死別ステップファミリーだからこそ大切にしたいこと②
家族になるスピードは、人それぞれ
「早く家族にならなければ」と焦らなくて大丈夫
「再婚して半年になるのに、まだ子どもが心を開いてくれません。」
「家族になろうと頑張っているのに、いつまでもよそよそしいままです。」
「私の接し方が悪いのでしょうか。」
私のところには、このような相談が数多く寄せられます。
新しい生活が始まると、多くの継親や実親は「早く家族にならなければ」と考えます。
でも、その思いが強いほど、思うように関係が進まない現実に苦しくなってしまいます。
最初にお伝えしたいことがあります。
家族になるスピードに、「普通」はありません。
半年で自然な関係になる家族もあれば、3年、5年、10年という時間をかけて少しずつ信頼を育てていく家族もあります。
どちらも、間違ってはいません。
「再婚したら家族になれる」は思い込み
婚姻届を出せば夫婦になります。
住民票も一緒になります。
住所も同じになります。
でも、「家族になる」ということは、それだけでは完成しません。
子どもにとっては、それまでの人生があります。
亡くなった親との思い出があります。
悲しみがあります。
そして、「この人はどんな人なんだろう」という戸惑いもあります。
大人同士でも、信頼関係を築くには時間がかかります。
それなのに、「再婚したのだから親子になれる」と考えてしまうと、お互いに無理をすることになります。
子どもの時間と、大人の時間は違う
再婚を決めたのは大人です。
たくさん悩み、考え、「この人と一緒に生きていこう」と決断しました。
でも、子どもは同じ時間を過ごしてきたわけではありません。
「この人と家族になる」と心の準備が十分にできないまま、新しい生活が始まることもあります。
だからこそ、子どもには「慣れる時間」が必要です。
新しい家。
新しい生活。
新しい大人。
そのすべてを少しずつ受け入れていく時間です。
その時間を飛ばすことはできません。
信頼は、ある日突然できあがるものではない
「昨日までは何も話してくれなかったのに、今日は学校の話をしてくれた。」
「初めて『おかえり』と言ってくれた。」
「相談してくれた。」
信頼とは、このような小さな出来事の積み重ねです。
劇的な変化ではありません。
毎日の生活の中で、
「この人は怒鳴らない。」
「困ったときには話を聞いてくれる。」
「無理に親になろうとしない。」
そんな安心感が少しずつ積み重なり、「この人なら大丈夫」という気持ちが育っていきます。
だから、信頼には時間が必要なのです。
「変わらない存在」でいることが安心につながる
子どもは、大人が思っている以上に周囲を見ています。
機嫌が悪い日はないか。
急に怒らないか。
自分を嫌っていないか。
無意識のうちに確かめています。
だからこそ、継親にできることは、「早く仲良くなること」ではなく、「変わらない存在でいること」です。
毎朝「おはよう」と声をかける。
食事を一緒に囲む。
困ったときには手を差し伸べる。
昨日も今日も、同じように接してくれる。
その積み重ねが、子どもの安心につながります。
比べる相手は「昨日の家族」
SNSや周囲の話を聞くと、
「うちはすぐに『お母さん』って呼んでくれました。」
「家族旅行も楽しそうでした。」
そんな話を耳にすることがあります。
すると、
「うちはまだうまくいっていない。」
「何が違うのだろう。」
と不安になるかもしれません。
でも、家族を比べる必要はありません。
比べるなら、「昨日の自分たち」です。
先月より会話が増えた。
今日は一緒に笑えた。
前は言えなかった「ありがとう」が聞けた。
そんな小さな変化こそが、本当の成長です。
焦るほど、子どもも苦しくなる
「早く家族になろう。」
「もっと仲良くしよう。」
その気持ちは素敵です。
でも、それが子どもへの期待になりすぎると、子どもはプレッシャーを感じてしまいます。
「期待に応えなきゃ。」
「早く仲良くしないと。」
そう思うほど、本当の気持ちを出せなくなることがあります。
家族は、頑張って演じるものではありません。
安心して「そのままの自分」でいられる関係です。
だからこそ、焦らないことが何より大切なのです。
「ゆっくりでいい」が家族を育てる
私はこれまで、多くのステップファミリーを見てきました。
最初の数年間はぎこちなかった家族が、10年後には自然に笑い合っている姿もたくさん見てきました。
逆に、「すぐに家族になろう」と無理をしたことで、お互いに疲れ切ってしまった家族もあります。
家族には、それぞれのペースがあります。
急ぐ必要はありません。
時間をかけて育てた信頼は、簡単には揺らぎません。
だから、「まだ家族らしくない」と落ち込む必要もないのです。
家族になることに、締め切りはない
「もう○年たったのに。」
そんな言葉を、自分に向けないでください。
家族になることに、期限はありません。
「今日も同じ食卓を囲めた。」
「今日は少し話せた。」
そんな日々を重ねていくうちに、ある日ふと振り返ると、「家族になっていた」と感じる瞬間が訪れます。
家族とは、「なるもの」というより、「育っていくもの」なのかもしれません。
おわりに
死別ステップファミリーには、それぞれ違う物語があります。
悲しみの深さも、子どもの年齢も、再婚までの時間も、家族の形も、一つとして同じものはありません。
だから、家族になるスピードも一つではありません。
半年で家族らしくなる家庭もあります。
3年かかる家庭もあります。
5年、10年という時間をかけて、お互いを理解していく家庭もあります。
そのどれもが、その家族にとって大切な歩みです。
どうか、「まだ家族になれていない」と自分を責めないでください。
焦らなくても大丈夫です。
子どもも、大人も、それぞれの歩幅で前に進んでいます。
「早く家族になろう」と急ぐのではなく、「ゆっくり、一緒に育っていこう」と歩みを重ねる家族を応援しています。
家族になることは、一瞬で起こる出来事ではありません。
毎日の暮らしの中で、お互いを信頼し合いながら、少しずつ育まれていくものなのです。


