弁護士・司法書士・行政書士・警察・行政窓口|どこに相談すべきかの使い分け
弁護士費用の説明を受けたり、法律事務所の料金ページを見たりしていると、「経済的利益の額を基準として算定します」という一文に行き当たります。着手金も報酬金も、この「経済的利益」に一定の割合を掛けて計算される、という書き方が一般的です。
ところが、この言葉が何を指しているのかは、料金ページを読んでもはっきりしないことが少なくありません。しかも、同じ内容の事件について複数の事務所に見積もりを取ると、報酬金の金額がそろわないことがあります。割合の数字はさほど変わらないのに、総額が違ってくる。その理由の多くは、掛け算の右側にある割合ではなく、左側にある「経済的利益」の置き方にあります。
この記事では、経済的利益という言葉の意味と、それがどう計算されるのか、そしてなぜ事務所ごとに違いが出るのかを整理します。特定の事務所の料金体系を評価するものではなく、契約前に何を確認しておくと後で困りにくいか、という視点でまとめました。
「経済的利益」は弁護士費用の"かけ算の左側"
依頼によって動くお金を、ひとつの金額に置き換えたもの
経済的利益とは、おおまかに言えばその事件を弁護士に頼むことで、依頼者に入ってくる(あるいは、支払わずに済む)お金を金額に置き換えたものです。
弁護士報酬の算定方法にはいくつかの型がありますが、民事の事件で広く使われているのは、この経済的利益に一定の割合を掛ける方式です。だから、費用は次のような形で決まります。
- 経済的利益(金額に置き換えた争いの大きさ)×料率(何パーセントか)=着手金・報酬金の金額
多くの人は「何パーセントか」に注目します。しかし実際に総額を大きく左右するのは、その手前の「いくらとして数えるか」のほうです。100万円の8%と1,000万円の8%では、料率が同じでも金額は10倍違います。
なぜ手間ではなく金額を基準にするのか
弁護士の仕事量は、必ずしも争っている金額に比例しません。それでも金額を基準にする方式が広く使われてきたのは、いくつかの理由があります。
ひとつは、依頼者にとって費用の見通しが立てやすいことです。作業時間で計算する方式(時間制・タイムチャージ)だと、事件が長引いたときに総額が読みにくくなります。もうひとつは、依頼者が受け取る利益と費用の大きさが釣り合いやすいことです。少額の争いに高額の費用がかかると、依頼する意味が乏しくなってしまいます。
もっとも、この方式にも限界があります。金額に置き換えにくい争いをどう扱うか、という問題が必ず残るためです。この点は後述します。
着手金と報酬金では「経済的利益」の意味が違う
同じ言葉が、契約書の中で二度、違う意味で使われる
ここが最初のつまずきどころです。委任契約書では「経済的利益」という同じ言葉が着手金の欄にも報酬金の欄にも出てきますが、指している中身が違います。
かつて弁護士会が定めていた報酬基準では、着手金は「事件の対象となる経済的利益の額」を、報酬金は「委任事務の処理によって確保した経済的利益の額」を、それぞれ基準とすると整理されていました。この考え方は現在も多くの事務所の基準に引き継がれています。
| 費目 | 基準になる経済的利益 | 決まるタイミング |
|---|---|---|
| 着手金 | これから求めようとする額(請求する側なら請求額、請求される側なら請求されている額) | 依頼するとき |
| 報酬金 | 実際に確保できた額(認められた額、または減らせた額) | 事件が終わったとき |
言い換えれば、着手金の経済的利益は「入口の金額」、報酬金の経済的利益は「出口の金額」です。入口では見込みで数え、出口では結果で数えます。
請求額を大きくすると着手金も上がる
着手金が入口の金額で決まるということは、請求額を大きく設定すればそれだけ着手金も上がる、ということでもあります。
金銭を請求する事件では、かつての基準は利息や遅延損害金を含めた債権の総額を経済的利益とするとしていました。元本だけでなく、そこに付く利息や遅延損害金も算入されるわけです。長く放置された貸金の請求などでは、この差が無視できない大きさになることがあります。
