない人からも、まず発言し発言しながら考える人からも、ファシリテーターは中立的な立場で意見を引き出す人です。

1章で書いたとおり、参加者全員が議論に参加することが大切です。ファシリテーターが必要です。

実は、私は会議にはいわゆるコミュ力はあっても無くても良い、つまり、どちらでも良いと考えている者です。言い換えると、マジックワードのような曖昧な言葉ではなく、具体的に会議に必要な能力を考える必要がある、と考える者です。誰が考えるべきかというと、会議に参加するあなたです。


3. 会議に必要な能力とは

いきなりですが、あなたは「会議のしかた」を教えられたことはありますか?もし、「会議のしかた」がスキルだとしたら、教えられるということです。学ぶことができるということです。ちなみに、欧米のビジネスパーソンは会議のしかたを学んでいます。

この章では、会議の参加者が身につけるべき能力について考えます。私が考えることなので、私の意見になります。ご異論のある方は、お手数をおかけして恐縮でございますが、このコラムの最後に記載する相談先までご連絡いただけましたら幸甚でございます。

冒頭で書いたとおり、私は「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのために貢献したい」と考えています。はじめの一歩として、会議にファシリテーションを活用して欲しいと考えています。

以下、私が「参加者が身につけるべき能力」と考えるものについて、できるだけ具体的に説明します。


新しいことを学ぶ能力

新しいことを学ぶ姿勢と言い換えても良いかもしれません。

小中高校生の家族をお持ちの方はいらっしゃるでしょうか?2020年度から新学習指導要領になったことをご存知かと思います。小学校は2020年度から、中学は2021年度から、高校は2022年度から、アクティブ・ラーニングが導入されます。新しい学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」の視点からの授業改善を重要視しているそうです。(出所:『2020年度、子供の学びが進化します!新しい学習指導要領、スタート!』中の『5.「どのように学ぶか」も重視』)

『予測困難なこれからの時代。子供たちには自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、自ら判断して行動し、よりよい社会や人生を切り拓いていく力が求められます。学校での学びを通じ、子供たちがそのような「生きる力」を育むために、学習指導要領が約10年ぶりに改訂され、2020年度より小学校から順に実施されます。』とのことです。教師がファシリテーターとなり、児童生徒は対話を通して、主体的に学ぶことを学ぶのです。

私が小中高の時の教育は、同じスペックの人を量産することに重きを置いていたように思います。時代が変われば、求められるものが変わるのです。当たり前のことですよね。当事者にとっては楽なことではないかもしれませんが。

お子さんが、あるいはご家族が、学んでいることを知らなくてもいいですか?ファシリテーションくらい理解しましょう。私は、ファシリテーションは令和の読み書きソロバンのようなものだと考えています。


多様な意見を尊重する能力

昔は、ひとりのリーダーがいて、メンバーはそのリーダーに従っていれば仕事を全う出来ていた時代がありました。

今はそんなに単純ではない。文科省が新学習指導要領で言っているように、予測困難な時代に於いて、リーダーひとりで従業員の誰もが納得する戦略を決められるでしょうか。そんなワンダーウーマンのような人はいるでしょうか。

見方を変えます。
組織には専門性の高いスタッフが集まっています。ある領域ではリーダーよりもスタッフの方が専門性が高いのではないでしょうか。小中高生がみんなで対話しながら、知恵を出し合いながら課題を解決するように、組織に属する組織のチームのみんなで知恵を出し合いながら課題を解決するしかありません。

別の角度から見ます。
変革のスピードが速く、破壊的なビジネスモデルが突然現れるようになりました。Uber Eats や Airbnb など、例は沢山ありますよね。個人だけでは達成できない課題を、チームで迅速に解決することが求められる時代になったと思います。

組織・チームのみんなで、専門性の高い人たちの多様な意見を尊重し、意見やアイデアを出し合い、それらをかみ合わせ、合意を形成していくことが求められているのです。


人の話をよく聞く能力

多様な意見を尊重するためには、まずは人の話をよく聞く能力が必須です。
ご自分と違う意見にこそ傾聴することが求められます。


思い込みを捨てることは大切です。
2019年5月5日にアメリカのガートナー(Gartner)のアナリストが書いた "The difference between diversity and inclusion in the workplace – and why it matters" という記事があります。
この記事の中で、『多様なことに対して、無意識のうちに偏見を持つのは自然だ』と書いています。自分は人種差別主義者ではない、とか性差別主義者ではない、と自分で自分に言い聞かすよりも、無意識のうちに偏見を持ってしまうかもしれないことを認めた方が良い、と言っています。

