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スキーマ療法カウンセリングとは?ぬいぐるみを使った自分でできる取り組みなど

「メンタルヘルスの問題や慢性的な生きづらさを抱えている」「さまざまな心理療法を試してもしっくりこない」といった場合。もしかして、心の奥底にある無意識の思い込みが原因となっている可能性があります。スキーマ療法は、カウンセラーとともに過去の養育歴に立ち戻り、根本的な認識を修正しながら解決に導く、現代的な統合的心理療法です。

スキーマ療法について

スキーマ療法は、アメリカの心理学者ジェフリー・E・ヤングが考案したもので、さまざまな精神疾患の治療に用いられる認知行動療法から発展した心理療法と言われています。認知行動療法では、ある物事や出来事に対して自分の頭に浮かぶ「考えやイメージ(認知)」を捉えます。物事や出来事はその時々で異なるので、頭の中に浮かぶ「考えやイメージ(認知)」も状況によりさまざまです。スキーマはさらに深いところに存在しているもの、つまり、その人自身の信念や価値観、生き方の部分で、スキーマ療法では、生きづらさや困りごとの根っこの部分に焦点をあてていきます。

スキーマ(認知構造)

心理学用語でのSchema(スキーマ)は、まとまって記憶している情報や知識を意味します。人それぞれ、ある対象や出来事について自分が持っている記憶やイメージがあるでしょう。それらは、先入観による精神構造でもあるため「信念」や「思い込み」と和訳されることが多いです。

早期不適応スキーマ

子ども時代に確立され、人生において繰り返しよみがえる自己敗北的感情などは、早期不適応スキーマと呼ばれます。過去の悲劇的な出来事、心に受けた深い傷、虐待などの恐怖、愛情の欠如といった感情的な記憶や肉体的ダメージには根深いものがあります。

スキーマ療法とは?

「今、目の前にある問題が解決すれば十分」という程度ならよいのですが、もっと大きな観点での生きづらさ、パーソナリティに関する葛藤など、重い課題を抱えている場合、既存の精神的治療法では足りないことがあります。

冒頭でもお伝えしましたが、アメリカの心理学者ジェフリー・E・ヤングが1990年代に構築した「スキーマ療法」は、認知行動療法などでは効果を示さない、深いレベルの傷つきや苦しみを解消する統合的心理療法です。

認知行動療法は、いま目の前にある問題や不安、不満などを解決する手段に用いられることが多いですが、もっと大きな観点での生きづらさ、パーソナリティーに関する葛藤など、重い課題を抱えている場合はスキーマ療法を用いることができます。

スキーマは、いわばその人の価値観ともいえる部分で、この奥深い根っこの部分に焦点を当てていくのがスキーマ療法です。

例えば親子関係に問題があったり、不安定な環境で育ったケースでは、子ども時代に身についたマイナス感情が、暮らしや生き方そのものに大きき影響してしまうことがあります。この場合、スキーマ療法の枠組みの中で、治療的再養育法と呼ばれる方法を用いて、相談者の心を育て直します。このとき、信頼関係を築いたカウンセラーが親の役割を果たし、本来の親子のような優しい関係性を作ります。

スキーマ療法はどんな症状に用いられるのか

心の問題・生きづらさを抱えている場合

・メンタル不安が抜けずパニックを起こしてしまうことがある。
・何でも気にして傷つきやすく、自分の存在自体に自信が持てない。
・精神不安定気味で、先の見えない生活に絶望している。
・うつ病と診断され、治療をしても効果がなく納得できない。
・行き詰まりを感じると、自傷行為を繰り返してしまう。

叶わなかった5つの感情

人は誰しも5つの感情的欲求を持っています。
1.愛してもらいたい、守ってもらいたい、理解してもらいたい。
2.有能でありたい、何でもうまくこなしたい。
3.感情や考えを自由に表現したい、意志を大切にしたい。
4.のびのびと動きたい、生き生き楽しく遊びたい。
5.自分をコントロールできるようになりたい。

これらは「内なる子どものニーズ」とも呼ばれるように、あらゆる人が子ども時代から持ち合わせている感情欲求です。ところが幼少期にこれらが満たされなかったことによって、「早期不適応スキーマ」が形成されます。親からひどい仕打ちを受けて育ち、今ある怒りや不安、焦りがすべて昔の自分に重なってしまうケースなどは、その最たるところと言えるでしょう。