もっとも、請求額をいくらにするかは弁護士が一方的に決めることではありません。法的な根拠のある範囲で、どこまで請求するかを相談しながら決めていくものです。着手金の金額に疑問があるときは、その前提となっている請求額の内訳を聞いてみると、話が整理されやすくなります。
金額に置き換えるルールがある
お金を請求していない事件でも、経済的利益は算出される
弁護士に依頼する事件は、お金の支払いを求めるものばかりではありません。建物を明け渡してほしい、土地の権利をはっきりさせたい、遺産の分け方を決めたい——こうした争いでも、費用は経済的利益を基準に計算されるのが一般的です。
そこで、金銭の請求でないものを金額に換算するための考え方が用意されています。かつての報酬基準には、請求の種類ごとの換算方法が細かく定められていました。現在も、これに近い内容を自らの報酬基準として掲げている事務所は少なくありません。主なものを整理すると、次のような形です。
| 請求の内容 | 経済的利益の考え方 |
|---|---|
| 金銭の請求 | 債権の総額(利息・遅延損害金を含む) |
| 継続的に発生する給付の請求 | 総額の10分の7。期間が定まらないものは7年分 |
| 賃料の増額・減額を求める請求 | 増減する額の7年分 |
| 所有権をめぐる争い | 対象となる物の時価相当額 |
| 賃借権など、他人の物を使う権利をめぐる争い | 対象となる物の時価の2分の1(権利の時価がそれを上回るときはその額) |
| 建物の所有権をめぐる争い | 建物の時価に、敷地の時価の3分の1を加えた額 |
| 共有物の分割を求める請求 | 対象となる持分の時価の3分の1(争いのある部分は、その争いの対象の額) |
| 遺産分割の請求 | 対象となる相続分の時価相当額(範囲や相続分に争いのない部分は、その3分の1) |
この表を眺めると、いくつかの発想が読み取れます。
まず、時価に一定の割合を掛けて調整している項目が多いことです。たとえば共有物分割で持分の時価の3分の1とされているのは、共有関係を解消しても、その持分の価値がまるごと新たに手に入るわけではないからです。遺産分割で、争いのない部分について3分の1に落としているのも同じ発想で、もめている部分ともめていない部分を区別しようという考え方が入っています。
次に、継続的な給付や賃料の増減額について7年分という区切りを置いていることです。将来にわたって続く利益を無限に積み上げると数字が大きくなりすぎるため、どこかで線を引く必要がある、という発想です。
この換算は「そういう決まりがある」のではなく「そういう考え方が広まっている」
注意していただきたいのは、この換算方法が現在も法令や会規で義務づけられているわけではない、という点です。
弁護士報酬の統一的な基準は2004年に廃止され、報酬額は各弁護士・各事務所が自由に定められることになりました。それでも旧基準に近い内容が今も広く使われているのは、長年の運用実績があり、依頼者にも説明しやすいからです。逆に言えば、まったく別の考え方を採用している事務所があっても、それ自体はおかしなことではありません。
金額に置き換えられない事件はどうするか
謝罪、名誉の回復、地位の確認
換算のルールをどれだけ用意しても、金額に置き換えることが難しい争いは残ります。謝罪広告を求める、名誉を回復してほしい、ある地位にあることを確認してほしい——こうした請求では、依頼者が求めているものがそもそもお金ではありません。
このような場合の扱いには、いくつかのやり方があります。
- 算定不能として扱い、一定の金額を「みなしの経済的利益」として計算する
- 経済的利益とは切り離し、あらかじめ定額を定める
- かかった時間に単価を掛ける時間制で計算する
- 関連する金額(たとえば広告の掲載料など)を手がかりに、便宜的に換算する
「800万円」という数字が出てくることがある
かつての報酬基準には、経済的利益の額を算定できないときはその額を800万円とするという定めがありました。事件の難易や手間、依頼者が受ける利益などを考慮して、協議のうえで増減することもできるとされていました。
この800万円という数字には、それ自体に法的な根拠があるわけではありません。基準を作るうえで、どこかに標準を置く必要があったための便宜的な数字です。とはいえ、現在も自らの報酬基準にこの標準額を明記している事務所は実際にあります。料金ページに「算定不能の場合は800万円を標準とします」といった記載を見かけたら、この流れを汲んだものだと考えてよいでしょう。
