【医師監修】 甲状腺機能低下症と過眠:眠くて仕方ないあなたへ
■ナルコレプシーとは?
ナルコレプシーは、強い眠気に襲われ、日中に何度も眠ってしまう病気です。まるでスイッチが入ったように突然眠気が襲ってくるため、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。この病気は、脳の睡眠を司るメカニズムに異常があることが原因と考えられています。
■ナルコレプシーの原因とメカニズム
ナルコレプシーの詳しい原因は解明されていませんが、脳内の神経伝達物質であるオレキシンという物質が不足していることが関わっていると考えられています。オレキシンは、覚醒状態を維持する上で重要な役割を担っており、この物質が不足すると、眠気や過度の眠気が起こりやすくなります。
■ナルコレプシーの症状
ナルコレプシーの主な症状は、以下の通りです。
・過度の眠気:日中に強い眠気に襲われ、日常生活に支障をきたす。
・睡眠発作:突然、意識を失い数秒から数分間眠ってしまう。
・情動脱力発作:驚きや笑い、怒り、恐怖などの感情がきっかけとなって、一時的に筋力の低下が起きる。
・睡眠麻痺:眠りに入ってすぐ、または目が覚めた直後に体が動かなくなる状態。いわゆる「金縛り」。
・レム睡眠時の異常な体験:現実と区別がつかないような鮮やかな夢を見たり、寝付いた直後に幻覚を見たりする。
■ナルコレプシーの検査
ナルコレプシーの診断には、問診や睡眠検査などが行われます。睡眠検査では、睡眠中の脳波や目の動き、呼吸などを測定する「終夜睡眠ポリグラフ検査」や、昼間の眠気の強さを調べる「反復睡眠潜時検査 (MSLT)」などが行われます。大学病院などでは、脳脊髄液検査でオレキシンレベルを測定することもあります。
■ナルコレプシーの治療法
ナルコレプシーの治療には、薬物療法や生活習慣の改善などが行われます。薬物療法では、中枢性覚醒剤(モダニフィル・メチルフェニデート塩酸塩など)や睡眠薬などが用いられます。生活習慣の改善としては、規則正しい生活を送ること、昼寝を控えることなどが挙げられます。
■自分でできる対処法
ナルコレプシーと診断された場合、以下のような対処法が有効です。
・規則正しい生活:毎日決まった時間に寝て起きるようにしましょう。
・昼寝を控える:昼寝は、夜間の睡眠を妨げる可能性があるため、なるべく避けましょう。
・カフェインを控える:カフェインは、一時的に覚醒作用をもたらしますが、睡眠を妨げる可能性があります。
・危険な作業は避ける:運転や高所での作業など、眠気が危険を伴う作業は避けましょう。
・周囲の人に理解を求める:ナルコレプシーについて、家族や友人、職場の人などに理解を求めましょう。
■まとめ
ナルコレプシーは、強い眠気に悩まされる病気ですが、適切な治療を受けることで、日常生活の質を改善することができます。もし、日中に強い眠気に悩んでいる場合は、一度専門医に相談することをおすすめします。
雨晴クリニックでは、ナルコレプシーの方の診療を行っています。どうぞお気軽にご相談ください。