経営を脅かすリスクを再点検!! 経営リスクを無力化できる対策を公開。是非お役立てください
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉を聞いたことはありませんか?
この格言は、勝利には偶然や幸運が影響することがあっても、敗北には何らかの原因があるという考え方を表しています。
スポーツでも、ビジネスでも、成果が出たときには、その理由を十分に振り返らずに終わってしまうことがあります。一方、失敗したときには、原因を探り、次に活かそうとします。
こうした振り返りは、成果を高めるために大切なことです。
しかし、ここで一つ考えておきたいことがあります。
原因を分析し、改善を重ねているのに、同じ問題が繰り返されるとしたら、何を見直す必要があるのでしょうか。
例えば、企業が戦略を決め、社員にもその重要性を説明し、実行するように働きかけている。それでも期待した成果が出ない。
そのとき、社員の能力や意識、努力だけに原因を求めてよいのでしょうか。
もしかすると、戦略を実行するための仕事の仕組みそのものに、問題があるのかもしれません。
この記事では、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という格言を入口に、原因分析の考え方から企業組織のあり方へと視点を広げ、「組織は戦略に従う」という言葉を、成果を生み出す組織づくりという観点から考えていきます。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」とは?
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」は、勝ったという結果だけで自分の実力を過信せず、負けたときには、その原因を振り返ることの大切さを伝える格言です。
例えば、スポーツの試合で考えてみましょう。
相手のミスに助けられたり、偶然うまくいったプレーが決め手になったりして、勝利を手にすることがあります。
しかし、その勝利が、必ずしも実力や準備の十分さを証明しているとは限りません。
反対に、試合に負けたときには、技術、判断、準備、連携など、さまざまな観点から原因を振り返ることができます。
もちろん、すべての敗北に原因が一つだけあるわけではありません。相手との力関係や予測できない状況など、自分たちだけでは制御できない要因もあります。
それでも、結果をそのまま受け入れるのではなく、何が起きたのかを分析し、次の行動につなげることには意味があります。
ただし、ここで重要なのは、原因を探す目的です。
失敗した人を見つけて責任を問うことが目的なのではありません。
原因を理解し、必要な対策を講じ、同じ問題が起きにくい状態をつくることが目的です。
この考え方を企業の仕事に当てはめると、もう一つの問題が見えてきます。
原因を分析して改善策を決めても、実際の仕事でその改善策を実行できなければ、成果は変わらないのではないでしょうか。
負けの原因を分析すれば、次は勝てるのか
失敗の原因を分析することは重要です。
しかし、原因が分かったことと、その原因を取り除けたことは同じではありません。
例えば、仕事でミスが発生したとします。
原因を調べた結果、担当者の確認不足が見つかったとしましょう。
そこで、「次からは十分に確認するように」と指導したとします。
本人が反省し、注意するようになれば、改善することもあるでしょう。
しかし、確認するための時間が確保されていない、必要な情報が分散している、確認手順が曖昧である、複数の業務を同時に処理しなければならない、といった問題が残っていたらどうでしょうか。
担当者がどれほど注意していても、同じようなミスが起きる可能性は残ります。
この場合、本人への指導は必要かもしれませんが、それだけでは十分ではありません。
確認手順を明確にする、必要な情報を集約する、業務の優先順位を整理するなど、仕事の仕組みを変える必要があるかもしれないのです。
つまり、原因分析には二つの段階があります。
- 原因を特定すること
- 特定した原因を取り除けるようにすること