もし、依頼しようとしている事件が金額に置き換えにくい類型であれば、どの方法で計算するのかを最初に確認しておくことをおすすめします。定額なのか、みなしの金額を使うのか、時間制なのかで、費用の性格が大きく変わるためです。
大きすぎるとき・小さすぎるときの調整
数字が実態と食い違うことがある
ルールどおりに計算した経済的利益が、争いの実態に合わないことがあります。
たとえば、高額な不動産をめぐる争いでも、実際にもめているのはごく一部だけ、ということがあります。逆に、請求している金額自体は小さくても、その結論が出ることで依頼者に大きな影響が及ぶ、ということもあります。
調整の方向によって、扱いが同じではない
この点について、かつての報酬基準は興味深い書き分けをしていました。
- 計算した経済的利益が紛争の実態に比べて明らかに大きいときは、実態に見合うところまで減額しなければならない
- 請求の対象が紛争の一部にすぎず経済的利益が明らかに小さいとき、または解決によって依頼者が受ける実質的な利益が明らかに大きいときは、増額することができる
依頼者に有利な方向(減額)は義務、事務所に有利な方向(増額)は裁量という書き分けになっています。単なる言い回しの違いではなく、機械的な計算がおかしな結果を生んだときは下げる側に寄せるという考え方が示されているものと読めます。
現在この定めがそのまま適用されるわけではありませんが、算定された金額が実態と大きくずれていると感じたときに、調整の余地がありうる論点として話題にできることは知っておいて損がありません。
なぜ事務所ごとに計算が違うのか
2004年に統一基準がなくなった
弁護士報酬には、かつて弁護士会が定めた統一的な基準がありました。しかし、法改正に伴って2004年4月にこの基準は廃止され、報酬額は各弁護士・各事務所が自由に定めることになりました。
その結果、現在の弁護士費用は次のような状態にあります。
- 旧基準に近い内容をそのまま使っている事務所がある
- 旧基準を土台にしつつ、料率や最低額を独自に調整している事務所がある
- 分野ごとに定額制やパック料金を採用している事務所がある
- 着手金を低くする代わりに報酬金の割合を高くしている事務所がある
どれが正しいというものではありません。ただ、事務所ごとに設計が違うことが前提になっているという点は、費用を比べるうえで押さえておく必要があります。
事務所には報酬基準を備え置く義務がある
自由化されたとはいえ、まったくの野放しになっているわけではありません。
日本弁護士連合会の会規では、弁護士は報酬に関する基準を作成して事務所に備え置かなければならないとされ、その基準には報酬の種類・金額・算定方法・支払時期などを明示することとされています。また、依頼しようとする人から申し出があったときは見積書の作成・交付に努めること、受任にあたっては報酬や費用について説明すること、受任したときは報酬に関する事項を含む委任契約書を作成することも定められています。
つまり、算定方法を尋ねること自体は、依頼者に認められた当然の行動です。遠慮する必要はありません。
分岐点1|「認められた額」か「実際に回収できた額」か
同じ勝訴判決でも、報酬金の前提が変わる
ここからが、報酬金の総額を最も大きく左右する部分です。
1,000万円を請求して、1,000万円の支払いを命じる判決が出たとします。このとき報酬金の基準となる経済的利益を、どちらに置くか。
- 判決や和解で認められた金額(=1,000万円)
- 実際に相手から回収できた金額(=相手が支払った額)
相手がきちんと支払えば、どちらの置き方でも結果は同じです。問題は、判決を得ても相手が支払わないときに起きます。
「認められた額」を基準にすると何が起きるか
認められた額を基準にする設計では、判決が確定した時点で報酬金の支払い義務が生じます。相手に支払能力がなく1円も回収できなかったとしても、報酬金は発生し得る、ということです。