職場の中で、「アイツは◯◯なヤツだ」というレッテルを貼ったりしていませんか?あなたにはそう見えていても、他の人には異なって見えているかもしれません。
今今の日本は同調圧力が強い社会なので、自分と異なるものを受け入れたくないという感覚が無意識のうちに自動的に働いてしまうかもしれません。

「自分には無意識のうちに偏見を持ってしまう危険性がある」と認めた方が良い、と私は考えています。ヒトというのはそういう危険性を持った生物だと認める。だから、そうしないように気をつける。職場で偏見を持っても(互いに偏見を持ち合っても)何も良いことはないですから。最近、アンコンシャス・バイアス(unconscious bias)という言葉を見聞きするようになったとお感じの方がいらっしゃると思います。無意識の偏見ということですね。よく見聞きするということは、重要性が認識されていると言えると思います。

ひとつの選択肢として、このような考えもあって良いのではないか、と私は考えています。
偏見や先入観や固定観念を捨てて議論に参加しましょう。


相手の意見を理解する能力

次の話し合いの場面をお読みください。

ある会社の営業部での話し合いの場面という想定です。
従業員Aは若手、従業員Bと従業員Cは先輩従業員という設定です。
話し合いのテーマは、「あまり売れ行きの芳しくない清涼飲料水をどう売り出していくか」です。

  • 部長:それでは、何でもいいからアイデアあれば言ってくれ。
  • 一同:・・・
  • 課長:ここは意見があれば何でも自由に言える場だから遠慮せずに、さあ。
  • 従業員A:こういうのはどうですか?2本か3本まとめて買った場合には、1本サービスとか。
  • 従業員B:それじゃあ、利益が上がらないじゃないか。
  • 部長:そうだな、ちょっと無理があるかな。
  • 従業員A:それじゃあ、5本以上では?
  • 従業員C:そんなに買う奴なんて、あまりいないんじゃぁないかなぁ。
  • 部長:そもそも、そんなやり方したら、中身には自信がありませんと言っているようなものじゃないか。
  • 課長:そうそう、安売りのスーパーじゃないんだから。さあ、他にはないかな?

(参照:カウンセラーの「聴く力」 ISBN978-4569772608)

何か違和感を感じた方はいらっしゃいますか?
できれば、従業員Aの立場に立ってみたり、従業員Bの立場に立ってみたり、部長や課長の立場に立ってみたりしてください。

一例として、私は従業員Aの立場に立ってみました。「何でも自由に言える場って言ったよね?何でみんなから否定されなくっちゃいけないの?当選者がデザインした自分オリジナルのラベルをつけたすっごくインパクトのあるドリンクを1本サービスってどうかな、って思ったのに。聞いてもくれなかった。もう、この人たちの前で発言するのは止めようかな。」なんて思ってしまうかもしれませんね。

自分のアイデアを受け入れてもらえる「安心安全な場」ではなく、いつ否定されるかわからない「不安危険な場」になってしまっているのですから。

会議を誰の意見も否定されない「安心安全な場」にすることは、とても大切なことです。

上記の話し合いの例は、見方によっては、有能な若手をみんなで潰しているようにも見えてしまいます。
もう一点。この話し合い、従業員Aさん以外は評論家みたいになっているように見えます。「あまり売れ行きの芳しくない清涼飲料水をどう売り出していくか」というテーマに対して、いろいろなアイデアを募る話し合いだったはずなのに。時間の無駄遣い、とも言えるかもしれません。

下は、いかがでしょうか?

  • 従業員A:こういうのはどうですか?2本か3本まとめて買った場合には、1本サービスとか。
  • 従業員B:面白そうなアイデアだね。もう少し具体的に話してくれる?
  • 従業員A:はい。2本か3本まとめて買った場合にくじを引いてもらうんです。で、当選者は自分でデザインした自分オリジナルのラベルをつけたドリンクを1本もらうことができるというのはどうかな、って思いました。
  • 従業員C:インパクトありそうだね。SNSで評判になるかも。
  • 課長:おっと...それってインパクトの強いキャンペーンを打つってことだね。
  • 部長: じゃあ、まずは「売り上げ増につながりそうなインパクトの強いキャンペーン」について、アイデア出ししてみようか?


従業員Bの「面白そうなアイデアだね。もう少し具体的に話してくれる?」が、前出の例を大きく変えるきっかけを与えています。
相手の意見を理解する能力とは、どういう感じなのか、お分かりいただけましたでしょうか?

