経営を脅かすリスクを再点検!! 経営リスクを無力化できる対策を公開。是非お役立てください
FAQとは、どのようなものなのでしょうか?
「よくある質問をまとめたもの」と理解している方も多いと思います。
実際、FAQは顧客やユーザーから寄せられる頻度の高い質問と、その回答を整理して掲載する仕組みです。
しかし、FAQを作って公開すれば、それだけで顧客の問題が解決するとは限りません。
「FAQを増やしたのに問い合わせが減らない」
「FAQを見たはずなのに、顧客から電話がかかってくる」
「社外向けFAQと社内向けFAQをどう分ければよいのか分からない」
「問い合わせの内容をFAQの改善につなげられない」
このような悩みがある場合、FAQの「作り方」だけではなく、FAQを何のために使うのか、その後どのように改善していくのかまで考える必要があります。
この記事では、まずFAQの意味や読み方、Q&Aとの違い、メリット、作り方など基本的な内容を説明します。
そのうえで、実際の顧客応対から次のFAQを生み出し、FAQそのものを継続的に進化させていく考え方について解説します。
FAQとは?
FAQとは、Frequently Asked Questionsの略です。
日本語では「よくある質問」や「よくある質問とその回答」と表現されます。
企業のWebサイトやサービスサイト、コールセンター、社内システムなどで、顧客や従業員から繰り返し寄せられる質問と回答を整理して掲載します。
FAQの読み方
FAQは「エフ・エー・キュー」と読みます。
「ファック」などとは読まず、アルファベットを一文字ずつ読むのが一般的です。
FAQの目的
FAQの大きな目的は、顧客やユーザーが必要な情報を自分で見つけ、自己解決できるようにすることです。
問い合わせる前にFAQを確認して問題を解決できれば、顧客にとっては問い合わせの手間を減らせます。
企業にとっても、同じような質問への対応件数を減らし、オペレーターや従業員が個別の判断を必要とする問い合わせに時間を使えるようになります。
つまりFAQは、単に「質問と回答を掲載する場所」ではありません。
顧客が必要な情報を自分で見つけ、問題を解決できるようにするための仕組みです。
では、
「FAQに回答を掲載すること」
と、
「顧客の問題が解決すること」
は、本当に同じなのでしょうか?
FAQとQ&Aの違い
FAQと似た言葉に「Q&A」があります。
Q&Aは「Question and Answer」の略で、質問と回答をまとめたものです。
一方、FAQは「Frequently Asked Questions」の略で、頻繁に寄せられる質問を意味します。
そのため、Q&Aは質問と回答を幅広く扱えるのに対し、FAQでは実際によく寄せられる質問を中心に整理します。
たとえば、製品についての質問を幅広く整理したものがQ&Aだとすれば、顧客から特に多く寄せられている質問をまとめたものがFAQです。
ただし、実務ではFAQとQ&Aが厳密に区別されずに使われることもあります。
重要なのは名称の違いではなく、
「顧客が必要な情報を見つけて、問題を解決できる状態になっているか」
という点です。
FAQのメリット
FAQには、さまざまなメリットがあります。
顧客が自己解決できる
必要な情報がFAQに分かりやすく整理されていれば、顧客は問い合わせをしなくても自分で問題を解決できます。
これは顧客にとって、問い合わせ先を探したり、電話をかけたり、回答を待ったりする負担の軽減につながります。
問い合わせ件数を減らせる
繰り返し寄せられる質問をFAQで自己解決できるようにすれば、同じ内容の問い合わせを減らせる可能性があります。
ただし、FAQを作ったから必ず問い合わせが減る、というわけではありません。
オペレーターや従業員の負担を減らせる
同じ質問への回答を顧客自身が見つけられるようになれば、オペレーターや従業員は、より個別性の高い問い合わせや判断が必要な業務に時間を使えるようになります。
顧客満足度の向上につながる
顧客が必要な情報を必要なタイミングで見つけられれば、問い合わせにかかる時間や手間を減らせます。
その結果として、顧客体験の向上につながる可能性があります。
情報やナレッジを蓄積・共有できる
FAQは、企業の中にある情報を整理して共有する場所にもなります。
特に社内向けFAQでは、過去の問い合わせや対応方法を整理することで、担当者による知識の差を小さくすることにも役立ちます。
ただし、ここでも注意が必要です。
FAQを作って情報を掲載するだけでは、その情報が本当に顧客の問題解決につながるとは限りません。
FAQはなぜ必要?
