死別ステップファミリーだからこそ大切にしたいこと②

平田えり

平田えり

テーマ:ステップファミリー

継親が感じる「見えないライバル」は亡くなった親

「勝てない相手」と比べてしまう苦しさ

「写真を見るたびに、自分の居場所がないように感じます。」

「子どもが亡くなったお母さんの話をすると、胸が苦しくなります。」

「命日や誕生日になると、私は家族ではないような気持ちになります。」

死別後に再婚したステップファミリーでは、このような継親の悩みを耳にすることがあります。

しかし、その気持ちは周囲にはなかなか理解されません。

「亡くなった人に嫉妬するなんて、おかしい。」

「亡くなった人なのだから仕方がない。」

そんな言葉をかけられ、自分の気持ちを飲み込んでしまう継親も少なくありません。

でも、その苦しさは決して特別なものではありません。

家族になりたいと願う人だからこそ生まれる、ごく自然な感情なのです。

「見えないライバル」がいる家族

離婚後のステップファミリーでは、元配偶者との関係に悩むことがあります。

一方、死別ステップファミリーには、もう一つの難しさがあります。

それは、「見えないライバル」の存在です。

亡くなった親は、この世にはいません。

それでも、家族の心の中には確かに存在し続けています。

写真が飾られている。

アルバムが残っている。

思い出話が語られる。

命日にはお墓参りに行く。

子どもが「お母さんはね」「お父さんはね」と話す。

そこに悪意はありません。

けれど、継親は「私はこの家族の外側にいる」と感じてしまうことがあります。

相手はもういないのに、その存在感は今も家族の中に息づいているのです。

「勝てない」と感じてしまう理由

亡くなった親は、時間とともに思い出の中で大切な存在になっていきます。

もちろん、それは自然なことです。

悲しかった出来事よりも、楽しかった思い出が心に残るようになるからです。

その結果、

「お母さんのカレーは世界一だった。」

「お父さんはいつも優しかった。」

そんな言葉を耳にすることがあります。

継親は、そのたびに、

「私は何をしてもかなわない。」

「どれだけ頑張っても比べられる。」

そんな気持ちになることがあります。

でも、本当は子どもは比較しているわけではありません。

ただ、大好きだった人を思い出しているだけなのです。

それでも苦しくなるのは、「家族になりたい」という気持ちがあるからです。

写真を隠さないという選択

「写真を片付けたほうがいいでしょうか。」

これはよく受ける質問です。

答えは、「無理に隠さなくてもいい」です。

写真は、子どもにとって亡くなった親とのつながりです。

それを突然なくしてしまうことは、「思い出もなくしてしまいなさい」と受け取られることがあります。

もちろん、継親が毎日つらい気持ちになるほどの場所に飾る必要はありません。

リビングではなく家族で話し合って場所を変えることも一つの方法です。

大切なのは、「写真を飾るか、飾らないか」ではなく、家族みんなが安心して過ごせる形を一緒に考えることです。

思い出話を止めなくてもいい

子どもが亡くなった親の話をすると、

「またその話?」

「もう昔のことだから。」

と言いたくなることがあるかもしれません。

でも、その話は過去ではなく、子どもにとって「今も大切な家族の記憶」です。

「そうだったんだね。」

「どんな人だったの?」

そんなふうに耳を傾けてもらえるだけで、子どもは安心します。

そして不思議なことに、安心して話せる環境があるほど、子どもは今の生活にも自然と目を向けられるようになります。

思い出を語ることと、新しい家族を受け入れることは、対立するものではありません。

継親にも「居場所」が必要

死別ステップファミリーでは、子どもの悲しみが注目されることが多い一方で、継親の孤独は見過ごされがちです。

継親は、自分だけ家族の思い出を共有できないことがあります。

旅行の話。

幼い頃のエピソード。

写真を見ながら笑い合う時間。

その輪の中に入れず、「ここにいていいのかな」と感じることもあるでしょう。

だからこそ、継親にも居場所が必要です。

例えば、

「今日はみんなで新しい思い出を作ろう。」

「来年の誕生日は一緒にお祝いしよう。」

「この家族で初めての旅行に行こう。」

亡くなった親との思い出を大切にしながら、今の家族だけの歴史も積み重ねていくことが大切です。

「家族の歴史」に新しいページを加える

死別ステップファミリーでは、「前の家族」と「今の家族」を別々に考えてしまいがちです。

しかし、家族の歴史は分断されるものではありません。

亡くなった親との思い出も、この家族の大切な歴史です。

そして、継親と過ごす今日という日も、新しい歴史です。

どちらかを消す必要はありません。

アルバムに例えるなら、古い写真を捨てるのではなく、新しいページを増やしていくようなものです。

ページが増えるほど、家族の物語も豊かになっていきます。

おわりに

継親が亡くなった親を「見えないライバル」と感じてしまうのは、それだけ家族を大切に思っている証です。

その気持ちを責める必要はありません。

そして、亡くなった親の存在を消そうとする必要もありません。

大切なのは、「過去」と「今」を競わせないことです。

亡くなった親を大切に思う気持ち。

今一緒に暮らす家族を大切に思う気持ち。

その両方が同じ家族の中にあっていい。

そう思えるようになると、継親も、子どもも、実親も、それぞれが安心して自分の居場所を感じられるようになります。

家族とは、「誰かの代わり」を探す場所ではありません。

それぞれが、その人らしく愛され、受け入れられる場所です。

亡くなった人への思いも、新しい家族との時間も、どちらも大切にできる家族づくりを応援しています。

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

平田えりプロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

平田えり
専門家

平田えり(カウンセラー)

NPO法人M-STEP

自身もステップファミリーやシングルマザー当事者であるカウンセラーが、「100日間カウンセリング」を実施。自信を持って自分の行動を選べる人になれるようサポートをします。不登校の悩みにも対応しています。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

ステップファミリーの家庭問題を支援するカウンセラー

平田えりプロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