この設計を採る事務所には、それなりの理由もあります。弁護士の仕事は判決を得るところまでであり、相手の資力は弁護士の努力ではどうにもならない、という考え方です。実際、回収を目指すのであれば強制執行という別の手続が必要になり、そこはまた別の依頼になります。
他方で、回収できた額を基準にする運用を採る事務所もあります。判決を得ても回収できなければ依頼者にとって実質的な利益がなく、費用だけが残ってしまう、という考え方によるものです。
なお、かつての報酬基準の中にも、支払督促の手続については依頼者が具体的に回収をしたときでなければ報酬金を請求できないとする定めが置かれていました。回収を条件とする発想自体は、古くから存在していたことになります。
確認しておきたいこと
どちらの設計が優れている、という話ではありません。ただ、相手の支払能力に不安がある事件では、この違いが依頼者の負担に直結します。
相手が資産を持っているかどうかがはっきりしない、相手が既に他にも借金を抱えているらしい——こうした事情がある場合は、契約前に「報酬金は何を基準に計算されるのか」「回収できなかった場合はどうなるのか」を確認しておくことをおすすめします。
分岐点2|「総額」か「増えた分」か
すでに相手が提示していた金額の扱い
もうひとつの分岐は、相手方がすでに一定の金額を提示していた場合の扱いです。
たとえば、相手方から100万円を支払うという提示があった状態で弁護士に依頼し、交渉の結果300万円で解決したとします。このときの経済的利益をどう数えるか。
- 解決額の全体(300万円)を経済的利益とする
- 弁護士が関与したことで増えた分(200万円)を経済的利益とする
この点は事務所によって扱いが分かれます。全体を基準にするほうが報酬金は大きくなり、増えた分を基準にするほうが小さくなります。
増えた分を基準にする考え方には、「弁護士が依頼を受けなくても手に入っていた部分について報酬を受けるのは適当でない」という発想があります。一方、全体を基準にする考え方には、「提示された金額は交渉次第で撤回されうるものであり、最終的な解決額を確保したこと自体が成果である」という見方があります。
どちらの設計であっても、交渉前に相手からどのような提示があったのかを記録しておくことは意味を持ちます。後になって「もともといくら提示されていたか」が争点になると、話がこじれやすいためです。
一部だけ認められた場合・分割払いになった場合
請求の一部だけが認められた場合、報酬金の基準となる経済的利益は、原則として実際に認められた金額になります。100万円を請求して80万円が認められたのであれば、経済的利益は80万円という数え方です。請求がまったく認められなかった場合は経済的利益がゼロとなり、報酬金も発生しないのが通常の考え方です。
分割払いの合意で解決した場合は、扱いが分かれやすい場面です。合意した総額を基準にするのか、実際に支払われた分に応じて計算するのか、支払いが途中で滞ったらどうなるのか。長期の分割になる事件では、契約前に確認しておきたい点です。
分岐点3|請求される側の「減らせた額」
支払わずに済んだ金額が経済的利益になる
ここまでは主に請求する側の話でしたが、請求される側でも費用の考え方は同じ構造です。
請求される側の場合、着手金の基準は相手から請求されている額、報酬金の基準はその請求額から減らせた額になるのが一般的です。1,000万円を請求され、600万円の支払いで解決したのであれば、減らせた400万円が経済的利益という数え方です。請求が全部退けられたのであれば、1,000万円全額が経済的利益になります。
起点が相手の言い値になるという構造
この数え方には、押さえておくべき特徴があります。計算の起点が、相手が言い出した金額になるという点です。
請求する側であれば、請求額は自分の側で組み立てます。しかし請求される側は、相手がいくら請求してくるかを選べません。法的な根拠に乏しい高額な請求を受けた場合、その金額がそのまま着手金の基準になってしまうと、実態と釣り合わないことがあります。
こうした場面では、先ほど触れた「実態に比べて明らかに大きいときは減額する」という調整の考え方が意味を持ちます。相手の請求額が明らかに過大だと感じる事件では、経済的利益をどう置くかについて、受任前に相談してみる価値があります。定額での設定や、上限を設ける形など、別の組み立てを提案されることもあります。
