廃墟を考える。自然の営みが造り出す廃墟と戦争が造り出す廃墟。
これは廃墟とは言えない。なぜなら痛んでいないから。
大正11年今から100年前に作られたコンクリートの構造物がどのような品質管理をされて作られたのかとても興味深い。
それで調べてみた。
重要文化財であるから調査方向書が作成されているはずなのでその文献を読んでみたいと思った。
土木学会論文集に論文があった。
建設当時の写真なども見ることが出来た。
コンクリートはドラム型ミキサーによる現場練り。
木桶に入れて運搬しトタンで作ったシュートで流し込んだ。
基礎は堅練り、躯体は中練り。
搗き固め蛸という道具を使って、人力によって搗き固めた。
堅練りは、表面に水を呈するまで永く搗きかためよ。
中練りは相当なる搗き固めをせよ。
軟練りは十分なる搗き固めをせよ。
と文献があるという。
養生はむしろが使われた。
現在コンクリートとして極めて健全な状態を維持している。
100年たっているのにかかわらず、中性化は極めて遅い。
鉄筋は
外部 縦筋32㎜、177㎜間隔 帯筋19㎜、200㎜間隔。
内部 縦筋16㎜、177㎜間隔 帯筋13㎜、250㎜間隔。
被り厚 外部88㎜、内部95㎜。
中性化 外部20㎜、内部38㎜。
まったく腐食なく健全。
あと100年は全く問題はないだろうという。
当時の技術者に敬意を表します。