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孤独死の特殊清掃費用はいくら?

花輪隆俊

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テーマ:特殊清掃

総括1

全花連の1DK約32万円の実例と料金が決まる仕組み
「孤独死が起きた部屋の特殊清掃は、いくらかかりますか?」
全花連へ寄せられる相談の中でも、特に多い質問です。
インターネットで調べると、
「特殊清掃〇万円から」
「1Kなら〇万円」
という料金表示が数多く出てきます。
しかし、実際の孤独死現場は、間取りだけで料金を決めることができません。
同じ1DKでも、亡くなってから発見されるまでの期間、家財の量、汚染の範囲、臭いの広がり方、建物の構造によって、必要な作業が大きく変わるからです。
そのため全花連では、現地を確認せず、一律の料金をお伝えしていません。
まず現場を調査し、本当に必要な作業を確認したうえで、無料の見積りを提示しています。
今回は、全花連公式サイトに掲載している1DK約32万円の実例をもとに、特殊清掃費用の中に何が含まれるのか、なぜ現地確認が必要なのかを説明します。
全花連公式サイトに掲載している1DKの実例
全花連公式サイトでは、株式会社トータルプロデュースモコが対応した1DKの実例を掲載しています。
間取り 1DK
残置物の量 2トントラック2台分
作業内容
室内に残された家財や残置物の撤去
特殊清掃
全室の消臭作業
ハウスクリーニング
参考価格 約32万円
これは、1DKであれば必ず32万円になるという意味ではありません。
家財が少ないお部屋と、2トントラック2台分の家財が残されているお部屋では、搬出する量も作業時間も異なります。
同じ広さでも、汚染が床の表面だけにある場合と、床下まで達している場合では、必要な処置が変わります。
地域によって廃棄物の処分費用も異なります。
テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどがある場合は、家電リサイクル料金が別途必要になることもあります。
特殊清掃の料金は「何畳あるか」だけではなく、現場の状態によって決まります。
「特殊清掃費用」だけでは部屋は戻りません
孤独死現場の費用について、誤解されやすいことがあります。
それは、
「特殊清掃を依頼すれば、部屋の中がすべて片づき、臭いも消え、すぐに再募集できる」
と思われていることです。
実際には、一つの現場で複数の作業が必要になります。
たとえば、次のような作業です。
貴重品や重要書類の確認
家財や残置物の仕分け
残置物の搬出と処分
体液や血液などで汚染された箇所の処理
消毒や除菌
害虫対策
臭いの発生源の調査
消臭前の洗浄作業
完全消臭
作業後の臭い戻り確認
必要な原状回復
安い金額で特殊清掃だけを行っても、室内に残された物が撤去されていなければ、管理会社へ部屋を返すことができません。
見た目がきれいになっても、臭いが残っていれば、次の入居者を募集することもできません。
大切なのは、特殊清掃単体の値段ではなく、
「再募集できるお部屋へ戻すために、何が必要なのか」
を確認することです。
料金が大きく変わる五つのポイント
室内に残された物の量
残置物が多ければ、仕分け、搬出、車両、処分にかかる費用が増えます。
エレベーターがない建物や、作業車両を建物の近くに止められない現場では、搬出作業に時間がかかります。
亡くなってから発見されるまでの期間
発見までに時間がかかるほど、体液や臭気が床、壁、建材へ広がる可能性があります。
特に気温が高い時期や、暖房が入ったままの室内では、腐敗が早く進みます。
亡くなった場所
ベッドや布団の上で亡くなった場合と、直接床の上で亡くなった場合では、建物への汚染状態が異なります。
表面が清掃されていても、床材の隙間から体液が床下へ入っていることがあります。
臭いが広がった範囲
孤独死の臭いは、亡くなった場所だけに残るとは限りません。
壁紙、天井、収納、建具、エアコン、家具などへ付着している場合があります。
床下や壁の内側に臭いの発生源が残っていれば、表面だけを清掃しても臭いが戻ります。
建材の腐食や破損
全花連は、極力リフォームをしない原状回復を方針としています。
ただし、床材などが汚染によって腐食している場合や、建材そのものが破損している場合は、必要な部分を解体、交換しなければならないことがあります。
なぜ、オゾン脱臭だけでは臭いが戻ることがあるのか
全花連には、
「他社で特殊清掃とオゾン脱臭をしたのに、臭いが残っている」
「作業直後は臭わなかったのに、数日後に臭いが戻った」
という相談が寄せられます。
オゾン脱臭機が悪いわけではありません。
