無料法律相談はどこで受けられるか|法テラス・弁護士会・自治体・事務所の違い
弁護士に相談しようと決めたあと、多くの方が最初につまずくのが「どこで探せばよいのか」という点です。知り合いに弁護士がいる方はそう多くありませんし、検索すれば大量の事務所が出てきて、かえって決めにくくなることもあります。
弁護士を探す経路は、大きく分けて、ネット検索、ポータルサイト、知人からの紹介、弁護士会の紹介の4通りです。この記事では、それぞれの長所と短所を、実際の制度やルールに沿って整理します。どれか一つが優れているという話ではなく、置かれている状況によって使いやすい経路が変わる、という前提でお読みください。
「探し方」で変わるのは、候補の集まり方
4つの経路の一番大きな違いは、候補を絞っているのが誰かという点にあります。
ネット検索とポータルサイトは、条件を決めるのが自分自身です。自由度が高い代わりに、比較の物差しも自分で用意しなければなりません。知人紹介と弁護士会の紹介は、第三者が候補を絞ってくれます。手間は減りますが、絞り込みの基準は自分では選べません。
この違いを頭に入れておくと、それぞれの短所が「欠点」ではなく「性質」として見えてきます。
| 経路 | 候補を絞るのは誰か | 候補の幅 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| ネット検索 | 自分 | 広い(絞り込みは自力) | 分野や地域の条件がはっきりしている |
| ポータルサイト | 自分(掲載枠の中から) | 中程度 | 複数の事務所を同じ形式で見比べたい |
| 知人からの紹介 | 紹介者 | 狭い(多くは1名) | 事前に人柄や進め方を知っておきたい |
| 弁護士会の紹介 | 弁護士会 | 狭い(多くは1名) | 自分で選ぶ手がかりが乏しい |
①ネット検索|条件を自分で決められるが、表示順は実力順ではない
長所
「地域名+分野+弁護士」といった形で検索すれば、事務所の所在地、取扱分野、費用の考え方、弁護士自身が書いたコラムまで、判断材料をまとめて見ることができます。誰にも知られずに、時間帯を選ばずに調べられる点も、内容によっては重要です。
短所
注意したいのは、検索結果の上位に出ることと、その事務所が自分の件に合っていることは別だという点です。表示順は、サイトの作り方や広告の出し方によっても動きます。上位の事務所が適していることもあれば、下位に自分の件をよく扱っている事務所があることもあります。
また、初めて弁護士を探す方にとっては、書かれている情報の良し悪しを判断しづらいという難しさもあります。
事務所のサイトには共通のルールがある
あまり知られていませんが、弁護士の広告には日本弁護士連合会の規程と指針という共通のルールがあり、事務所のサイトもその対象です。これを知っておくと、書かれ方の意味が読み取りやすくなります。
- 広告には氏名(法人は名称)と所属弁護士会を表示することとされています。利用者が弁護士会に問い合わせられるようにするための決まりです
- 「専門」という表示は、判定の基準が定まらず誤解を招くおそれがあるとして、控えるのが望ましいとされています。スペシャリスト、プロといった言葉も同様です
- 一方「得意分野」は主観的な評価と分かる表現なので、規程に違反しないものとして扱われています。経験がまだ多くない分野は「積極的に取り組んでいる分野」などと書くことが望ましいとされています
- 「解決事例」「成功事例」として掲げてよいのは、実際に取り扱った事案です。想定事例やシミュレーションを解決事例として載せることは、違反広告にあたるとされています
- 他の事務所と比較した広告、結果を保証するような表現、過度に不安をあおる表現は、規程で禁止されています
つまり、「専門」と書かれていないことは、経験がないことを意味しません。逆に、断定的な表現や他事務所との比較が並んでいるサイトは、書き方そのものを一度立ち止まって見る価値があります。
②ポータルサイト|条件で絞り込めるが、掲載枠は広告である
長所
分野や地域、初回相談の有無といった条件で絞り込め、同じ形式で複数の事務所を並べて見られるのが利点です。個々の事務所のサイトを一つずつ開いて比べる手間が省けます。相談内容がはっきりしている場合には、効率のよい入口といえます。
短所