FAQが必要になる背景には、同じような質問が繰り返し発生することがあります。
毎回同じ質問に人が回答するよりも、顧客自身が必要な情報を見つけて解決できるのであれば、その方が顧客にとっても企業にとっても効率的です。
ただし、FAQの目的を「問い合わせをゼロにすること」と考える必要はありません。
顧客の状況によっては、人による確認や判断が必要なケースもあります。
大切なのは、
FAQで自己解決できる問題は自己解決できるようにし、人による判断が必要な問題には人が対応できるようにすること
です。
では、FAQを整備すれば、実際に問い合わせはどの程度減るのでしょうか。
ここで、顧客が実際にどのような行動をしているのかを見てみましょう。
FAQを作れば問い合わせは減るのか?
FAQを作る目的の一つは、顧客が問い合わせをせずに自己解決できるようにすることです。
しかし、実際にはFAQを確認したうえで、コールセンターへ電話する顧客もいます。
「コールセンター白書2025」の利用者調査では、コールセンターに電話する前にホームページの「よくある質問集」を見た人が約7割に上っています。
つまり、
「FAQを見ていないから電話してくる」
だけではありません。
「FAQを見た。それでも解決できなかったから電話してくる」
という顧客が相当数いるということです。
なぜでしょうか?
考えられる理由はいくつもあります。
FAQに自分が知りたい質問が掲載されていなかった。
質問は掲載されていたが、自分の状況に当てはまる回答が分からなかった。
回答そのものは正しかったが、必要な情報が複数のページに分散していた。
回答を読んでも、次に何をすればよいのか分からなかった。
自分の場合にどの選択肢を選べばよいのか判断できなかった。
つまり、
「FAQを見たかどうか」
だけではなく、
「FAQを見て、顧客自身が問題を解決できたかどうか」
を見る必要があります。
当社でも、実際の顧客応対を通じて、この問題を確認したことがあります。
顧客は事前にFAQを確認していました。
しかし、それでもコールセンターへ問い合わせてきました。
そこでオペレーターがFAQに沿って回答すると、顧客から、
「それは、もう確認しました」
と言われることがあります。
FAQに正しい回答が掲載されている。
顧客もそのFAQを確認している。
それなのに、顧客の問題は解決していない。
なぜなのでしょうか?
FAQに沿って回答しても「もう確認しました」と言われるのはなぜ?
ここで考えなければならないのは、
「顧客が何を質問したのか」だけではなく、「顧客が何に困っているのか」
です。
「質問に答えること」と「問題を解決すること」は、同じではありません。
たとえば、返品について顧客から問い合わせがあったとします。
FAQに「返品は購入後30日以内に受け付けています」と書かれていたとしても、それだけでは顧客の問題が解決しない場合があります。
顧客が知りたいのは、
「自分の商品は返品できるのか」
「この状態でも返品できるのか」
「何を準備すればよいのか」
「どのような手続きが必要なのか」
という、具体的な自分の状況に対する判断かもしれません。
つまり、
正しい回答が掲載されていることと、顧客がその回答を使って自分の問題を解決できることは別の問題
なのです。
だからといって、すべてのケースをFAQに追加すればよいわけではありません。
FAQを増やし続ければ、今度は情報が多すぎて、必要な情報を見つけられなくなる可能性もあります。
重要なのは、
「この顧客は何に困っていたのか」
「何を確認すれば問題を解決できたのか」
「どの情報があれば自己解決できたのか」
を考えることです。
そして、ここに次のFAQを作るための重要な材料があります。
顧客の問題解決から、次のFAQを考える
FAQを見ても解決できず、実際にコールセンターへ問い合わせてきた顧客との応対そのものが、次のFAQを作るための材料になります。
たとえば、顧客から問い合わせがあったとします。
オペレーターは顧客の状況を確認し、必要な質問を行い、情報を確認し、問題を解決します。
ここで、その問い合わせを単なる「1件の対応」として終わらせるのではなく、
「顧客は最初、何に困っていたのか?」
「FAQのどこが不足していたのか?」
「どのような質問や確認が必要だったのか?」
「最終的に、どの情報が問題解決につながったのか?」
「同じ状況の顧客が他にもいるのではないか?」
と振り返ります。
そして、
「この質問と回答がFAQに掲載されていれば、今回の顧客は電話をせずに自己解決できたのではないか?」
と考える。
これが、次のFAQを作るための材料になります。
つまりFAQは、一度作って終わるものではありません。
顧客の利用状況や問い合わせ内容をもとに、次のFAQを考えていく仕組みにすることが重要です。