前者だけで終わってしまえば、分析結果が報告書に残るだけで、実際の仕事は変わらないことがあります。
同じ問題が繰り返されるときには、本人が原因を理解しているかだけでなく、改善策を実行できる条件が整っているかまで確認する必要があります。
この考え方は、企業が戦略を実行する場面にも当てはまります。
戦略に合意しているのに、なぜ成果が出ないのか
企業では、経営層が戦略を決め、その目的や重要性を社員に説明することがあります。
社員も戦略に納得し、目標の達成に向けて取り組んでいる。
それなのに、期待した成果が出ないことがあります。
例えば、顧客対応の品質を高めるという戦略を掲げたとしましょう。
その実現に向けて、研修を増やす、マニュアルを整備する、応対品質を評価する、といった施策を実施します。
社員にも改善の必要性を伝え、管理者が指導や支援を行います。
それでも、顧客対応の品質にばらつきが残り、同じ問題が繰り返されるとしたら、どう考えればよいのでしょうか。
社員の意識が足りないのでしょうか。
知識や能力が不足しているのでしょうか。
もちろん、そうした問題が存在する場合もあります。
しかし、必要な知識が共有されていない、学んだことを実際の仕事で使う機会がない、困ったときに支援を受けられない、評価基準が戦略の目的と一致していない、といった問題があるかもしれません。
社員が戦略に合意していることと、戦略を実行できることは別なのです。
戦略を理解していても、それを実現するための情報、役割、手順、支援、評価などが整っていなければ、実行は難しくなります。
そのような状況で、さらに社員に努力を求めるだけでよいのでしょうか。
ここで考えたいのが、「組織は戦略に従う」という考え方です。
「組織は戦略に従う」とは、どういうことか
「組織は戦略に従う」という考え方は、企業が目指す戦略に合わせて、組織のあり方を整える必要があるという視点です。
戦略を決めるだけでは、組織の仕事の進め方まで自動的に変わるわけではありません。
戦略を実現するには、それに合った役割分担、情報共有、業務プロセス、意思決定、評価、学習の仕組みなどが必要になります。
例えば、顧客の期待をより深く理解し、商品やサービスの改善につなげる戦略を掲げたとします。
ところが、顧客の声が問い合わせ窓口に蓄積されるだけで、商品企画や営業、品質管理などの部門に共有されないとしたらどうでしょうか。
顧客の声を集めることはできても、商品やサービスの改善にはつながりにくくなります。
この場合、顧客の声を集める担当者が努力していないからでしょうか。
そうとは限りません。
顧客の声を必要な部門に届け、意味を読み取り、改善策を検討し、実行につなげる仕組みが整っていない可能性があります。
戦略を実現するためには、各担当者が努力するだけでなく、担当者同士の仕事がつながり、組織として成果を生み出せる状態が必要です。
ここで注意したいのは、「組織は戦略に従う」という言葉を、社員が戦略に合わせて行動するべきだという意味だけで捉えないことです。
社員に戦略を理解してもらい、実行に向けて行動してもらうことは大切です。
しかし、それと同時に、戦略を実行できるように組織の仕組みを整えることも、経営や組織づくりの重要な役割なのです。
では、現在の組織で戦略を実行できないとき、人に努力や適応を求めるだけでは、組織はどう変わるのでしょうか。
人に努力や適応を求めるだけでは、組織はどう変わるのか
人に努力を求めること自体が、悪いわけではありません。
知識を身につけること、技術を磨くこと、経験から学ぶこと、周囲と協力することは、仕事の成果を高めるために必要です。
問題は、人に努力を求めることだけで、組織が変わったと考えてしまうことです。
例えば、ある業務で成果が出ないときに、社員へ研修を行い、目標を伝え、行動の改善を求めたとします。
社員が学び、仕事への取り組み方を変えれば、成果が改善する場合があります。
しかし、業務の手順や役割分担、情報の流れ、評価の仕組みが以前のままであれば、社員が個人の工夫で不足を補うことになるかもしれません。
経験豊富な社員は、自分の知識や工夫で問題を解決できるでしょう。
