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【エコノミークラス症候群とは?】
エコノミークラス症候群(エコノミークラスシンドローム)はエコノミークラスという狭い飛行機の座席に長時間同じ姿勢でいるコトで、(人の)あしに深部静脈血栓症が発生し、血流に乗って血栓が肺静脈の血管をふさいで肺血栓塞栓症をおこしてしまう症候群をさす。
肺血栓塞栓症の典型的な症状は、呼吸困難、胸痛、血痰、失神などであるが、最悪の場合には、死に至る。
【エコノミークラス症候群をおこす原因】
エコノミークラスばかりではなく、ビジネスクラスやファーストクラスの乗客にも起こることが報告されており、また航空機だけではなく、バスや鉄道でもおこることから、ロングフライト血栓症や旅行者血栓症という名称も提唱されている。
さらに、テレビでスポーツを長時間観戦して、発症をしたり、中越地震や3.11などでも自家用車の中で避難生活を強いられた人たちに、(人の)あしの深部静脈血栓症が生じたことが報告されている。要は長時間にふくらはぎの筋ポンプ作用が十分に働かない環境下では、深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症がおきてしまうことを意味している。
とくに飛行機の中で起こりやすいことが知られているが、その理由として飛行機機内では、一般に同じ姿勢でいる時間が長くなること、また航空機内の特有な環境(低い湿度、低い気圧、狭い座席、歩行、トイレなどの制限)があげられる。低い湿度は脱水に、低い気圧は低酸素をおこし、血栓が生じやすい環境を作ることになる。トイレに行きにくいため、水分摂取を制限する人もいるが、脱水になりやすく、血液の濃縮が生じて血栓ができやすくなる。通路側よりも窓際の席の乗客におこりやすいが、トイレに行きにくいことが関係していると考えられる。
【発症頻度】
飛行時間が3時間以下では、エコノミークラス症候群の報告はなく、長時間の飛行で起こりやすいことが知られている。
【症状】
下肢深部静脈血栓症の典型的な症状は、(人の)あしの炎症と変色ですが、全く無症状の時も少なくない。
肺血栓塞栓症をおこすと、呼吸困難、胸痛、動悸などが生ずるが、いきなり失神を起こすこともある。多くは、目的地に到着し、歩行を始めたとき(座席にて(人の)あしに血栓ができ、歩き始めると筋肉運動によって血栓が血流にのる)に発症しやすいが、飛行機旅行から1ヶ月過ぎて発症したという報告もある。
【エコノミークラス症候群をおこしやすい人】
・高齢者
・ピルを飲んでいる人
・最近ケガや病気、手術、カテーテル検査を受けた人
・大きな下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)がある人
・深部静脈血栓症に昔なった人
・悪性腫瘍のある人
【エコノミークラス症候群の予防】
1、足の筋肉を使う
マッサージとエクササイズを動画で作成しました。3時間以上のフライトの時に1時間に1セット(5回)カンタンなのでおためしくださいませ。
2、脱水に気をつける
3、ゆったりした衣服にする
血栓ができやすい人には
・弾性ストッキング
・抗凝固剤(アスピリン、ヘパリン、ワーファリン)
【参考文献】
森尾弘呂志:エコノミークラス症候群の予防。江里健輔、他(編)疑問に答える深部静脈血栓症予防ハンドブック。東京、2004、医歯薬出版、PP191-197.
大越裕文、飛鳥田一郎:エコノミークラス症候群。Medical Practice、2001、18:1230-1232。
平井正文、他:深部静脈血栓症予防における運動、弾力ストッキング、間欠的空気圧迫法の臨床応用。静脈学、2004、15:59-66.
猪田 邦雄、他:エコノミークラス症候群。足と脚の外来診療。2007、P183-185株式会社メディカルトリビューン、