掲載されている事務所は、そのサイトに広告として掲載している事務所です。掲載順や目立ち方は、掲載プランの違いによって決まっていることが多く、実績の順位ではありません。掲載されていない事務所が劣るわけでもありません。
紹介文の分量が多い事務所ほど良く見えやすいという構造もあるため、比べる項目をあらかじめ決めておくと、印象に引きずられにくくなります。
利用者側に費用を求めるサービスには注意
弁護士を紹介するウェブサイトについては、日弁連が2018年から掲載に関する指針を設けています。ここでは、サイトの運営者が閲覧者(利用者)からお金を受け取る形態や、事件の紹介の対価と評価される支払いを受ける形態は、弁護士法が禁じる周旋にあたる疑いがあるものとして整理されています。適法な形とされているのは、掲載期間や掲載枠に応じて定額で決まる掲載料にとどまる場合です。
利用者の側から見れば、弁護士を探すサイトの利用が無料であることが通常ということになります。「弁護士を紹介します」として利用者に手数料を求めるサービスがあれば、その仕組みを確認したほうがよいでしょう。
日弁連の「ひまわりサーチ」という公的な検索
民間のポータルとは別に、日弁連と各弁護士会が共同で運営する「弁護士情報提供サービス(ひまわりサーチ)」があります。取扱業務などの条件から弁護士を検索でき、営利目的の広告枠ではない点が特徴です。
ただし限界もあります。登録は任意で、すべての弁護士が載っているわけではありません。掲載内容は各弁護士の自己申告に基づくもので、日弁連や弁護士会が内容の正確性を保証するものではないと明記されています。また「取扱業務」は取り扱う意思のある業務を指し、経験の豊富さを示すものとは限りません。あくまで候補を集めるための一覧として使うのが実際的です。
③知人からの紹介|事前の情報が得られる一方、断りにくさが残る
長所
同じような問題を実際に依頼した方からの紹介であれば、進め方や連絡の頻度、費用の説明の丁寧さなど、サイトからは読み取りにくい情報を先に知ることができます。初めて弁護士に相談する方にとって、心理的なハードルが下がりやすい経路です。
短所
一方で、次のような負担が生じることがあります。
- 相性が合わない、方針に納得できないと感じても、紹介者への気兼ねから断りづらい
- 紹介者に経過を尋ねられるのではないかと考えて、話しにくい事情を伏せてしまう
- その弁護士が、自分の件の分野を扱っているとは限らない
なお、弁護士には守秘義務があり、相談内容が紹介者に伝わることはありません。断ることを含めて、判断は相談した方自身のものです。
紹介料は禁止されている
弁護士のルール(弁護士職務基本規程13条)では、依頼者を紹介してもらったことへの謝礼を支払うことも、紹介したことへの謝礼を受け取ることも禁止されています。掲載料やコンサル料といった別の名目でも、実質が紹介の対価であれば同じ扱いです。
したがって、知人の紹介だからといって費用が上乗せされることはありません。この点は、安心して利用してよい部分です。
利益相反で受けられないことがある
相手方から先に相談を受けている場合など、弁護士法や職務基本規程が定める利益相反にあたるときは、その弁護士は事件を受けることができません。共通の知人からの紹介では、相手方とも面識があるという事情が生じやすくなります。
相談の予約時に相手方の氏名を聞かれるのは、この確認のためです。答えにくく感じる場面もありますが、後から辞任となる事態を避けるための手続きです。
④弁護士会の紹介|間口は広いが、受任が約束された制度ではない
仕組み
各地の弁護士会は、法律相談センターの運営に加えて、弁護士を紹介する窓口を設けています。たとえば東京弁護士会の弁護士紹介センターでは、インターネットやFAX、郵送で申し込み、会の側で審査と選任を行ったうえで、紹介できる場合は3〜5営業日ほどで担当弁護士から連絡が入る運用とされています。離婚、遺言相続、労働(労働者側)、消費者問題、建築紛争など、幅広い分野が対象です。
相談料は30分5,500円(税込)、延長15分ごとに2,750円(税込)が目安です。クレジット・サラ金の問題は無料、労働問題(労働者側)は初回30分のみ無料とされています。金額や運用は弁護士会ごとに異なるため、利用前に各会の案内を確認してください。
長所と短所
自分で候補を探す手がかりが乏しい場合でも、申し込めば会の側で担当者を決めてくれる点が長所です。広告の巧拙に左右されにくい入口ともいえます。
