【医師監修】 「時差ボケ」はもう古い! 旅の疲れを軽減する時差症候群対策
■ 交代勤務症候群とは?
交代勤務症候群とは、夜勤や不規則な勤務時間帯での仕事に従事する人が、睡眠や体調にさまざまな不調をきたす疾患です。私たちの体には、約24時間周期の体内時計(概日リズム)が備わっており、睡眠・覚醒リズムやホルモン分泌、体温などを調節しています。しかし、交代勤務によってこの体内時計と実際の生活リズムがずれることで、いろいろな症状が現れます。
■ 交代勤務症候群の原因とメカニズム
交代勤務症候群の主な原因は、体内時計と生活リズムのずれです。人間の体内時計は、太陽光や食事、活動時間などによって調整されます。しかし、夜勤や不規則な勤務形態では、これらの調整因子が乱れ、体内時計がうまく調整できなくなります。
特に、夜勤明けに太陽光を浴びると、体内時計がさらに遅れてしまい、昼間の睡眠を妨げる原因となります。また、交代勤務によって睡眠時間が不規則になったり、睡眠の質が低下したりすることも、症状を悪化させる要因です。
■ 交代勤務症候群の症状
交代勤務症候群の症状は、主に睡眠に関するものと、その他の体調不良に分けられます。
・睡眠に関する症状
不眠:寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目が覚めるなど
過眠:日中の眠気、集中力低下、意欲低下など
睡眠の質の低下:熟睡感がない、夢をよく見るなど
・その他の体調不良
疲労感、倦怠感
食欲不振、消化不良
頭痛、肩こり
気分の落ち込み、イライラ感
集中力低下、記憶力低下
■ 交代勤務症候群の検査
交代勤務症候群の診断には、問診や睡眠日誌、睡眠ポリグラフ検査などが用いられます。
・問診:勤務時間帯や睡眠習慣、症状の程度などを詳しく尋ねます。
・睡眠日誌:数週間、毎日の睡眠時間や睡眠の質、日中の体調などを記録していただきます。
・睡眠ポリグラフ検査:睡眠中の脳波や心電図、呼吸、筋肉の動きなどを測定し、睡眠の状態を詳しく調べます。
■ 交代勤務症候群の治療法
交代勤務症候群の治療法は、薬物療法と非薬物療法があります。
・薬物療法
睡眠導入剤やメラトニン製剤などを用いて、睡眠を改善します。
・非薬物療法
生活習慣の改善:睡眠時間の確保、規則正しい生活リズム、カフェインやアルコールの制限など
光療法:高照度光を浴びることで、体内時計を調整
時間療法:少しずつ睡眠時間をずらすことで、体内時計を調整
認知行動療法:睡眠に対する考え方や行動を改善することで、睡眠の質を高める
■ 自分でできる対処法
・睡眠時間の確保: 交代勤務の合間にも、できるだけまとまった睡眠時間を確保しましょう。
・規則正しい生活: 休日も含めて、できるだけ毎日同じ時間に寝起きし、食事も規則正しく摂りましょう。
・カフェインやアルコールの制限: 寝る前にカフェインやアルコールを摂取すると、睡眠を妨げる可能性があります。
・仮眠: 短時間の仮眠は、日中の眠気対策になります。
・光療法: 朝日を浴びたり、高照度光を浴びたりすることで、体内時計を調整できます。
・運動: 適度な運動は、睡眠の質を高める効果があります。
・リラックス: 寝る前にリラックスできる時間を取りましょう。
■ おわりに
交代勤務症候群は、放置するとさまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。症状が続く場合は、専門医に相談し、適切な治療を受けることが大切です。
雨晴クリニックでは、交代勤務症候群の診療を行っています。どうぞお気軽にご相談ください。