18種類のスキーマ

「早期不適応スキーマ」と呼ばれるスキーマには18種類あります。人はそのうちの2〜3個、あるいはそれ以上持っていることも多いとされます。感じ方の強弱はあっても「あ、これは自分に重なる」と思う人もいるでしょう。

<1.見捨てられ/不安スキーマ>

・人はいずれ去っていく存在だという考えを持つ。 ・人との関係が親密になることを制限し、自分を守る行動をとる傾向が強い。

<2.不信/自虐スキーマ>

・他者や自分自身に基本的な信頼感が持てない。 ・人と関わると、やがて自分は利用されるという思い込みを持つ。

<3.情緒的剥奪スキーマ>

・愛されない、わかってもらえない感情が非常に強い。

<4.欠陥/恥スキーマ>

・自分は生まれつき欠陥人間であると思い込んでいる。

<5.社会的孤立/阻害スキーマ>

・社会になじめず、他者との間に距離を感じる。
・自分は世の中のコミュニティーの一員ではないと思い込む。

<6.依存/無能スキーマ>

・何事も自分自身の力ではどうにもならないと思う。
・日々の責任や活動を自立して行うことは困難だと思っている。

<7.損害や疾病に対する脆弱性スキーマ>

・人間は常に災害や病気、事故と隣り合わせで、それがいつ自分に及んでくるかわからないと強く感じる。

<8.巻き込まれ/未発達の自己スキーマ>

・アイデンティティや方向性の持ち合わせがない。
・人に従い期待に応えるしか生きる術がないと感じる。

<9.失敗スキーマ>

・学校生活や仕事の場面において、常に失敗を伴うのではないかという不安にかられる。

<10.服従スキーマ>

・常に他人を優先し自分を抑えてしまう。
・人に服従しなければならないという思い込みに支配される。

<11.自己犠牲スキーマ>

・他者との方向性を考えた時、常に自分が犠牲となる選択をする。

<12.評価と承認の希求スキーマ>

・評価や承認を求めなければならないという思い込みがある。

<13.否定/悲観スキーマ>

・過剰な警戒心を持ち悲観的な予測をたて、それが現実になると思う。
・物事を一概に悲観的にとらえ、自分や他人を追いつめる。

<14.感情抑制スキーマ>

・感情を持ったり表現してはいけないという思いが強い。

<15.厳密な基準/過度の批判スキーマ>

・完璧でなければというプレッシャーを常に抱えている。

<16.罰スキーマ>

・失敗や誤りを犯せば罰を受けると考えてしまう。
・ミスをした自分に対して冷酷無慈悲になる。

<17.権利要求/尊大スキーマ>

・自分勝手になり過ぎて、何でもほしいままになると思い込む。
・思い通りにならない時、また日常的に他者に厳しい。

<18.自制と自律の欠如スキーマ>

・自制したり、忍耐力を持つこと、責任を負うことができないと感じる。

スキーマ療法の進め方と効果について

進め方

自分でも何が原因かわからない、多くの心理療法を試しても改善されない、解決策が見当たらないという場合。自分の人生を支配するスキーマに思い巡らせ、生きづらさの根本に向き合うことも大切です。スキーマ療法では早期不適応スキーマを手放し、新たな適応スキーマやハッピースキーマを身につけることを目指します。

目標を達成するために、まず「中核的感情欲求」という概念に注目します。中核的感情欲求とは、安心することや、守られること、自分が尊重されることなどで、すべての子どもが持っています。この欲求が満たされず形成された早期不適応スキーマを、カウンセラーとの二人三脚で満たし手放していきます。

例えば、虐待を受けた経験を持つ人をカウンセラーが守る立場となり、過去の経験に一緒に潜り込み、辛い体験に向き合ってきます。過去の事実は変わらないにしても、そこに付随する感情体験に変化を起こそうと働きかけます。

効果

親が途中で変わる、子ども時代に親に捨てられた、いつ見捨てられるかわからない不安を抱えてきた場合、「目の前にいる人との関わりが、いつかきっと途切れてしまう」というスキーマが形成されることがあります。親が懲罰的で、幼少期の失敗や間違いに不寛容な罰を与えたことが原因となり、「人と関わろうとしない」「罰を与えられそうなことから回避しようとする」スキーマが確立される場合があります。

スキーマ療法を行うと、自分の中にある記憶への強い感情、そこから形成されてしまったスキーマの存在に、少しずつ気づくようになります。思い込みによるネガティブな価値観を「どうやって手放そう?」「どのように新しいスキーマを身につけよう?」という発想の転換に押し上げていきます。