短所は、担当となる弁護士を自分で選べないことです。加えて、東京弁護士会の案内には「必ず受任してくれる弁護士を紹介する制度ではありません」と明記されており、審査の結果、紹介できない場合には3〜7営業日ほどでその旨の連絡が入るとされています。出張相談は行わないこと、扱えるのは都内の担当弁護士が対応できる国内の事件に限られることも案内されています。
「申し込めば必ず担当がつく」と考えて日程を組むと、想定が崩れることがあります。期限が迫っている場合は、この点を織り込んでおくとよいでしょう。
裁判がすでに始まっている場合の制度
あまり知られていない制度として、東京三弁護士会には民事家事当番弁護士制度があります。訴訟や調停の当事者になったものの、まだ弁護士に依頼していない方のための相談制度です。
- 裁判所に係属し、事件番号が付されている事件であること
- 事件番号が記載された書面(呼出状や受付票など)を持参すること
- まだ弁護士に依頼していないこと、かつ初回の相談であること
- 事件分野に制限はないこと
初回30分の法律相談が無料となり、そのまま依頼を希望することもできます。ただし、事案によっては弁護士を紹介できない場合があるとされています。訴状や呼出状が届いて答弁書の期限が近い、という段階では検討に値する入口です。
なお、法テラスや自治体の無料相談も入口になりますが、費用の負担者によって条件や回数、そのまま依頼できるかどうかが変わります。この点は別の記事で整理しています。
どの経路でも共通して確認したい5点
経路が違っても、最後に自分で確かめるべきことは変わりません。相談の場で次の点を聞いておくと、比較の軸がぶれにくくなります。
- その分野を扱っているか。取り扱った経験と、今回の件の進め方をどう考えているか
- 費用の内訳。着手金と報酬金の別、実費や日当、追加費用が生じる条件
- 連絡の方法と頻度。誰が窓口になり、どの手段で連絡が来るか
- 見通しの説明に、不利な事情やうまくいかない場合の話が含まれているか
- 実際に担当するのは誰か。相談した弁護士が担当するとは限らない事務所もある
特に4点目は、経験上、相性の判断に直結します。良い見通しだけを示す説明よりも、不利な材料をあらかじめ言葉にしてくれる説明のほうが、あとから食い違いが生じにくくなります。
状況別に、どこから当たるか
| 状況 | まず当たるとよい経路 | 理由 |
|---|---|---|
| 分野や地域の条件がはっきりしている | ネット検索・ポータル | 条件で絞り込め、比較がしやすい |
| 訴状や呼出状が届いている | 弁護士会(当番の制度) | 期限のある手続きに即した相談枠がある |
| 何を相談すべきかが定まらない | 弁護士会・公的窓口 | 整理そのものを相談できる |
| 同種のトラブルを解決した知人がいる | 知人からの紹介 | 進め方や費用感を事前に把握できる |
| 人に知られずに調べたい | ネット検索・ポータル | 誰にも伝わらず、時間帯も選ばない |
併用してよい。ただし早めに動く
探し方は一つに絞る必要はありません。ポータルで候補を集めつつ、弁護士会の紹介にも申し込んでおく、といった併用は問題ありません。複数の弁護士に相談し、説明を比べたうえで決めることもできます。
ただし、時間には注意が必要です。前述のとおり、相手方が先に相談している弁護士は、利益相反により受任できません。相手方と近い地域で、同じ分野を扱う事務所が限られている場合、動き出しが遅れるほど選択肢が減ることがあります。また、紹介の申し込みから連絡までには数営業日を要します。期限のある手続きを抱えている場合は、探し始める段階でその日数を見込んでおくことをおすすめします。
おわりに
4つの経路には、それぞれ性質の違いがあります。ネット検索とポータルは自由度が高い代わりに比較の物差しが必要で、知人紹介と弁護士会の紹介は手間が少ない代わりに選択の幅が狭くなります。どれが正しいということはなく、自分の状況で使いやすい経路から当たればよい、というのが実際のところです。
そして、探し方以上に結果を左右するのは、相談の場で何を確認するかです。分野の取扱い、費用の内訳、連絡の方法、不利な事情の説明、担当者。この5点を持って臨めば、どの経路から出会った弁護士であっても、判断の材料は揃います。
どこから手をつければよいか迷う段階でも、相談すること自体は可能です。事情を伺ったうえで、どの手続きが使えるか、期限がいつまでかを整理するところから始められます。


