T6処理について

熊田茂雄

熊田茂雄

テーマ:表面処理技術

 T6処理(T6 treatment;Solution Heat Treatment)は、アルミ合金に対して溶体化処理と人工時効処理を組み合わせ、強度と硬さを高める代表的な熱処理法です。T6処理は、アルミニウム合金の強度と硬さを最大化するために「溶体化処理→急冷→人工時効処理」の順で行われる熱処理工程となります。

 この溶体化処理(①)、急冷(②)、人工時効処理(③)は、以下のようになります。

①溶体化処理(Solution Heat Treatment)
 T6処理の最初のステップであり、アルミ合金(例:A6061)を約520~540℃に加熱して、一定時間保持します。この工程により、合金中の銅(Cu)やマグネシウム(Mg)がアルミ基体中に固溶し、不均一な固体溶解物が均一化します。

②急冷(Quenching)
 溶体化処理後、合金を水または油などで急冷します。急冷により、溶解した成分が不均一に固化することを防ぎ、過飽和固溶体を形成します。これにより、次の人工時効処理で析出物を均一に析出させ、高強度を得る基盤が作られます。急冷速度や方法は材料形状や厚み、合金成分に影響を受けるため、適切な制御が必要となります。

③人工時効処理(Artificial Aging / Aging Treatment)
 急冷後、材料を160~180℃程度に加熱して数時間保持する工程です。この段階で、溶体中のCuやMgが微細な析出物(例:Mg₂Si)として析出し、材料の強度や硬さを大幅に向上させます。通常、A6061では8時間程度の保持でピーク時効状態(最大硬さ)を達成します。人工時効によって、構造部品や負荷がかかる部材に必要な機械的性能が得られます。

【他の調質との比較】
●T4処理
 溶体化処理後に自然時効。人工時効は行わない。中強度状態で、加工性に優れる。
●T5処理
 押出時の加熱を利用した人工時効処理のみ。T6より高強度ではないがコスト低減できる。
●T7処理
 溶体化処理後に過時効。過時効処理により強度は低下するが、伸びや疲労特性に適する場合がある。

 上記のように、T6処理されたアルミ合金は高強度・高硬度を実現し、航空機部品、自動車構造材、精密機械部品など、多様な高負荷用途に使用されています。

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/t6treatment

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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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