スキーマ療法は心の深い部分の傷つきや、ずっと抱えてきた生きづらさにアプローチし、従来のセラピーでは対応しきれなかったパーソナリティレベルの問題、心の内側からの回復を促します。

認知行動療法との違い

認知行動療法は、うつ病や不安障害にもエビデンスのある心理療法として信頼性があり、医療の枠組みで保険点数化されています。問題解決や症状回復のために確立された認知行動療法は、うつや不安などの症状、今その人が抱える対人関係、生活上の具体的な問題を解決するツールとして、とても役立ちます。認知行動療法は、現時点での問題点に対して意識上の浅いところを探るものです。また養育歴をさかのぼり、心の深いところを探るものに精神分析的心理療法があります。

一方のスキーマ療法には、人の意識上の浅いところと深いところの両方を可視化して、そのつながりを捉えていくという違いがあります。表面上の体験に残る過去の思いから、人生全体を見通していくのが特徴です。例えて言えば、認知行動療法は浅いところを潜るシュノーケリング、精神分析はどこに行くかはわからない潜水、スキーマ療法は安全装置を持って深く潜るスキューバダイビングというイメージです。

自分でできるスキーマ療法

書籍紹介

「いつも同じようなことで落ち込む」「人とのコミュニケーションが苦手」 など、似たようなパターンで苦しむ自分、変われない自分がイヤになるといった場合。セラピストがいなくても、自分1人で中核的感情欲求を癒やすスキーマ療法もあります。習得すれば適応的モードが身に付き、現実世界を生きやすくなるでしょう。まずは書籍を手に取って自分を支配するスキーマを見つけ、ワークに取り組むことから始めてみましょう。

ジェフリーヤングの著書の多くを翻訳し、スキーマ療法を日本に導入した伊藤絵美さん(公認心理師&臨床心理士)が、セルフスキーマ療法の本を出版しています。中でも「自分でできるスキーマ療法ワークブック1、2」は、自分でスキーマ療法に取り組めるよう工夫された内容で、当事者の事例を通じたシミュレーションをしています。イラストとともに自分を振り返る「心の体質改善 スキーマ療法 自習ガイド」は、生き方のヒントを探している人にもおすすめです。

伊藤絵美さんはスキーマ療法を「ニキビを治すのではなく、ニキビのできやすい体質を改善する療法」と解説しています。

ぬいぐるみを用いた療法

ぬいぐるみは子どものものだと思うかもしれませんが、触れると精神が落ち着き、大人の癒やしにも効果を期待できることがわかっています。幼少期の家庭環境のトラウマが原因で、大人になっても深く思い悩んでいる人が、ぬいぐるみに幼い自分を投影して抱きしめると、癒やしが得られるというものです。

用意するのは、両手で抱きしめられるサイズのぬいぐるみ。フワッとしていてさわって心地いいと感じる、愛着のわくようなものを1つ選んでみましょう。布団の中や落ち着ける場所で、ぎゅーっと抱きしめて、ゆっくり深呼吸してください。 抱っこして、子どもの頃に言ってほしかったこと、今聞いてほしいことなどを話しかけてみましょう。腕の中にいるのは、ぬいぐるみでなく自分の心です。自分で自分を抱きしめると、ガチガチに固まっていた奥深い部分がほどけていく実感が得られるかも知れません。

子どもの頃の恐怖体験が原因で歯医者さんに行けなかった女性が、ぬいぐるみを抱っこすると治療を受けることができた例もあります。ぬいぐるみには、見た目のかわいらしさという「視覚的な効果」「気持ちよい触感」の2つの要素があり、大人の不安やストレスも受け止め、解消してくれるのでしょう。

まとめ

人は幼少期から周囲の環境に応じて、パーソナリティを形づくっていきます。スキーマは、長年培ってきた行動パターンなどを方向づけていた、意識的・無意識的な核となる部分です。すでに固まってしまった不適応スキーマは、多くの心理療法や薬物療法を用いてもケアするに至らない場合があります。

成長期に起きた事実は変わらなくても、スキーマ療法で苦い体験と向き合い、そこに生まれた感情に変化を起こし、不安の解消を目指していきましょう。心の問題、生きづらさの問題、パーソナリティの問題をいたわりながらほぐすスキーマ療法は、未来に起こりうる困難を回避することのできる心理療法です。