FAQは作って終わりではない
FAQは公開した時点で完成するものではありません。
顧客が新しい疑問を持つこともあれば、商品やサービスが変わることで、新しい質問が発生することもあります。
また、FAQを見ても自己解決できず、問い合わせにつながるケースもあります。
この「自己解決できなかった問い合わせ」こそ、FAQを改善するための重要な情報になります。
考え方としては、次のような循環です。
FAQを公開する
↓
顧客がFAQを利用する
↓
自己解決できる/できない
↓
解決できない場合は問い合わせる
↓
オペレーターが顧客の問題を解決する
↓
新しい質問・回答・確認事項・判断材料が見つかる
↓
次のFAQを考える
↓
FAQを更新する
↓
次の顧客の自己解決につなげる
この循環を回すことが重要です。
ここで大切なのは、「問い合わせがあったら、必ずFAQを一件追加する」ということではありません。
その問い合わせが、FAQで自己解決できる種類の問題なのか。
それとも、人による確認や判断が必要な問題なのか。
そこを見極める必要があります。
FAQの数を増やすことが目的なのではありません。
顧客が自分で問題を解決できる範囲を広げること
が目的なのです。
しかし、ここで一つ問題があります。
実際の問い合わせから次のFAQを作るためには、
「その顧客に対して、オペレーターが実際に何をして問題を解決したのか」
を残しておかなければなりません。
では、応対が終わった後にオペレーターへ、
「今回、どのように対応しましたか?」
と聞けば、その情報を残せるのでしょうか。
当社が行った実験では、ここにも別の問題が見えてきました。
応対後に「何をしたか思い出してください」では、ナレッジ化できない
FAQを改善するために、実際の問い合わせから新しい質問や回答を見つけようとすると、実際の応対で何が起きたのかを確認する必要があります。
そこで考えられるのが、応対終了後にオペレーターへ、
「今回、どのように対応しましたか?」
「なぜ、その対応を選んだのですか?」
と聞き、後からナレッジとして整理する方法です。
一見すると、シンプルな方法に思えます。
しかし、当社が行った実験では、この方法だけでは十分な結果を得ることができませんでした。
オペレーターは、顧客と会話をしている最中に、その時点で必要な対応を判断しながら問題を解決しています。
顧客の話を聞き、
「この場合は、この質問を確認しよう」
「この情報を案内しよう」
「この方法では解決しないので、別の方法を確認しよう」
といった判断を、その場その場で行っています。
ところが、その一つ一つの判断を、文章として記録しているわけではありません。
顧客との会話が終われば、次の顧客への応対が始まります。
そのため、後になって、
「なぜ、その質問をしたのですか?」
「他にはどのような選択肢がありましたか?」
「なぜ、その対応を選んだのですか?」
と聞かれても、そのときの判断を正確に思い出すことは簡単ではありません。
当社の実験でも、顧客の問題解決を起点として応対を振り返り、後から対応を再構成しようとしました。
しかし、十分に再現できないケースが多くありました。
そして、ここで「思い出せない」という結果をオペレーター個人の問題にしてしまうと、さらに本質から離れてしまいます。
これは、応対中の人間の認知と、応対後に情報を記録する仕組みとの間にある問題です。
思い出せないオペレーターを責めたり、問い詰めたりしても、ナレッジが増えるわけではありません。
むしろ、オペレーターにとっては、目の前の顧客対応とは別の作業が増えることになります。
では、どうすればよいのでしょうか。
ここで、重要な違いがあります。
「何を話したのか」と「何を選んだのか」は、同じではありません。
「何を話したか」と「何を選んだか」は違う
現在では、顧客との会話を録音し、音声を文字起こしすることもできます。
そのため、
「顧客とオペレーターが何を話したのか」
を後から確認することは、以前よりも容易になっています。
これは非常に重要な情報です。
しかし、音声や文字起こしから分かるのは、基本的には、
「何を話したのか」
です。
一方、応対品質を考えるうえで知りたいのは、それだけではありません。
たとえば、ある場面でオペレーターが一つの質問をしたとします。
そのとき、本当は複数の質問候補があったのかもしれません。
その中から、なぜその質問を選んだのでしょうか。
別の質問を選ばなかったのは、なぜでしょうか。
顧客の状況を確認した結果、最初に考えていた対応を変更したのでしょうか。
あるいは、別の選択肢では問題を解決できないと判断したのでしょうか。
音声や文字起こしだけでは、こうした**「選択の過程」**までは必ずしも残りません。
つまり、
「何を話したか」
と、