全花連でも、現場の状態に応じてオゾン脱臭機を使用します。
問題は、臭いの発生源を残したまま、オゾン脱臭だけで作業を終えることです。
床下に体液が残っている。
壁や床に臭いの原因となる汚れが付着している。
収納や建具に臭気成分が残っている。
この状態で室内の空気だけを脱臭しても、原因が残っている限り、再び臭いが発生する可能性があります。
そのため全花連では、機械を何時間動かしたかではなく、臭いの元を特定し、原因そのものへ対応できたかを重視します。
全花連の完全消臭は三つの段階で行います
全花連公式サイトでは、花輪式完全消臭の考え方を三つの段階で示しています。
臭いの元を特定する
臭いは、目に見える場所だけにあるとは限りません。
床下や壁の内側なども確認し、汚染がどこまで広がっているのかを調査します。
極力壊さず、臭いの元を分解する
臭いがあるという理由だけで、最初から壁紙や床材をすべて剥がすのではありません。
特許技術による薬剤施工で、建材などに染み付いた臭気の元へ対応します。
腐食や破損がなく、消臭によって使用できるものは、できる限り残します。
証明して引き渡す
施工後は、臭い戻りがないかを確認します。
施工内容に応じて「完全消臭施工証明書」を発行し、完全消臭を確認した状態を書面で示します。
片づけて終わりではありません。
完全消臭を終え、再び人が暮らせるお部屋として引き渡すことが、全花連の仕事です。
特許第7298964号「除菌、消臭方法」
花輪式完全消臭技術は、2023年に「除菌、消臭方法」として特許第7298964号を取得しています。
特許権者は、株式会社トータルプロデュースモコです。
特殊清掃現場で起きていた、
「オゾン脱臭をしたのに臭いが戻った」
「臭いを消すために壁紙や床をすべて壊すしかないと言われた」
「リフォーム費用が高額になり、保険金だけでは足りない」
という問題に向き合う中から生まれた技術です。
全花連が目指しているのは、見た目だけをきれいにする特殊清掃ではありません。
臭いの元を特定する。
臭気の原因を分解する。
臭い戻りがないことを確認する。
そして、極力リフォームをせずにお部屋を取り戻すことです。
作業を行うのは「特殊清掃完全消臭士」
特許技術があっても、誰が施工しても同じ結果になるわけではありません。
現場ごとに、亡くなった場所、汚染範囲、建材、臭いの広がり方が異なります。
全花連では、実際の特殊清掃現場で実技講習を行い、審査基準を通過した人を「特殊清掃完全消臭士」として認定しています。
認定者には、一人ずつ認定番号と認定証が発行されます。
全花連の認定事業者へ依頼するときは、認定番号と認定証を確認できます。
これは、
「会社が全花連へ加盟しているか」
だけではなく、
「実際に作業を行う人が、花輪式完全消臭技術を習得しているか」
を確認するための制度です。
全花連の見積りは、必ず本部を通します
全花連では、全国の認定事業者が作成した見積りを、そのまま依頼者へ提出する仕組みにはしていません。
見積書、事故報告書、写真台帳を全花連本部が確認します。
なぜ、その作業が必要なのか。
現場の状態と見積内容が合っているか。
不要な工事や不当な金額が含まれていないか。
写真や事故報告と作業内容に食い違いがないか。
これらを本部が精査したうえで、全花連の名前で見積りを提示します。
本部を通すのは、仲介手数料を受け取るためではありません。
初めて特殊清掃を依頼する方が、不当な金額を請求されないようにするためです。
施工後に問題が起きた場合も、施工した事業者だけではなく、全花連本部が窓口になります。
作業期間はどのくらいかかるのか
全花連公式サイトの案内では、作業範囲にもよりますが、1Kから1DK程度の通常のお部屋であれば、完全消臭まで2日から3日で完了する場合が多くあります。
2日間で対応する場合の一例は、次のとおりです。
1日目 残置物の撤去と清掃作業
2日目 消臭作業、拭き取り、臭い戻りの確認
ただし、汚染が床下や壁の内側まで広がっている場合、家財が非常に多い場合、建材の解体が必要な場合などは、さらに時間が必要です。
電話だけで「必ず何日で終わります」と断定することはできません。
現場を確認し、必要な作業を整理したうえで日程を決めます。
安い見積りが、最終的に安いとは限りません
見積金額が安い業者へ依頼したものの、
作業後に臭いが戻った。
追加料金を請求された。
リフォームを強く勧められた。
作業完了まで何週間もかかった。
施工後に連絡が取れなくなった。
このような相談があります。
最初の見積りが安くても、臭いが残って別の業者へ再施工を依頼すれば、費用を二重に支払うことになります。
壁紙や床を必要以上に交換すれば、原状回復費用も増えます。
空室期間が長くなれば、その間の家賃収入も失われます。
特殊清掃業者を選ぶときは、金額だけではなく、次の点を確認してください。
