ふぐ試験準備ーふぐ免許が「別格」とされる訳③
場所の免許、ふぐ認証書
銀座のふぐ職人、熊澤でございます。
「ここに、専任のふぐ調理師が働いていることを認証します」
と、潔い1文が書かれているだけの、シンプルな証書。
これが、東京都で、営業に ふぐをさばく事ができる場所に与えられる、認証書です。
ふぐ調理師免許(現在はふぐ取扱責任者免許)は、人に与えられる免許。
それに対して、認証書は、いわば、場所に与えられる免許です。
東京都では、この2つの免許が揃って、
店内で ふぐをさばいて 販売することが、できるようになります。
このコラムをお読みの方は、
飲食店の営業許可も、申請なさったことがない方が、ほとんどでしょうから、補足します。
通常の飲食店の営業許可は、
飲食店の内装が、ほぼ、出来上がったころ、保健所へ営業許可申請を行って、
実地検査を受けたのち、営業許可をもらう事になっています。
ふぐの認証書に際しては、
認証そのものは、条例に書かれているので、申請すればもらえるハズなのですが、
認証申請に際し、
飲食店や魚類販売業で定められている施設が整っているか、
専任のふぐ調理師が居るか、改めて実地検査されます。
この検査を受けて、晴れて、認証書が発行されます。
私共も、銀座へやって参りまして、早々に申請しました(新規申請)。
認証までの道のりは、タイヘンでした~
なにせ、ふぐの除毒をしても よい 施設を、新規に作るのですから、
タイヘンでないと、イカンのでしょうが、ネ。
以下、体験談をお話してまいります。
認証に必要なことは、至極当たり前のこと、なのですが・・・
以下、経営者の方へ、
少し前のコラムでも、ご紹介いたしましたが、
実際に、ふぐ認証を目指す、お店様のために、必要なことを並べます。
東京都ふぐ取扱所認証
<申請先>
・申請先は、所轄保健所窓口へ、必要書類を提出して審査を受ける
<申請に必要な事>
・ふぐを扱うのに、安全衛生上十分な施設と道具
(ふぐ調理の 専用冷蔵庫 専用まな板 専用区画 専用包丁 鍵付専用保管缶 等)
・食品衛生法に則った施設
(従業員専用手洗い 専用トイレ等)
・専任のふぐ調理師
(東京都または東京都が認めた自治体の免許保持者)
と、なっております。
「まっ、別に、特別なことが書いてあるわけじゃないよね」、
と、思った方。
そうです、特別に、「普通」の飲食店と違うことは、書かれていません。
以下、私の経験談を 優先するあまり、
必要な、もっと詳しい説明や、他のお店様のご苦労を、短絡してしまったら、お許しください。
チェーン店でも、大規模食堂でも、カフェさんでも、
開店する際に、保健所に出す、
「営業許可証」の申請の時は、ほぼ、同じことを書いて出します。
通常の営業許可も、難しいよ、とおっしゃる方、スミマセン。
通常は、この、営業許可証で、謳う設備は、
衛生法上は、「あった方が望ましい」という程度に書かれています。
それ以外の必要な設備を足すか、引くか、は、
立ち合いの担当者様の裁量に、任された部分が多いのです。
たとえば、カウンターだけの、小さなカフェさんに、
従業員用に、トイレを別に作るのは、タイヘンですものネ。
お店の規模や営業形態に応じて、必要な設備も、担当者様が勘案して下さる。
そんな風に、理解して宜しいものです。
そんな感じで、厳しい中にも、担当者様が、割り引いてくださる、という部分が、
「普通」は、ございます。
ところが。
10年と少し前、私が申請した、ふぐ認証書の申請(新規申請)では、
この、「担当者様割引き」が、ほぼ、なくなりました。
すると・・・!
もう、苦笑い なさっている方も、いらっしゃる、お分かりですね~
ふぐを さばくのに、
専用冷蔵庫、専用まな板、専用調理区画、専用包丁、鍵付専用保管缶。
これがあって、「当たり前」
そこまでは、ふぐを扱うから、仕方なし、と思えますが。
実は、この先が。
小さな飲食店なら、なくても、「普通」は、許されそうな、
従業員のための、専用トイレ。
これも、「当たり前」に、必要ですよ、と指摘されます。
「普通」がなくなって、「当たり前」で、チェックされる状況。
せっかく作った設備も、「不十分」、と指摘され、作り直しが続出しました。
開店日は、どんどん迫るし、許可は下りないし、
現場には、私と設備屋さんの
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~っ」 という声が、コダマします。
手洗い器については、もっと細かく、キビシくて、
「普通」、厨房内の手洗い用に、販売されている、
「ミニ陶器シンク」などは、「不十分」として、認めてもらえず、
衛生基準法通りの、デッカイ洗面器を、
従業員用トイレと、厨房への出入り専用に、用意しなおす必要が ありました。
こんな状況。
いやぁ~我ながら、よく、開店できました(笑)
そして、晴れて認証を受けると、
ほぼ、年1回、すべての基準が守られているか、訪問検査を受けます。
設備が整ったら、「人」が必要

まだまだ、まだまだ、タイヘンは続きます。
冒頭のお話のとおり、
ふぐ調理師、という「人の免許」がなければ、
認証書、という「場所の免許」は、もらえません。
「専任のふぐ調理師」ですから、1店に1名、ふぐ調理師が必須です。
ふぐ調理師が辞めてしまえば、せっかくの申請を また やり直す必要があります。
一度、認証を取った施設なら、
認証を受けたふぐ調理師を替えて、再度認証をとるのは、比較的容易ではございますが、
私のように、
店主が自ら ふぐ免許をとって、認証を受ける事も多いです。
気をつけることは、1店舗に、1名の、専任ふぐ調理師が必要、という事ですね。
同じ ふぐ調理師が、複数店舗で認証書を取っているのが発覚して、
そのすべての店舗が、認証取下げ=営業停止 になった、
なんてことも、都内で、実際にありました。
これだけキビシイ、東京都の ふぐ認証。
こうして、ふぐの事故が起きない様、厳格に守られている訳でございます。
認証を受けずに、都内で ふぐをさばいて調理販売すると、
処罰の対象になります。
申請して、審査が通るまでの間、
「私、何か悪いこと、したかな~????」
っていう気持ちに、何度も なる、と思いますが、
一度、認証をもらえると、
「当店は認証店です!!」
って、大きく自慢できること、請け合いです。
そういえば、私、このお話、あまり自慢していないですね〜
では、そのうちに、ぼちぼちと、胸を張らせて頂きます(笑)
<毎週日曜・水曜 12:30に更新します>



