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鈴木寛彦プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

母性をとり戻そう

鈴木寛彦

鈴木寛彦

テーマ:妊活と不妊症(薬局の現場から)




母性を失っているために不妊に悩むかたがふえているのかも?

不妊症でご相談にいらっしゃるかたから「他人が連れている赤ちゃんやよそのお子さんの姿を見ていると、落ち込んでしまう」と言われることがよくあります。そういうかたの中には「赤
ちゃんや子どもを見ているとつらくなるので、小さな子どもたちが集まるような場所を避けています」とおっしゃるかたもいます。よそのお子さんを見て悲しくなったり落ち込んだりするの
は、「望んでいるのに子どもが授からない」「一生懸命努力しているのになかなか妊娠しない」と悩む不妊症のかたにとって、ある意味当然といえる心情なのかもしれません。しかし、私たちは、それは不妊に悩むかた特有の気持ちだから、というだけではなく、もしかしたら現代の女性
が全般的に母性という本能を失ってしまったことも一因なのではないか、と思うのです。人間が本来持っているはずの母性を失いつつあるということも、いま、不妊に悩むかたがふえてい
る現象につながっているのではないでしょうか。
たとえば「1人目を授かるまでには苦労したが、2人目はわりと簡単に授かった」といったことをよく耳にします。これなどは、1人目の赤ちゃんを育てているうちにその女性の中にある
母性が強くなり、それが体のコンディションをととのえ、次の妊娠につながったのかもしれません。

自然にふれる、植物を育てるなどして母性を強めてみませんか。

本来、母性とは、おおらかでやさしく、赤ちゃんを包み込んで育てようとする才能で、人間の持つ本能の一つです。しかし夫の帰りがおそい、仕事の人間関係でイライラする、悩みがあって家に閉じこもりがち.…など、いつも不満をかかえてギスギス・イライラしていると母性のエネルギーはどんどん弱くなっていきます。最近はお仕事を持ちながら不妊治療にとり組むかたも少なくありません。仕事の場、「社会」は、ある意味戦場のような場所です。戦前の多くの女性のように畑を耕すのが仕事というので
あれば、それはよい運動になりますし、植物を育てることで母性につながる工ネルギーがはぐくまれていったことでしょう。しかし朝から晩まで机に向かってパソコンを打つような現代社会
の仕事では、運動不足にもなりますし、何かを育てる、慈しむという場も多くないため、母性のエネルギーも弱まるばかりです。ですから、そんな自覚のあるかたは、せめて休日だけでも自然のたっぷりある田舎に行って過ごしたり、緑のある公園に散歩に行くなどしてみてはどうでしょう。時間がないというのであれば庭やベランダなどで植物を育てたり、小動物などペットを飼って世話をするのもよいですね。日常生活でイライラした心もいやされるでしょうし、何かを育てるという体験そのものが、女性が本来持っている母性本能を強めてくれるのではないかと思うのです。

「内膜が薄く、着床しにくい」。冷えをとり循環をよくする処方で

今回ご紹介する患者さんは40才。2人目の赤ちゃんをほしいと思って約2年間で人工授精4回、体外受精1回にチャレンジ。たび直なるホルモン治療の結果、子宮内膜が薄くなっていて、医師からは受精しても着床しにくいだろうと言われたそうです。その後、ご本人がホルモン治療をつづけていくことに不安を感じ、病院での治療を中断。「漢方薬だけで赤ちゃんを授かる体質に改善していきたい」というご相談を受けたのです。このかたにいろいろ伺うと、色白で体質は冷え性、疲れやすく月経も毎回ひどい、ふだんからおなかが張りやすく便秘ぎみ、腰痛があり、腰がいつも冷えて重い感じがする、果物や甘いものが好きとのことでした。甘いものや果物など体を冷やす食品を多くとると、食物を血に変える胃腸が冷えて新陳代謝が低下し、水の循環が悪くなり体内に余分な水分をため、さらに体を冷やします。そのために下腹部の血流やホルモンの循環が悪くなっていることも、子宮内膜を海くしている要因ではないかと考えました。そこでまず腰まわりにたまっている水分を除き、下腹部をあたたまりやすくする苓姜朮甘湯を1カ月処方。すると月経痛がまったくなくなったそう。次に胃腸に力をつけながらおなかをあたためる当帰建中湯を処方したところ、みごと2カ月後に自然妊娠されました。

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鈴木寛彦
専門家

鈴木寛彦(薬剤師)

不妊専門 むつみ薬局

不妊相談に特化。個人個人の体質や体の状態に合わせて、ベストな漢方薬を処方する。卵管閉塞や多嚢胞性卵巣症候群と診断された人が妊娠した例もある。半年から1年で妊娠する人も多い。

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