昼間の眠気、放っておいて大丈夫? 原因と対策を解説
◆眠れないのは心のSOS? うつ病と睡眠障害の意外な関係
「最近、どうもよく眠れない…」「朝早く目が覚めて、それから眠れなくなってしまう」「寝ても寝ても疲れがとれない」
もし、あなたがそう感じているなら、それは単なる寝不足ではないかもしれません。実は、不眠をはじめとする睡眠障害は、うつ病の最も初期かつ一般的な症状のひとつです。多くの人が「うつ病は心が病むこと」と考えていますが、実際には睡眠の乱れという形で身体にSOSが現れることが非常に多いのです。今回は、睡眠障害とうつ病の切っても切れない関係について、専門家の視点からお話ししたいと思います。
◆不眠はうつ病のサイン? 睡眠障害とうつ病の深い関係
うつ病の患者さんの約9割に「不眠」や「過眠」といった睡眠に関する症状あることからもわかるように、この2つの病気は密接に関わり合っています。
・入眠障害:なかなか寝付けない
・中途覚醒:夜中に何度も目が覚める
・早朝覚醒:朝早く目が覚めて、再び眠れない
・過眠:日中に眠気が強く、眠りすぎる
これらはすべて、うつ病でよく見られる睡眠の乱れです。特に「早朝覚醒」は、うつ病に特徴的な症状として知られています。
また、不眠症を発症した人はそうでない人に比べて、数年後にうつ病を発症するリスクが数倍も高まることがわかっています。つまり、不眠はうつ病の単なる症状ではなく、うつ病への入り口になる可能性があるということです。
◆なぜ不眠とうつ病は悪循環に陥るのか?
では、なぜ不眠とうつ病は悪循環を形成するのでしょうか。そこには、脳内の神経伝達物質が深く関わっています。
うつ病は、脳内のセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の機能低下が原因と考えられています。これらの物質は、気分の安定だけでなく、睡眠・覚醒リズムの調節にも重要な役割を果たしています。
不眠が続くと、心身の疲労が蓄積し、ストレス反応が強まります。これにより、脳内でセロトニンなどの物質のバランスがさらに崩れ、うつ病の症状が悪化します。うつ病の症状が悪化すれば、不安や焦りからさらに眠れなくなり、「不眠とうつ」の悪循環に陥ってしまうのです。
この悪循環を断ち切るには、不眠を放置しないことが何よりも重要です。
◆専門家からのアドバイス:不眠を解消し、心を楽にするために
もしあなたが「眠れない」という悩みを抱えているなら、まずは以下のことを試してみてください。
・規則正しい生活リズムを心がける:毎日決まった時間に起きて、太陽の光を浴びましょう。光は体内時計をリセットし、夜の自然な眠りを促します。
・就寝前のリラックスタイム:眠る前のスマホやパソコンの操作は控え、ゆったりとした音楽を聴いたり、ぬるめのお風呂に入ったりして心身をリラックスさせましょう。
・眠れないときは無理にベッドにいない:眠れず不安になったりイライラしたりするくらいなら、一度ベッドを出て、別の部屋で気分転換をしてみましょう。
しかし、これらのセルフケアだけでは改善が見られない場合は、迷わず専門家を頼ることをおすすめします。睡眠障害は、心療内科や精神科、睡眠(障害)科で治療が可能です。医師に相談することで、不眠の原因を特定し、適切な治療を受けられます。
◆まとめ
不眠は、単なる体の疲れではなく、心からのSOSかもしれません。「これくらい大丈夫」と放置せずに、まずは自分の睡眠に目を向けてみてください。睡眠とうつ病の関係を正しく理解し、早めに適切な対策をとることが、心身の健康を守る第一歩となります。
もしかしたら、長引く不眠の背景には、すでにうつ病が隠れている可能性があります。もしあなたが「もう数週間、眠れない状態が続いている」「不眠に加えて、気分が沈んだり、食欲がなくなったりした」といった症状に心当たりがあるなら、それは専門家を受診するタイミングです。
専門家はあなたの悩みに寄り添い、適切な治療法を一緒に考えます。一人で抱え込まず、安心してご相談ください。睡眠とうつ病の悪循環を断ち切り、心地よい眠りを取り戻すことで、あなたの人生はきっと明るくなります。
雨晴クリニックでは、うつ病による睡眠障害の検査・治療を行っています。どうぞお気軽にご相談ください。




