孤独死の特殊清掃費用は保険で払える? 家財保険で必ず確認したい2つの補償

「孤独死が起きた部屋は、壁紙や床をすべて交換しなければならないのでしょうか」
大家さんや不動産管理会社から、よく寄せられる質問です。
室内に強い臭いが残っていると、すぐに全面リフォームが必要だと考えてしまうかもしれません。
しかし、最初から部屋全体を壊して交換することが、必ずしも最善とは限りません。
今回は、孤独死後の原状回復を始める前に確認したい三つのポイントを説明します。
特殊清掃と原状回復は同じではありません
特殊清掃は、体液や血液などで汚染された場所を処理し、消毒や消臭を行う作業です。
原状回復は、その後に床や壁などを補修し、再び使用できる部屋へ戻す作業です。
たとえば、床の表面だけが汚染されている場合と、床下まで汚染が達している場合では、必要な工事が異なります。
臭いの原因を調べないままリフォームを始めると、床や壁を交換したのに臭いが残る可能性もあります。
最初に行うべきことは、大規模な工事の契約ではなく、汚染範囲と臭いの発生源を確認することです。
原状回復は必要な範囲を見極めます
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復について、可能な限り損傷部分に限定し、最低限度の施工単位を基本とする考え方が示されています。
孤独死が発生した部屋でも、すべての壁紙や床材が必ず汚染されているとは限りません。
確認するべきなのは、次のような内容です。
床材が腐食または変色しているか。
汚染が床下まで達しているか。
壁紙や建具に臭いが残っているか。
エアコンや収納内部まで臭いが広がっているか。
消臭によって使用できる建材か。
交換が必要な場所と、消臭によって残せる場所を分けることで、不要な工事を減らせる可能性があります。
見積りは一式ではなく内訳を確認します
特殊清掃や原状回復の見積書に、
「特殊清掃一式」
「原状回復工事一式」
としか書かれていない場合は、具体的な作業内容を確認してください。
少なくとも、次の内容を分けて確認することが大切です。
残置物の撤去費用
汚染箇所の特殊清掃費用
消臭前の洗浄費用
完全消臭の施工費用
床や壁の解体費用
新しい建材の施工費用
廃棄物の処分費用
追加料金が発生する条件
最初の見積金額が安くても、作業開始後に解体や追加工事を勧められれば、最終的な費用が大きくなることがあります。
現場写真と見積内容が合っているか、なぜその工事が必要なのかを確認してください。
臭いを消してからリフォームを判断する
全花連は、極力リフォームをせずに完全消臭することを方針としています。
これは、どのような床や壁でも必ず残すという意味ではありません。
汚染によって腐食した建材や、破損した部分は交換が必要です。
一方で、まだ使用できる建材まで、臭いがあるという理由だけで最初から壊す必要はありません。
全花連では、まず臭いの発生源を調査し、特殊清掃と消臭前クリーニングを行います。
その後、特許第7298964号の花輪式完全消臭技術によって臭いの原因へ対応し、臭い戻りがないかを確認します。
そのうえで、破損や変色、再募集に必要な内装の状態を見ながら、交換する範囲を判断します。
全面リフォームには工事費だけでなく空室期間も影響します
原状回復費用を考えるときは、工事代金だけを見てはいけません。
大規模なリフォームによって作業期間が長くなれば、その間は次の入居者を募集できません。
工事費を抑えることと、早く再募集できる状態へ戻すことの両方を考える必要があります。
ただし、急ぐあまり、臭い戻りの確認を省略することも避けなければなりません。
入居後に臭いが再発すれば、再施工や再退去につながる可能性があります。
今回のまとめ
孤独死後の原状回復では、最初から壁紙や床をすべて交換するのではなく、
臭いの発生源はどこか。
汚染はどこまで広がっているか。
消臭で残せる建材はあるか。
本当に交換が必要な部分はどこか。
見積りの内訳は明確か。
を確認することが大切です。
特殊清掃の目的は、部屋を壊すことではありません。
臭いの原因を取り除き、極力使用できる建材を残し、もう一度安心して暮らせる部屋へ戻すことです。
次回は、特殊清掃業者へ見積りを依頼するときに、後悔しないための確認事項を分かりやすく説明します。
必要な施工範囲や費用負担は、汚染状態、賃貸借契約、保険の補償内容などによって異なります。判断が難しい場合は、不動産会社、保険会社、弁護士などの専門家へご相談ください。


