【医師監修】 「時差ボケ」はもう古い! 旅の疲れを軽減する時差症候群対策
「最近、昼夜逆転の生活が続いていて、どうも体調が優れない…」。もしかしたら、それは不規則型睡眠覚醒障害かもしれません。不規則型睡眠覚醒障害は、睡眠と覚醒のリズムが不規則になることで、さまざまな不調を引き起こす睡眠障害の一つです。
◆不規則型睡眠覚醒障害とは
不規則型睡眠覚醒障害は、睡眠と覚醒のリズムが24時間周期に同調せず、日によって眠る時刻や起きる時刻が大きく変動する障害です。
◆不規則型睡眠覚醒障害の原因・メカニズム
不規則型睡眠覚醒障害の原因は、まだ完全には解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
・体内時計の乱れ:体内時計は、睡眠と覚醒のリズムをつかさどる重要な機能です。この体内時計が、生活習慣の乱れや不規則な睡眠スケジュールによって狂ってしまうと、不規則型睡眠覚醒障害を引き起こしやすくなります。
・生活習慣の乱れ:夜更かしや朝寝坊、昼夜逆転の生活、不規則な食事時間などは、体内時計を乱す原因です。
・精神的なストレス:ストレスや不安なども、睡眠のリズムを乱す要因の一つです。
・基礎疾患:統合失調症や認知症などの精神疾患、あるいは、睡眠時無呼吸症候群などの身体疾患が、不規則型睡眠覚醒障害の原因となることもあります。
◆不規則型睡眠覚醒障害の症状
不規則型睡眠覚醒障害の主な症状は以下の通りです。
・睡眠時間の変動:眠る時刻や起きる時刻が、日によって大きく異なり安定しない。
・昼夜逆転:夜に眠れず、昼間に眠くなる。
・不眠:夜中に何度も目が覚めたり、寝つきが悪かったりする。
・過眠:日中に強い眠気を感じる。
・集中力低下:日中の集中力が続かない。
・倦怠(けんたい)感:常に体がだるく、疲労感が抜けない。
・気分の落ち込み:気分が優れず、イライラしやすくなる。
・食欲不振:食欲が低下する。
これらの症状が続くと、日常生活に支障をきたし、仕事や学業、人間関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
◆不規則型睡眠覚醒障害の検査
不規則型睡眠覚醒障害の診断には、以下の検査が行われます。
・問診:睡眠の状態や生活習慣、既往歴などを詳しく問診します。
・睡眠日誌:数週間、毎日の睡眠時間や睡眠の質を記録します。
・アクチグラフ検査:手首に装着した装置で、睡眠中の体の動きを記録します。
・終夜睡眠ポリグラフ検査:脳波や心電図、呼吸などを測定し、睡眠の状態を詳しく調べます。
◆不規則型睡眠覚醒障害の治療法
不規則型睡眠覚醒障害の治療法は、以下の通りです。
・生活習慣の改善
毎日同じ時刻に眠って、同じ時刻に起きるように心がける。
日中は太陽光を浴び、夜は明るい光を避ける。
規則正しい食生活を送り、カフェインやアルコールを控える。
適度な運動をする。
・薬物療法
睡眠導入剤や睡眠薬などを用いて、睡眠を改善する。
体内時計を調整する薬を用いる場合もある。
・光療法:高照度の光を浴びることで、体内時計を調整する。
・認知行動療法:睡眠に対する誤った考え方を修正し、正しい睡眠習慣を身につける。
◆自分でできる対処法
・規則正しい生活:毎日同じ時刻に眠って、同じ時刻に起きるように心がけましょう。
・太陽光を浴びる:朝起きたら、太陽光を浴びることで体内時計をリセットしましょう。
・夜は明るい光を避ける:就寝前はスマートフォンやパソコンの使用を控え、リラックスできる環境を整えましょう。
・適度な運動:日中は適度な運動をすることで、質の高い睡眠を得ることができます。
・カフェインやアルコールを控える:カフェインやアルコールは、睡眠を妨げる原因となります。
・リラックスできる時間:就寝前にリラックスできる時間を取りましょう。
不規則型睡眠覚醒障害は、放置するとさまざまな不調を引き起こす可能性があります。症状にお悩みの方は、専門医に相談し、適切な治療を受けることをお勧めします。このコラムが、不規則型睡眠覚醒障害について理解を深める一助となれば幸いです。
雨晴クリニックでは、不規則型睡眠覚醒障害の診療を行っています。どうぞお気軽にご相談ください。