街道筋の家
大正5年に建てられた家だという。
全く手つかずのまま今日まで風雨に耐えてきた屋根。
約100年ぶりに屋根替えです。
瓦を一枚づつ屋根から剥がす。
瓦の下は分厚い土。
剥がし終えた屋根はまるで畑のよう。
野菜の栽培ができそうなくらい。
瓦はこの分厚い土、粘土の上に伏せられている。
粘土がまだ柔らかいうちに上から瓦を押せえて葺いている。
だから簡単にはがせる。
よく言われたものです。雨上がりには屋根に乗るなと。
これは雨の後は粘土が柔らかくなっているので瓦がずれてしまわないための戒めでした。
それにしても降ろす手間も大変。上げた人たちはどれだけ大変だったろう。
土の下は割竹で抑えた杉皮。これを何枚か重ねて葺いてある。
その下は隙間を開けて小舞いの板を垂木に打ち付けてある。
屋根裏からは小舞の板と隙間から見える杉皮が見える。
瓦は焼き物。完全に密閉は出来ない。
大雨の時には瓦の下に雨水が回ってくる。
それを土が吸収する。
土が吸収しきれなくなった雨水は杉皮が受け持つ。
杉皮が受け持ちきれなくなった大雨の時には野地に雨水がしみてくる。
古くなった屋根は時に雨漏りもおきる。
この雨仕舞には感心します。
すべてが自然素材でそれぞれが雨仕舞の役目をしながら濡れても乾き呼吸もする。
どこかに雨水がたまって蒸れたり腐ったりしない。
だからこの家の屋根野地は100年もった。
理にかなった瓦屋の作り方を見せてもらっています。