Mybestpro Members

橋本貢プロは静岡新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

お客様が買っているのは、商品ではない【中小企業のための低予算マーケティング3】

橋本貢

橋本貢

テーマ:中小企業のための低予算マーケティング戦略


「うちは品質には自信があります。」

経営相談の現場で、よく耳にする言葉です。

実際、多くの中小企業は素晴らしい商品やサービスを持っています。

技術力もある。

品質も高い。

対応も丁寧。

価格も適正。

にもかかわらず、思うように売上が伸びない。

そんなケースは決して珍しくありません。

なぜでしょうか。

その理由の一つは、

「自分たちが売っているもの」と

「お客様が買っているもの」

が一致していないからです。

今回は、低予算マーケティングの核ともいえる「価値の捉え方」について考えてみたいと思います。

ドリルを買いに来た人が欲しいもの

マーケティングの世界で有名な話があります。

ホームセンターでドリルを買う人は、ドリルが欲しいのではない。

穴が欲しいのである。

さらに言えば、

穴が欲しいのでもない。

棚を取り付けたいのかもしれない。

家族の写真を飾りたいのかもしれない。

部屋を快適にしたいのかもしれない。

つまり、お客様は商品そのものを買っているわけではありません。

商品によって実現される未来を買っているのです。

これはあらゆる業種に当てはまります。

美容室であれば髪を切ることではなく、自分らしく過ごせる気持ちを。

工務店であれば家を建てることではなく、安心して暮らせる生活を。

税理士であれば申告書ではなく、経営への安心感を。

経営コンサルタントであれば助言ではなく、未来への見通しを。

お客様は「モノ」や「サービス」を買っているように見えて、その先にある価値を買っているのです。

商品説明ばかりの会社は選ばれにくい

中小企業のホームページやチラシを見ると、

機能

性能

特徴

スペック

価格

が並んでいることがあります。

もちろん、それらも大切です。

しかし、お客様が知りたいのは、

「それによって自分がどう変わるのか」

です。

例えば、

「創業50年の技術力」

よりも、

「急な設備トラブルにも迅速に対応し、生産停止リスクを最小限にする」

の方が価値が伝わります。

「最新設備を導入」

よりも、

「納期短縮によってお客様の事業スピードを支える」

の方が魅力的に映ります。

お客様は企業の自慢話を聞きたいのではありません。

自分の課題がどう解決されるのかを知りたいのです。

中小企業が陥る「機能競争」

価値が伝わらない会社ほど、

より高性能に。

より高品質に。

より多機能に。

という方向へ進みがちです。

しかし、この競争は終わりがありません。

競合も改良します。

新しい技術も登場します。

やがて価格競争にも巻き込まれます。

その結果、

「こんなに頑張っているのに利益が残らない」

という状況になってしまいます。

本来、お客様が評価している価値は別のところにあるかもしれないのです。

例えば、

対応の早さ。

担当者の人柄。

説明の分かりやすさ。

相談しやすさ。

地域密着の安心感。

こうした要素は、機能や性能の比較表には現れません。

しかし実際の購買行動には大きな影響を与えています。

お客様の声の中に答えがある

では、自社が本当に提供している価値はどう見つければよいのでしょうか。

最も簡単な方法があります。

それは、

お客様の声を聞くことです。

特に、

「なぜ当社を選んでくださったのですか?」

という質問には、多くのヒントが隠れています。

経営者が思っている強みと、

お客様が感じている強みは、

意外なほど違うことがあります。

例えば、

経営者は技術力だと思っている。

しかしお客様は、

「相談しやすかったから」

と答える。

経営者は価格だと思っている。

しかしお客様は、

「説明が丁寧だったから」

と言う。

このズレこそが、価値発見の入り口です。

「何を売るか」より「何を実現するか」

低予算マーケティングにおいて重要なのは、

商品を売ることではありません。

価値を伝えることです。

そして価値とは、

機能ではなく変化です。

お客様が抱える課題が、

どのように改善されるのか。

不安がどう解消されるのか。

理想の状態にどう近づくのか。

そこを語れる会社ほど、選ばれやすくなります。

なぜなら、

お客様は商品を比較しているのではなく、

未来を比較しているからです。

価格競争から抜け出す会社の共通点

価格競争に巻き込まれる会社には共通点があります。

商品説明は上手い。

しかし価値説明が少ない。

一方で、価格競争から抜け出している会社は、

何を売っているかより、

何を実現するかを語っています。

だから比較されにくいのです。

価格だけで判断されにくいのです。

そして紹介も起きやすくなります。

なぜなら、

お客様自身が価値を理解しているからです。

「この会社は安いよ」

ではなく、

「この会社に相談したら安心できたよ」

という紹介になるのです。

小さな会社ほど価値で勝負できる

大企業は大量生産が得意です。

大量広告も得意です。

しかし、

一人ひとりのお客様に寄り添うことは必ずしも得意ではありません。

一方、中小企業は違います。

顔が見える。

相談できる。

柔軟に対応できる。

社長自身が出てくる。

こうした特徴そのものが価値になります。

つまり中小企業は、

機能や価格で勝負する必要はありません。

価値で勝負すればよいのです。

そして価値とは、

お客様が得る未来です。

マーケティングとは価値を翻訳すること

マーケティングという言葉を聞くと、

広告やSNSを思い浮かべる方も多いでしょう。

しかし本質はもっとシンプルです。

お客様にとっての価値を見つけ、

分かりやすく伝えること。

それがマーケティングです。

どれだけ優れた商品でも、

価値が伝わらなければ選ばれません。

逆に、

価値が明確に伝われば、

大きな広告費をかけなくても選ばれるようになります。

低予算マーケティングとは、

限られた予算で宣伝を工夫することではありません。

自社の価値を正しく理解し、

必要な人に伝えることです。

その積み重ねが、選ばれる会社をつくります。

次回は、その価値をどのように伝えるのかについて考えます。

ホームページ。

SNS。

チラシ。

名刺。

営業活動。

実はこれらすべてに共通する重要な役割があります。

それは「売り込むこと」ではありません。

では何なのか。

次回は、中小企業が見落としがちな「信頼づくり」という視点から掘り下げていきます。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

橋本貢
専門家

橋本貢(経営コンサルタント)

しずおか経営サポート

表面的な課題ではなく、売上・組織・戦略の根本構造を見極め、本質的な打ち手を実行まで伴走支援します。経営者の意思決定に寄り添い、成果に直結する改善を行います。

橋本貢プロは静岡新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

企業の価値を言語と旋律で可視化する経営者支援のプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ静岡
  3. 静岡のビジネス
  4. 静岡の経営コンサルティング
  5. 橋本貢
  6. コラム一覧
  7. お客様が買っているのは、商品ではない【中小企業のための低予算マーケティング3】

橋本貢プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