廃墟を考える。自然の営みが造り出す廃墟と戦争が造り出す廃墟。
人工物が自然の中で朽ちてゆく様子はなぜか人を引き付ける。
美しく花開いたものがいつかは枯れはてて自然に帰ってゆくのは自然の摂理であり真理である。
僕らはそこに物のあはれを感じて惹かれるのだろうか。
朽ちてゆくものに宿る美があるならば、ぼくらはその美にひかれているのか。
本当にそこに美があるのか。
崩れたコンクリートのかたまり、さびた鉄筋、腐りゆく木材。
一つ一つは決して美しいものではない。
けれどそれらが混然一体になってその姿を現すとき僕らははっとして立ち止まりそして見入る。
廃墟に宿る美。そこに美があるならば明らかにしてみたい。