臭いの元を調査するか。
床下や壁の内側まで確認できるか。
誰が施工するのか。
認定番号や認定証を提示できるか。
写真台帳や事故報告書を作成するか。
追加料金の条件が明確か。
完全消臭施工証明書を発行できるか。
臭い戻りが起きた場合の窓口があるか。
特殊清掃費用は誰が負担するのか
賃貸住宅で孤独死が起きた場合、作業費用を誰が負担するかは、一律には決まりません。
確認する必要があるのは、次の内容です。
亡くなった入居者が加入していた家財保険
大家さんが加入している保険
賃貸借契約の内容
連帯保証契約の内容
家賃保証会社との契約内容
相続人の有無
相続放棄の有無
亡くなった方の相続財産
「家財保険に入っているから、必ず全額支払われる」
「連帯保証人がいるから、すべて請求できる」
「相続人がいるから、すぐに支払ってもらえる」
とは限りません。
加入している保険商品、補償内容、支払限度額、事故の状況などを確認する必要があります。
相続人が見つからない場合や、相続人全員が相続放棄した場合には、残置物の処理や賃貸借契約の終了が長期化する可能性もあります。
判断が難しい場合は、弁護士などの専門家へ相談してください。
家財保険で特に確認する二つの補償
全花連では、入居者が加入する家財保険や少額短期保険について、特に次の二つの補償を確認することをおすすめしています。
残置物処分費用 50万円以上
特殊清掃、消臭、原状回復費用 50万円以上
家財そのものに500万円の補償が付いていても、残置物処分や特殊清掃へ500万円を使えるとは限りません。
確認するべきなのは、
「家財保険に加入しているか」
だけではなく、
「残置物処分へいくら使えるのか」
「特殊清掃と消臭が補償されるのか」
です。
保険金の支払いは、加入している商品、補償内容、支払限度額、事故の状況、保険会社の審査によって異なります。
事故が起きてから補償不足に気づいても、後から補償を追加することはできません。
入居時や契約更新時に確認しておくことが大切です。
事故が起きる前から準備する「全花連安心サービス」
全花連は、孤独死が起きた後に特殊清掃を行うだけの団体ではありません。
全花連安心サービスでは、死後事務委任契約を活用し、入居者に万が一のことがあった場合の手続きを準備します。
賃貸借契約の終了に関する手続き
残置物の整理
特殊清掃
完全消臭
原状回復
管理会社への鍵の返却
これらの道筋を、賃貸借契約時または更新時に準備します。
事故が発生してから、
「誰が残置物を処分するのか」
「どの特殊清掃業者へ頼むのか」
「臭いが消えなかったらどうするのか」
と考え始めるのではありません。
何も起きていない今のうちに、相談先と対応方法を決めておきます。
孤独死が発生した直後に確認すること
すでに管理物件で孤独死が発生している場合は、慌てて室内の物を処分しないでください。
まずは、次の内容を確認します。
警察の現場確認が終わっているか。
室内へ立ち入ってよい状態か。
賃貸借契約書があるか。
死後事務委任契約書があるか。
入居者の家財保険証券があるか。
相続人や緊急連絡先を確認できるか。
室内の家財を処分できる権限があるか。
全花連安心サービスを導入している物件の場合は、管理会社または大家さんから全花連本部へ連絡し、死後事務委任契約書を提出してください。
全花連が契約内容を確認し、その後の対応を進めます。
特殊清掃の目的は、作業することではありません
特殊清掃の目的は、防護服を着て部屋を清掃することではありません。
残置物を運び出すことだけでもありません。
臭いを一時的に弱くすることでもありません。
全花連が目指すのは、
「もう一度、誰かが暮らせるお部屋へ戻すこと」
です。
臭いの元を特定する。
極力壊さずに分解する。
臭い戻りがないことを確認する。
完全消臭施工証明書を発行する。
そして、管理会社や大家さんへお部屋を引き渡す。
特殊清掃をして終わりではなく、再募集できるお部屋を取り戻す。
それが、特許「花輪式完全消臭技術」と「特殊清掃完全消臭士」の全国組織である全花連の役割です。
特殊清掃の費用と作業期間は、間取り、残置物の量、汚染範囲、建物の構造、地域の廃棄物処分費などによって異なります。
掲載した約32万円は、全花連公式サイトに掲載している1DKの施工実例であり、すべての1DKに適用される料金ではありません。
保険金の支払いや費用負担については、契約内容と個別の状況をご確認ください。

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専門家

花輪隆俊(特殊清掃業)

一般社団法人全日本花輪式完全消臭連盟

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