「その時点でどのような選択肢があり、その中から何を選び、なぜ選んだのか」
は、別の情報なのです。
この違いが、応対をナレッジに変えるうえで重要になります。
AIコーチングエンジンで応対からナレッジを残す
当社の「AIコーチングエンジン」は、ここに着目しています。
AIコーチングエンジンは、AIが顧客に対する正解を決めて、その回答をオペレーターに読み上げる仕組みではありません。
判断はヒト・意思決定はヒト。
人が応対品質を設計し、その設計された会話や判断の流れを、AIが支援します。
AIコーチングエンジンでは、あらかじめ設計したトークスクリプトを、単なる固定された文章として扱うのではありません。
顧客の状況に応じて、どの質問をするのか。
どの確認をするのか。
どの案内を選ぶのか。
その先で、どの分岐へ進むのか。
といった、応対の流れそのものを構造化します。
そして、応対の中で、どの候補が提示され、どの候補が選択されたのかという履歴を残します。
これによって、応対終了後に、
「何を話したのか」
だけではなく、
「その場面でどのような選択肢があり、その中から何を選んだのか」
を確認できるようになります。
さらに重要なのは、その選択理由です。
たとえば、応対後に、
「この場面では、この候補が提示されていました」
「その中から、この対応を選択しました」
「なぜ、この対応を選択したのでしょうか?」
「他の候補を選ばなかったのは、なぜでしょうか?」
と確認することができます。
つまり、応対が終わってから記憶だけを頼りに、
「最初から最後まで、何をしたか思い出してください」
と聞くのではありません。
実際の応対で発生した選択肢や分岐を手がかりにして、そのときの判断を確認していくのです。
ここに、応対をナレッジへ変えていくための大きな違いがあります。
FAQの役割は「答えを増やすこと」ではない
ここまで見てくると、FAQの役割も少し違って見えてきます。
FAQを作ること自体が目的なのではありません。
FAQの数を増やすことが目的でもありません。
目的は、
顧客が必要な情報を見つけ、自分で問題を解決できる範囲を広げること
です。
そのためには、顧客がどこで自己解決できなかったのかを知る必要があります。
そして、問い合わせが発生した場合には、その問い合わせを単なる「対応件数」として処理するのではなく、
「顧客は何に困っていたのか」
「何を確認することで問題が解決したのか」
「どの質問や情報が必要だったのか」
「その内容はFAQで自己解決できるものなのか」
を確認する必要があります。
さらに、そのときオペレーターがどのような選択をしたのか、その選択理由まで残すことができれば、応対そのものを組織のナレッジとして活用できます。
すると、
FAQ → 顧客の自己解決 → 解決できない問い合わせ → 顧客の問題解決 → 応対からのナレッジ化 → 次のFAQ
という循環が生まれます。
FAQは「よくある質問と回答を並べたページ」から、
顧客の問題解決を起点として、次の自己解決を生み出し続ける仕組み
へと変わっていきます。
FAQについて、こんな悩みはありませんか?
もし、次のような悩みがあるのであれば、FAQそのものではなく、FAQを作る前後の仕組みまで見直す必要があるかもしれません。
- FAQを増やしているのに、問い合わせが減らない
- 顧客がFAQを見ても自己解決できない
- FAQに沿って回答しても「もう確認しました」と言われる
- 社外向けFAQと社内向けFAQをどう整理すればよいか分からない
- 問い合わせ内容をFAQの改善につなげられていない
- 応対で得られた知識が、その場限りで終わってしまう
- 「応対後に思い出してください」と聞いても、十分なナレッジが残らない
- ベテランの判断や経験を、組織で再利用できる形にできていない
- FAQを増やすべきなのか、人による対応を残すべきなのか判断できない
こうした場合、いきなりFAQを増やしたり、ツールを導入したりするのではなく、
現在どのような問い合わせが発生しているのか
顧客はどこで自己解決できなくなっているのか
実際の応対では、どのような判断や確認が行われているのか
を確認することから始める方法があります。
当社では、現状の調査・分析から、必要な対策の整理まで無料で行っています。
FAQの作り方だけではなく、顧客応対、問い合わせ、ナレッジ、社内での情報活用まで含めて、
「どこを変えれば、顧客が自分で解決できる範囲を広げられるのか」
を一緒に整理します。
必要に応じて、FAQの設計・運用改善や、顧客応対の仕組みづくり、ナレッジ化の仕組みまで、具体的な対策をご提案します。
FAQを「作って終わり」にするのではなく、
顧客の問題解決から学び、次の自己解決につなげる仕組み
として考えてみてはいかがでしょうか。


