ウクライナの闇
遺族会の恒例行事、靖国参拝はあいにく雨ふりだった。
遺族会の多くは遺児の皆さん。
父親が戦死している。
父親を写真でしか見たことがないという人たち。
本殿の奥に案内され皆で首を垂れる。
戦場に送られ帰ってこれなかった人たちに思いを馳せる。
私の父と母の長兄が戦死している。
父の兄の定一は中国長江の上流で。
母の長兄はニューギニアで。
写真でしか会ったことのない二人の叔父さん。
靖国に居るかいないかは問題ではない。
遺児の皆さんと思いを共にして祈りをささげることに意味があるんだと思う。
参拝が終わって、本殿の柱に抱きついてしばらく動かない人がいた。
目を伏せてその場から離れた。
毎年靖国に来て毎年あらためて父親のことを思うのだろう。
この人たちの気持ちを大切にしようといつも心に思う。
数日して、靖国神社の石柱に中国人が落書きをしたことが報道された。
落書きした人物は本国にすでに帰っており、再び彼が日本に来ない限り何もできないんだという。
落書きという軽犯罪、引き渡しの条約を結んでいない中国。
あまり大きな報道にならないけれど、これは国家と国家の国際問題としてとらえるべきではないのか。
神聖な靖国神社。いろいろなことを戦犯がらみで言われているけれど、
神聖なこの神社に、こんなことをされて、黙っていていいのか日本は。
靖国神社の柱に抱きついてしばらく動けないでいる人がいるんだ。
そんな場所をこんな風に汚されて黙っていていいのか。わが日本は。
遺児の皆さんはどんな思いでこの報道を聞いたか。
一緒に行った皆さんの顔を思い浮かべて、悔しい思いと憤りが沸き上がってきた。
国際問題にできないのか。