私的に思う業務受任の決め手とは?

寺田淳

寺田淳

テーマ:50歳からの人生


【はじめに】

 誰しも初対面の人と対面した場合、
緊張しますし、なかなか会話の口火も切り難いと思います。

 まして自身の抱える悩みや課題を
全てさらけ出す事には抵抗があって当たり前でしょう。

 初めて相談に見えた方の多くが
最初の一歩を踏み出すまでが大変だっと言います。

 そういった初めての相談者の方の多くから
相談終了後には「話し易くて安心しました。」
「勇気を出して相談してよかったです。」
といった士業冥利に尽きる言葉を頂くことがあります。

 また、私と同じ様に相談業務を取扱う同業者や
他分野の士業従事者の方の一部からは
「なかなか受任に繋がらない。」
「相談者との会話が続かない、噛み合わない。」
といった悩みを聞くこともありました。

 今回はこの初対面の相談者から業務受任を獲得する際の
基本的な注意事項について私個人の考えを紹介したいと思います。

【声・まなざし・姿勢】

 相談業務に限らずどんな仕事でも対面する場合に
声が小さいと自信の無さと受け取られますし
更に語尾があやふやとなれば不安感を生じます。
「本当にこの人に相談して大丈夫か?」
「この人も悩みを抱えながら仕事しているのか?」

 さらにまなざしが常に伏し目がちで
まともに相談者の顔を見ない、目をそらす等は
「ちゃんと話を聞いてくれているのか?」
といった不信感に繋がりますから
下手をすると途中で退席という事態もあり得ます。

 かといって睨みつけるように相談者の目を凝視しては
圧迫感が強すぎてこれも相談者が引いてしまいます。
「絶対契約するまで帰してくれないのでは?」
これも相談者退散の要因の一つとなります。

 常に正対して口元に視線を向けるようにすれば
圧迫感も与えませんし、真正面から向き合ってくれている
という信頼感や安心感にも繋がります。

 これらは案外自分一人では気付きにくいので
友人や知人に協力を仰いでチェックすることで
どこに課題があるかを正確に知ることが出来ますし
効率よく修正する事が出来るはずです。

 変に恥ずかしがって独りよがりの判断で良しとするのは
結果的には何の進展もないだけです。

 また猫背の姿勢もいい印象は与えません。
着席時でも猫背はすぐにわかります。
背もたれに寄り掛かるのは論外ですが
背筋は伸ばしておく方が好印象にはなります。

 あとここは判断が分かれますが、
ある程度話が佳境に入ったと思う際には
身を乗り出してテーブルに腕を置き、
前向きな姿勢を採ることも相談者には
熱心に聞き入ってくれているという印象に
なりますので、試してみてもいいでしょう。

【やはり見た目は大事】

 目が血走っていたり、切羽詰まったような顔つきで
初対面の方と面談するのはどんな商売でもNGです。

 そのような表情で性急に話を進めようとしたり
相手の話を先回りして結論を急くような姿勢をとれば
相手からすれば「絶対に契約させる気なのでは?」
「経営が苦しいからあんな悲壮な顔つきになるのか?」
など等、マイナスイメージしか生みません。

 相談者は外見上だけでも泰然とした態度を望みます。
「武士は食わねど~」とは言いませんが、
相談者が疑念無く相談事を話せるようにするためにも
余裕のある雰囲気造りも必須要件と私は考えています。

 もっと基本中の基本を言えば単純に身だしなみです。
目やにや無精ひげは論外ですし、寝ぐせや目の下のクマは
鏡を見る習慣をつけていれば相談者の前で恥を晒すことはありません。
初めて会う機会に見た目がこれでは即アウト宣告は確実です。

 最近は特に夏場の熱帯化によって
ラフなスタイルでの応対への理解も進んできました。
とはいえ、服装に配慮が欠かせないのは今も同じことです。

 今の季節にネクタイ・スーツとは言いませんが
特に士業従事者であれば、私の考えではありますが
やはり一定の礼儀として面談の際には単色のワイシャツや
黒か紺系のストライプ柄を選びます。

 これは初対面の方でも常連?の方でも基本は同じです。

 これも私の勝手な思い込みですが、
「さすが士業の方はこんな季節でもキチンとした服装なんだ。」 
と思ってもらう事は間接的に安心感と信頼感を高めるのではと
勝手に信じています。

【会話のタイミング】

 私はどんな相談の場合でも必ず事前に
士業にはそれぞれ専門分野が厳然と定められていること、
一例としては相続業務の中で不動産の名義変更は
行政書士業務ではないので取り扱えない等の
対応可能な範囲を相談者に伝えます。