一方、経験の浅い社員は、必要な情報や支援を得られず、同じ状況でうまく対応できないかもしれません。
結果として、一部の社員に仕事が集中したり、特定の管理者に支援が依存したり、個人によって成果に差が生じたりすることがあります。
この状態では、社員の努力によって一時的に成果が出ても、組織全体の仕事の仕組みが改善されたとは限りません。
また、社員が工夫して成果を上げても、その方法が共有されず、ほかの社員や次の業務に活かされなければ、組織として学習したことにはなりにくいでしょう。
ここで考えたいのは、社員が努力しているかどうかだけではありません。
- 戦略の実現に必要な情報を、必要な人が使える状態になっているか
- 社員が学んだことを、実際の仕事で活かせるか
- 困ったときに必要な支援を受けられるか
- うまくいった経験や失敗から得た知見が、組織全体で共有されているか
- 評価の仕組みが、会社として実現したい成果とつながっているか
こうした条件が整っているかどうかによって、同じ能力を持つ人でも、発揮できる力や成果が変わる可能性があります。
人の努力や成長を大切にすることと、人の努力だけに依存しない仕組みをつくることは、両立できます。
むしろ、人の力を活かすためにこそ、仕事の仕組みを見直す必要があるのです。
では、戦略を実現できる組織にするために、仕事の仕組みをどのように変えればよいのでしょうか。
戦略を実現できる組織にするには、仕事の仕組みをどう変えるのか
仕事の仕組みを変えるときには、最初にツールや制度を導入するのではなく、会社として何を実現したいのかを確認する必要があります。
戦略が明確でなければ、どのような仕組みを整えるべきかも判断できないからです。
そのうえで、戦略と日々の仕事がどのようにつながっているのかを整理します。
例えば、次のような観点があります。
1. 戦略を日々の仕事に落とし込む
会社として実現したいことを、実際の業務や役割に結びつけます。
社員が自分の担当業務をこなすだけでなく、その仕事が会社の目標や顧客への価値にどうつながっているのかを理解できるようにします。
2. 必要な情報や知識を使える状態にする
情報を蓄積するだけでは、仕事の改善につながるとは限りません。
必要な人が、必要なときに、仕事に活かせる形で情報や知識を利用できることが重要です。
3. 個人の経験を組織の学習につなげる
経験豊富な社員が持っている知識や工夫を、その人だけのものにしないことも大切です。
どのような状況で、何を確認し、どのように対応し、何がうまくいったのか。
こうした経験を整理し、ほかの社員が学び、実際の仕事で活かせるようにすることで、組織としての再現性を高められる可能性があります。
4. 役割や支援の仕組みを整える
社員が自分の役割を理解し、必要なときに周囲の支援を受けられる状態をつくります。
特定の人だけが問題を解決できる状態が続いているなら、知識の共有や業務プロセス、支援体制を見直す余地があるかもしれません。
5. 評価と戦略のつながりを確認する
会社が実現したい成果と、実際に評価している行動が一致しているかを確認します。
例えば、顧客の期待に応えることを目指しているのに、処理時間の短さだけを重視していれば、社員は時間をかけて顧客の状況を理解するより、早く応対を終えることを優先するかもしれません。
評価の仕組みが、会社の戦略と矛盾していないかを確認する必要があります。
このように、仕事の仕組みを変えるということは、単に新しい制度やツールを導入することではありません。
会社が実現したいことに合わせて、仕事の進め方、情報の流れ、役割、支援、評価、学習の仕組みを整えることです。
また、仕組みを整えたら終わりではありません。
実際に仕事がどう変わり、どのような成果が生まれたのかを確認し、その結果を次の改善につなげる必要があります。
組織の仕組みを変えると、何が変わるのか
戦略と仕事の仕組みがつながると、組織にはさまざまな変化が期待できます。
例えば、必要な情報や知識を使える状態にすることで、社員が問題を解決するまでの時間を短縮できるかもしれません。
経験豊富な社員の知見を共有することで、特定の人だけに依存していた業務を、ほかの社員も担いやすくなる可能性があります。