最初の例で従業員Aがもっとわかりやすく発言すればよかったんだよ、なんて言わないで欲しいです。従業員Aだって、自分のアイデアをわかりやすくみんなに伝えることができれば良いのかもしれませんが、完璧な人間なんていないし、みんなでチームでアイデアを引き出し合う必要がある、と私は思うのです。

言い方を変えると、チームでアイデアを引き出し合うことに貪欲であれば、必死にどんな意見も逃さずに理解しようという姿勢になるだろうと思います。

偏見や先入観や固定観念を捨てること、自分は偏見や先入観や固定観念を持っている可能性があると認識すること、これは大切なことです。


わからないことを訊く能力

わからないことってありますよね。全知全能な人などいないのですから。

例えば、『新しいことを学ぶ能力』で書いたアクティブ・ラーニングやファシリテーション。あるいは、テレワークで爆発的に使われるようになったウェブ会議ツールなどITツールの使い方。

ファシリテーションを活用した会議とは、どんなものなのか。いまさら会議について訊くなんて、なんとなく恥ずかしい。もし、あなたが課長や部長職であれば、ウェブ会議ツールなどITツールの使い方がわからないことを部下に知られること、例えば「こんなこともわからないんですか?」なんて言われるのではないか、という不安。これらの気持ちはわかります。

見方を変えましょう。
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざがあります。
わからないことを訊く能力とは、勇気を出してわからないことを訊くことは恥ずかしくないと思うこと、と言い換えられる、と私は考えています。


例えば、ファシリテーション。ファシリテーションをうまく活用すると、会議時間が半分とか3分の1になる可能性があります。勇気を出して、未知のことを知りたいと思う好奇心を持っていただきたいと思います。

先に書いた、「安心安全な場」であることは、わからないことを訊くための前提条件になります。何を訊いてもいい、知らないことを馬鹿にしない、知っている人は知らない人に教える。こういった事が大切だと思います。

このトピックの最後に一言。ウェブ会議ツールなどITツールの使い方について、知らないのはOKとして、覚えようとしないというのはNGです。そういう姿勢はレッドカードです。


恥ずかしがらずに発言する能力

先に書いた、「安心安全な場」であることが、恥ずかしがらずに発言するための前提条件です。

1章で説明した RACI。あなたが会議に招待されたということは 、あなたは何らかの役割を持って参加しているのです。仕事として何か役割を持って参加しているのですから、その役割を全うしなければなりません。

もし、会議に招待された理由が分からないのであれば、招待した人に確認する、という事が自然にできるようなチームであって欲しい、と私は考えています。

例えば、あなたが C(相談される人)の役割を持っていると仮定しましょう。あなたは専門家として、ご自身の経験から何らかの助言となるような意見・アイデアを発言することを求められているのです。言い方を変えると、会議の招待者は、あなたのことを専門家として認めているのです。是非、恥ずかしがらずに発言していただきたいです。「安心安全な場」なので。

もし、あなたが I(報告を受ける人)の役割だとしたら、参加は必須とはいえません。とはいえ、参加したのであれば、当事者であるのですから、発言したいことは発言するべきです。あなたの発言が、誰かと誰かの発言を化学変化させる触媒となるかもしれないからです。

自分たちの会議の基本原則を自分たちで合意して作る

この章で説明したことを、「自分たちの会議で守るべき基本原則(グラウンド・ルール)」として合意できるのであれば、会議室の後ろの人からでも読める文字の大きさでフリップチャートに書き、会議の度に会議室の壁に貼る、ということをしていただきたいと思います。

ファシリテーターがいれば、これらのことはファシリテーターの仕事として認識されていますので、ファシリテーターが行います。

下記は、グラウンド・ルールの一例です。大切なことは、自分たちの会議の基本原則を自分たちで合意して作ることです。

  1. 人の話をよく聴く。ご自分と違う意見にこそ傾聴を!
  2. 恥ずかしがらずに発言する。積極的に発言を!
  3. わからないことは訊く。わからないことは恥ずかしくない!
  4. 思い込みを捨てる。先入観や固定観念を捨てて議論に参加を!
  5. 相手を非難しない。相手の意見を理解した上でご自分の意見を!




最後までお読みいただきありがとうございました。 
 
 
 

この記事を書いたプロ

小川芳夫

ファシリテーションの活用を支援するコンサルタント

小川芳夫(BTFコンサルティング)

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