分岐点4|手続が進むと基準が動く
交渉・調停・訴訟で扱いが変わる
同じ争いでも、どの手続で進めるかによって費用は変わります。
かつての報酬基準では、調停や示談交渉については訴訟の場合の額から3分の2まで減額できるとされ、交渉や調停から引き続き訴訟を受任するときの着手金は2分の1とするなどの調整が定められていました。話し合いの段階と裁判の段階で、労力に差があることを反映したものです。
この調整をどう設計するかも事務所ごとに異なります。交渉から訴訟に移行したときに追加の着手金がどれだけ生じるのかは、依頼の前に確認しておきたい点のひとつです。
別建てで加算される手続がある
また、本体の事件とは別に費用が生じる手続があります。
代表的なものが、財産の保全(仮差押え・仮処分)と強制執行です。かつての基準でも、これらは本体の事件と併せて受任した場合であっても、本体とは別に着手金・報酬金を受けることができるとされていました。手続として独立しており、それぞれに申立てと審理が必要だからです。
さらに、弁護士報酬は1件ごとに定めるものとされ、裁判上の事件は審級ごとに1件と数えるのが一般的な整理です。一審で終わるつもりだった事件が控訴されれば、控訴審について改めて費用が生じることがあります。裁判外の交渉が裁判に移行したときも、別の件として扱われるのが通例です。
こうした「後から増える場面」は、見積もりの段階では見えにくい部分です。どこまでが今回の依頼の範囲で、どこからが別料金になるのかを、受任範囲として書面で確認しておくと、後の食い違いを避けやすくなります。
契約前に確認しておきたいこと
経済的利益に絞って聞くべき8つのこと
費用の説明を受けるとき、割合の数字だけを聞いて終わりにすると、総額の見通しは立ちません。経済的利益の置き方について、次の点を確認しておくと理解しやすくなります。
- この事件の経済的利益は、いくらとして計算されるのか
- 着手金の基準となる金額(請求額・請求されている額)の内訳はどうなっているか
- 報酬金は「認められた額」と「実際に回収できた額」のどちらを基準にするのか
- 相手からすでに提示がある場合、その分は経済的利益に含まれるのか
- 一部だけ認められた場合、分割払いになった場合はどう計算されるのか
- 金額に置き換えにくい部分については、どの方法(定額・みなし額・時間制)で計算するのか
- 交渉から調停・訴訟に移行した場合、追加の費用はどうなるのか
- 保全や強制執行が必要になった場合は別料金になるのか
書面で残しておく
口頭の説明で納得しても、後になると記憶が食い違うことがあります。委任契約書には、受任する事件の範囲、報酬の額や算定方法、支払時期などが記載されるのが通常です。経済的利益をどう置くかは、この算定方法の部分に表れますので、契約書を受け取ったらその箇所を読み返してみてください。
書かれている内容が説明と違う、あるいは読んでもよく分からないという場合は、署名する前に質問して構いません。説明を求めることは失礼にはあたりませんし、算定方法について説明を尽くすことは弁護士の側に求められていることでもあります。
なお、費用について弁護士との間で折り合いがつかなくなったときには、所属する弁護士会に紛議調停を申し立てるという方法もあります。
おわりに
「経済的利益」は、弁護士費用の話の中でもっとも地味で、それでいて総額を決めている言葉です。料率が同じでも、この金額の置き方が違えば、支払う金額は変わります。
そして、置き方が事務所ごとに違うのは、2004年に統一基準が廃止され、それぞれが自らの基準を定めることになったからです。違いがあること自体は制度の予定するところであり、どこかが不当というわけではありません。大切なのは、自分が依頼しようとしている事務所がどの設計を採っているのかを、契約の前に把握しておくことです。
特に、相手の支払能力に不安がある事件、すでに相手から金額の提示がある事件、金額に置き換えにくい請求を含む事件では、この確認が後の納得感を大きく左右します。
費用の説明が分かりにくいと感じたときは、遠慮なく「この金額は何を基準に計算されていますか」と聞いてみてください。その一言で見通しが立つことは、決して少なくありません。