 もう一つは事前の基本の報酬額の明示です。
初回相談は1時間まで無料の説明に始まり、
初回であっても資料の提供や代筆が発生した場合には
即有償の相談に切り替える事。
原則は1時間まで5千円という事も必ず事前に説明しています。

 相談は大原則は当方事務所での対面相談である事、
可能な限り相談者1名での相談とすること、
完全事前予約とするのでメール、電話で日程を調整する事、
諸事情で事務所来所が困難と私が判断した場合に限り、
先方へ出向いての出張相談に応じますが、その際には
別途出張相談の規定による報酬が発生すること等、
おカネに絡む話も必ず先方の了承を得てからの相談開始と
するように努めています。

 他のビジネスでもそうですが、
相談の最中や最後の段階になって
「これは対象外です」
「これはこんな前提があればの話です」
「ここからは別料金になります」等と言われて
いい気分なはずがありません。

 下手をすれば受任取消しだけでなく
ネガティブな口コミのリスクが高まります。

~そういうことは先に言ってくれないと
~なんでこの段階で言い出すんだ?
~この後も何かいきなり切り出してくるのでは?

 仮にこちらの話の内容が適切で
正しいものであったとしても
相談者を疑心暗鬼にするのは
こちら側の話し方であり、説明不足や
話す順番のミスが原因、
常に意識しておくべきことと思います。

 また、会話の注意点で最も注意すべきは
相手の話の腰を折らない事に尽きます。

 これもどんな商売でも言えることと思いますが
会話でもカスタマーファーストの徹底は必須案件です。

 話したいことは尽きるまで口に出してもらう事、
多少相談内容から脱線してきたとしても
相談者の話の腰を折るのはいい結果にはなりません。

 先にも紹介しましたが、仮に先回りして伝えた内容が
先方の話したい内容と一致していても多くの相談者は
不満に感じると言います。

 我々は占い師ではないのですから
相手の悩みを言い当ててもイメージアップにはなりません。

 目指すべきは「話させ上手」に徹する事であって
その姿勢は先方からは「聞き上手」として受け止められます。

 最後まで言いたい事を言えた、
言わせてくれたことで安心して相談出来る。
というプラスの印象を持ってもらえるのです。

 特に何回も経験して習熟した案件の場合、
つい先回りしてその案件に対するベストな回答等を
しがちですが、これも相談者の立場からすれば
消化不良や不完全燃焼を生じさせるリスク案件となり兼ねません。

 実際に聞いた話ですが
「あの件を先回りして回答してくれたのだから」
「この件もあえて言わなくても分かってくれているだろう」
と相談者が解釈して重要な事実を話さなかったことで
後日大きな問題となってしまったという事例もありました。

 全ての案件を相手に話させることが重要であって
相手の考えを先読みすることはリスクがあるという事
よく認識しておくべきと思います。 

【終わりに】

 ここまで紹介してきたことは
正直言ってごく当たり前のことばかりです。

 ですがこれがなかなか身に付いていない、
気付いていないケースが多いのも事実なのです。
 
 相談業務とは常に相手の疑問や悩みの解決に
役立つ提案や回答が求められる仕事ですが
あまりに上から目線で専門用語や業界知識を
濫用しても相談者の満足度は高くはありません。

 相談案件の中で数例でしたが部下の指導法に
悩んでいるという管理職の方は最新のマネジメント理論や
専門用語を多用して「自分が大満足の」指導をしているのに
部下に進歩や改善が期待通りになっていないというものが
ありました。

 我々の仕事でも法律用語を羅列する、
民法第何条によれば等と豊富な知識を披露する
これらも一歩間違えると「無知なあなたに教えてやる」
という姿勢に受け取られるのです。

 全然場違いな事例ですが、
接待麻雀のプロ?は卓を囲んだ場合
必ず1勝差、微妙な点差で勝つに留めるそうです。
惜しかった! いい勝負が出来た!
という印象を持ってもらえばまたお声がかかるのです。

 自慢の腕前を披露して満足したり
自分の凄さを認めてもらいたいといった
自分ファーストな麻雀では二度と席に呼ばれない。

 問題は常に「仕事が続く事」なので
接待客とほぼ互角の腕前と思ってもらうことが
最大の目的なのです。

 相談案件についても
全てを回答するよりは適宜選択肢を提示して
相談者が回答を考えて導き出すという場面を
作り出すことでさらに満足感をアップさせる。

 これもまずは話を全て聴きだす事
その為には全て胸の内を話してもらう事
その中から問題の優先順位や重要度を
お互いで確認しあって決めていくこと。

 相談者にも参加してもらって問題解決を図る。
少なくとも私の中ではこのやり方を取り始めてから
感謝のメールや手紙、あるいは彼らの口コミでの
新規の相談者の獲得が拡大したと思っています。
 

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寺田淳
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寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

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