ある日本兵の戦士の状況
戦艦大和の最後 吉田満
吉田満の戦艦大和の最後を高校の授業で読んだ。
静岡工業高校の建築科の、文学的感性にはおよそ縁ないような勉強嫌いな連中がこの授業ではしんと静まり返っていたのをよく覚えている。
馴染みのない文語調の文体が独特な臨場感をまとって17、8の悪ガキたちの心に刺さった。
少年ならば誰もがっ知っている戦艦大和という世界一の戦艦の最後は、吉田満の端正な筆によって描写された艦上の地獄絵図となって、ずっしりと重く我々の心に覆いかぶさった。
あの静まり返った夏の日の教室の様子を思い出す。