相談業務の注意点とは?

寺田淳

寺田淳

テーマ:新橋事務所日記

 

【はじめに】

 相談業務を始めて10年以上が経過しました。
行政書士本来の業務以上に今の私の主業務となっています。

 今回は相談業務を取り扱う中で自分なりに意識している
注意事項について簡単に紹介したいと思います。

【俯瞰的な視点を守る】

 よく言われることですが、
将棋や碁の世界で「傍目八目」という言葉があります。
対戦中の2人よりも傍で眺めている野次馬の方が妙手を
思いつく、悪手にすぐ気づくというものがあります。

 相談業務においても似たような傾向があり、
これまで相談者が行ってきたいろいろな解決策は
傍から見ると小手先を変えただけで同じアプローチの繰り返し
というケースが多く見受けられました。
これではいくら繰り返しても結果が同じになって当たり前です。

 少しアプローチの方向性を変える、
全く違う視点で問題を最初からリサーチする等で
全く違う景色が見えてくるはずなのですが、
集中すればするほど視野は固定され狭くなっていくこと、
本人は、本人だけが気付かないのです。

 要は「この選択での解決」「この考えは不変」
といった自分中心の考えに固執しているのです。

 変な例えになりますが、
川向こうの目的地に行きたいものの
目の前は川幅が広く水深も深い地点なのに
ここから渡河することがいつの間にか目的になってしまい
上流や下流に移動して渡河を試みるという選択をしないのです。

 これは日常の商売上の取引先とのやり取りの中でも
似たような状況はよく見受けられます。

 プライベートでも仕事上でも
利害関係でない立場から見た時の景色は
客観的な判断を下すことに繋がります。

 相談者の話をしっかり聞き出すことは大切ですが、
その際には努めて客観的、俯瞰的な立ち位置に徹する事、
私は常に相談時の基本としています。

【過度な感情移入の禁止】

 相談を重ねるといかにも相談者が不平等な扱いを受けている、
相手の抜け目なさが際立っているという想いを持つことがあります。

 ですが、必ずしも相談者は真実を述べているとは限りません。
自分の都合の悪い点は概ね省いての説明が当たり前です。
または自分の過失は過少に、先方のそれは過大に表現したり
発端が常に相手側にあり自分はやむを得ず受けて立っている。

 これもビジネスの世界でもあり得ることで
自分のミスより得意先の不手際に責任転嫁するケースがあります。
失敗の責任を少しでも軽くしたいがためにさほどのミスでないものを
相手側の責任として過大に報告する等は少なくありません。

 相談の際にも話は全て聴きだしたとしても
丸呑みは禁物で、ここでも第三者の視点からの質問を発するべきなのです。
無論、同情や共感から全面的に話を信じてしまうことや
相談者の言い分に安易に全面的に同意したりすることは危険です。

 最悪の場合、
「貴方が大丈夫というから実行したのに!」
「失敗した責任は貴方のアドバイスにあるのでは?」
など等、

 責任転嫁の対象にされたり信用失墜の要因になり兼ねません。

 特に、昔馴染みや職場の同僚、以前の恩人といった
過去に特別な関係にあった、又は今も続いているような
人物からの相談はどうしても肩入れしたくなったり
否定的な意見が言い難いという傾向は否定出来ません。

 ですが、親しい関係であるからこそ
逆に公私の区別をより厳しく守るべきなのです。

 余談ですが知り合いからの依頼に
「特別料金」で受任することは開業以来一度もやっていません。
知りあいであれば、逆にキッチリ基準報酬額を提示しますし
「安くしてよ」等という相手には「他に行きますか?」程度の
警告を発するようにしています。

 いわゆる「特別扱い」「馴染みの関係」は
一度タガを緩めるとどんどん拡大解釈されるのです。
「俺のダチだから安くなるよ」「俺が口添えすれば格安だよ」
等と好き勝手に発信されるのがオチです。

【過度な依存には要注意】 

 今度は相談者側の問題となりますが、
悩んだ末の相談の結果、見事に問題や悩みが解決した場合、
相談者からすれば「感謝感激の極み」の心境になりますし
回答した側からしても達成感と自信に繋がります。

 ですがここで注意しなくてはいけないのが
「相談者に依存の兆候」が生じないように留意することです。

 ~こんな悩みを解決してくれたのだから
  他のいろいろな問題の解決も全てお願いしよう 
  自分の考えと違うが先生の言うとおりにすれば大丈夫~

 今ではAIに過度な依存するケースが問題視されていますが
絶対的な信頼は一歩間違えると完全な依存体質へ変化しがちです。

 脈絡のない問いかけに全てパーフェクトな回答を続けられれば
問題化はしませんが、事実上それは不可能でしょう。

 期待した結果が得られなかった
 明らかに自分の考えた結論の方が正しかった

 こういうことが連続で生じた場合、
一気にネガティブな評価へと変貌します。

 ~先生の言うとおりにやって失敗した
 ~先生のことを全面的に信頼していたのに!
 ~私は本当は違うのではと思っていたんだ!

 まさに見事なまでの手のひら返しです。

 あくまでも問題解決の為の最終の決断を下したのは
相談者自身であったという点を常に意識させること、
その為のサポート業務までが私の領分である、
といった一定の距離感を保って過大な期待や依存に繋がらない様
毅然とした姿勢をとることも常に意識しておきたいものです。

【終わりに】

 自分の経験からも相談業務に携わる場合、
ある程度の年齢と職歴はポイントになると思ってます。

 いろいろな過去や経験を持つ相談者の悩みに対応する為には
自分自身もそれなりの人生経験、社会生活を経ている事は
不可欠な要因と私は考えます。

 極端な話、20代の社会生活が10年にも満たない方に
60代で退職後の生活の相談をするでしょうか?
当人も知識・経験不足を自覚していれば受けないはずです。

 入社以来一貫して同じ会社、同じ仕事に従事し、
定年を迎え、その後10年以上も年金暮らしをしている方が
30代の起業・独立を目指す方に有益なアドバイスが可能でしょうか?

 相談する側からすれば
なるべく人生経験が豊富で同じような環境を経験した方
自分の目指す道の先達者、なるべく近い年齢、世代の方
からの言葉でアドバイスを受けたいと思うはずです。

 私の話になりますが、

 50代で早期退職
 180度異なる仕事を第二の仕事として選択し実行
 前職の経験を活かした営業活動で業務拡大

 こういった行動や履歴を公開したことで
同じような問題に直面した主に同世代の方々の
関心を引き、相談からの受任に繋がったことは
その後の相談者とのやり取りで確信しました。

 悩みを抱える相談者に対処出来るだけの経験と知識
さらに自信をもってアドバイスが出来る、経験があるという
強みを発揮出来る(得意)分野を絞り込んでおく事。

 相談業務を始める為には最低限この点に自信を持たない限り
業務開始は控えるべきと私は考えています。 

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

寺田淳
専門家

寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