また、評価の仕組みを戦略と整合させることで、社員が何を大切にして行動すればよいのかを理解しやすくなります。
こうした変化は、次のような成果につながる可能性があります。
- 生産性の向上: 情報を探す時間や、同じ問題を繰り返し解決する負担を減らす
- 品質の安定: 個人の経験や力量だけに依存せず、必要な知識や手順を活用できるようにする
- 人材の成長: 経験や学びを実際の仕事に活かし、成長する機会を増やす
- 組織学習の促進: 成功や失敗から得た知見を共有し、次の改善につなげる
- 定着への好影響: 人が力を発揮しやすい環境を整え、働き続けるうえでの課題を減らす可能性を高める
ただし、仕事の仕組みを変えれば、必ずこれらの成果が得られるというわけではありません。
成果は、戦略の妥当性、施策の内容、実行状況、評価、組織内の連携など、さまざまな要因によって変わります。
そのため、仕組みを変えた後には、実際に何が変わったのかを測定し、期待した成果につながっているかを確認することが重要です。
もし期待した成果が得られなければ、社員の努力が足りないと結論づける前に、戦略と仕組みのつながりや、実行上の問題を改めて検討します。
このように、原因を分析し、仕事の仕組みを見直し、結果を確認して次の改善につなげることが、組織として成果を生み出す力につながります。
顧客期待に応えるために、組織の仕組みを見直す
ここまで、原因分析から組織の仕組みを見直すことの重要性を考えてきました。
では、そもそも、なぜ組織の仕組みを変える必要があるのでしょうか。
組織を整えること自体が、会社の最終目的ではありません。
会社として実現したい成果を生み出すためです。
当社が重視しているのは、会社として顧客期待に応えることです。
顧客の期待に応えるには、商品やサービスを改善することだけでなく、顧客の声を理解し、必要な情報を関係する部門で共有し、実際の改善につなげることも重要です。
しかし、顧客の声が集まっていても、それを使う人が必要なときに利用できなければ、改善にはつながりにくくなります。
顧客の期待を理解するための知識が、特定の担当者だけに蓄積されていても、組織全体で活かすことは難しいでしょう。
このような場合、顧客の声を集める担当者だけに努力を求めても、問題は解決しないかもしれません。
顧客の声をどのように集め、どのように理解し、誰が活用し、どのように商品やサービスの改善につなげるのか。
その一連の仕組みを整える必要があります。
これは、顧客対応の部門だけの問題ではありません。顧客期待に応えるために、商品、営業、サービス、業務、システムなど、関係する仕事のつながりを見直す必要がある場合もあります。
そして、こうした取り組みを進めるときには、現在の組織に合わせて戦略を縮めるのではなく、戦略を実現するために何を変える必要があるのかを考えることが重要です。
「組織は戦略に従う」という考え方を実践するとは、戦略を掲げて社員に実行を求めるだけではありません。
会社として目指す成果を実現できるように、組織の仕事の仕組みを整え、実行し、結果から学び、改善し続けること。
それが、組織として成果を生み出すための取り組みです。
成果が出ない原因を、個人の問題だけで終わらせていませんか
戦略に合意しているのに、期待した成果が出ない。
社員に努力を求めても、同じ問題が繰り返される。
改善策を実施しているのに、組織全体として変化が感じられない。
そのようなときは、個人の能力や意識だけでなく、戦略と仕事の仕組みがつながっているかを整理してみることが大切です。
当社では、現状の調査・分析から必要な対策の整理まで、無料でご相談いただけます。
「何が問題なのか、まだはっきり分からない」という段階でも構いません。
現在の状況を整理し、どこに問題があり、何から見直す必要があるのかを一緒に考えます。
原因を見つけて終わるのではなく、原因を取り除き、次の成果につなげる。
人に努力を求めるだけでなく、人が力を発揮し、組織として成果を生み出せる仕組みをつくる。
そのための第一歩として、自社の戦略と仕事の仕組みを、一度整理してみませんか?


