【医師監修】 睡眠相後退症候群について知ろう!~夜更かし族必見~
■はじめに
私たちの体には、約24時間周期で変動する体内時計が備わっています。この体内時計と、地球の24時間周期(明暗サイクル)が一致することで、私たちは規則正しい睡眠・覚醒リズムを維持できます。しかし、非24時間睡眠覚醒症候群(Non-24-Hour Sleep-Wake Rhythm Disorder:N24SWD)では、この体内時計が24時間周期に同調せず、毎日少しずつ遅れていくため、睡眠・覚醒リズムが徐々にずれていきます。
■原因とメカニズム
非24時間睡眠覚醒症候群の正確な原因はまだ解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
・体内時計の周期:非24時間睡眠覚醒症候群の人は、体内時計の周期が24時間よりも長いため、地球の24時間周期に同調しにくいと考えられています。
・光の影響:光は体内時計を調整する上で重要な役割を果たしますが、非24時間睡眠覚醒症候群の人は、光に対する感受性が低い可能性があります。
・視力障害:視力障害があると、光の情報が十分に伝わらず、体内時計が乱れやすくなります。
■症状
非24時間睡眠覚醒症候群の主な症状は以下の通りです。
・入眠困難:寝つきが悪く、布団に入ってもなかなか眠れない。
・中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしまう。
・早朝覚醒:予定よりも早く目が覚めてしまい、そのあと眠れない。
・昼間の眠気:日中に強い眠気を感じ、集中力が続かない。
・気分の落ち込み:睡眠不足により、気分の落ち込みやイライラ感が生じる。
これらの症状は日によって変動し、夜間に眠れる時期と昼夜逆転してしまう時期が、交互に現れることがあります。
■検査
非24時間睡眠覚醒症候群の診断には、以下の検査が行われます。
・睡眠日誌:毎日の睡眠時間や起床時間、日中の眠気などを記録し、睡眠・覚醒リズムのパターンを把握します。
・アクチグラフ検査:手首に装着した装置で、睡眠中の体の動きを記録し、睡眠の質やリズムを評価します。
・睡眠ポリグラフ検査:脳波や心電図、筋電図などを測定し、睡眠の深さや質を詳しく調べます。
■治療法
非24時間睡眠覚醒症候群の治療法としては、以下のものが挙げられます。
・光療法:朝起きたら、明るい光を浴びることで、体内時計を24時間周期に近づけます。
・薬物療法:睡眠ホルモン「メラトニン」と同じような働きをする睡眠薬を服用し、睡眠・覚醒リズムを調整します。
・時間療法:睡眠・覚醒時間を少しずつずらしていくことで、体内時計を24時間周期に合わせます。
■自分でできる対処法
非24時間睡眠覚醒症候群の症状を緩和するために、以下の対策を試してみましょう。
・規則正しい生活:毎日同じ時刻に眠り、同じ時刻に起きるように心がけましょう。
・十分な睡眠時間:7~8時間の睡眠時間を確保しましょう。
・日中の活動:日中は適度な運動や日光浴を行い、体を活動的に保ちましょう。
・カフェインやアルコールの制限:眠る前にカフェインやアルコールをとるのは避けましょう。
■おわりに
非24時間睡眠覚醒症候群は、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。症状が続く場合は、睡眠専門医に相談し、適切な治療を受けることをお勧めします。
雨晴クリニックでは、非24時間睡眠覚醒症候群の診療を行っています。どうぞお気軽にご相談ください。