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全員に売ろうとする会社ほど、実は誰にも伝わらない【中小企業のための低予算マーケティング2】

橋本貢

橋本貢

テーマ:中小企業のための低予算マーケティング戦略


「うちの商品は、どなたにもおすすめできます。」

経営者の方から、この言葉を聞くことがあります。

もちろん、その気持ちはよく分かります。

自社の商品やサービスに自信があるからこそ、一人でも多くの人に届けたいと思うのは自然なことです。

しかし、マーケティングの観点から見ると、この考え方が売上拡大の大きな障害になっているケースは少なくありません。

なぜなら、「誰にでも売りたい」という考え方は、結果として「誰にも響かない」状態を生みやすいからです。

今回は、低予算マーケティングの第一歩となる「誰に売るか」について考えてみたいと思います。

中小企業にとって最大の資源不足はお金ではない

前回、「低予算マーケティングの本質は、限られた経営資源を集中させることだ」とお話しました。

ここでいう経営資源とは、お金だけではありません。

人も、時間も、情報も含まれます。

むしろ中小企業の場合、本当に不足しているのは時間と人材であることが多いのではないでしょうか。

限られた人数で営業を行い、現場を回し、経理を行い、採用も考えなければならない。

そんな状況で、

「すべての人に向けて発信する」

という戦略は、あまりにも非効率です。

限られた資源で成果を出すためには、

「誰に届けるか」

を明確にしなければなりません。

なぜ大企業は広く売れるのか

ここで一つ疑問が生まれます。

大企業は幅広い顧客を対象にしているように見えるのに、なぜ中小企業は絞り込まなければならないのでしょうか。

その理由は単純です。

大企業は広く売るための資源を持っているからです。

テレビCMを打つ。

大規模な広告を展開する。

ブランド認知を高める。

複数の商品ラインを展開する。

専門部署を設ける。

こうしたことが可能だからこそ、多様な顧客層にアプローチできます。

一方で中小企業は違います。

広告費も限られています。

営業担当も限られています。

だからこそ、

「誰に届けるか」

を明確にしなければ、すべてが薄くなってしまうのです。

「ターゲットを絞る」とは顧客を減らすことではない

ターゲット設定の話をすると、

「顧客を限定したら売上が減るのではないか」

という不安を抱く経営者も少なくありません。

しかし実際には逆です。

ターゲットを絞ることで、伝わる力が強くなります。

例えば、

「中小企業向け経営コンサルタント」

という表現と、

「社員10~50名規模の製造業・建設業経営者向けに、経営の構造課題を整理する経営コンサルタント」

という表現では、後者の方が圧倒的に具体的です。

対象者は、

「これは自分のことだ」

と感じやすくなります。

マーケティングにおいて重要なのは、たくさんの人に見られることではありません。

必要な人に、

「自分のための商品だ」

と思ってもらうことです。

まず見るべきは新規顧客ではなく既存顧客

ターゲット設定で最もおすすめしたい方法があります。

それは、

「今のお客様を分析する」

ことです。

新しい市場を探す前に、

なぜ今のお客様は自社を選んでくれたのか。

どのような課題を抱えていたのか。

何を評価してくれているのか。

ここを整理してみてください。

すると、多くの場合、共通点が見えてきます。

例えば、

・価格よりも信頼を重視している
・紹介で来ている
・地域内で活動している
・経営者が直接対応することを評価している

などです。

これらの共通点は、自社の本当の強みを示しています。

そして、その強みに共感する人こそが、今後重点的にアプローチすべき顧客層です。

売れている会社ほど「断る勇気」を持っている

興味深いことに、長く安定している会社ほど、自社に合わない案件を無理に受けません。

すべてのお客様を追いかけないのです。

なぜでしょうか。

理由は明確です。

自社が最も価値を発揮できる領域を理解しているからです。

逆に、

「どんな仕事でもやります」

という状態になると、

価格競争に巻き込まれやすくなります。

利益率も下がります。

現場の負担も増えます。

顧客満足度も下がります。

結果として、紹介も減ります。

つまり、

「誰に売らないか」

を決めることも、重要なマーケティング戦略なのです。

ターゲット設定で考えるべき3つの視点

ターゲットを考える際には、次の3つの視点が参考になります。

第一に、

「どのような人が困っているか」

です。

困りごとが大きいほど、解決への意欲も高くなります。

第二に、

「自社が最も力を発揮できる領域はどこか」

です。

競合が多い市場で戦う必要はありません。

自社ならではの強みが発揮できる場所を探します。

第三に、

「利益が残るか」

です。

売上があっても利益が残らなければ意味がありません。

低予算マーケティングとは、

売上だけでなく利益も含めて考える経営活動です。

小さな会社には小さな会社の勝ち方がある

中小企業は、大企業の真似をする必要はありません。

むしろ真似をしない方が良い場合が多いのです。

地域密着。

専門特化。

顔が見える関係。

柔軟な対応。

小回りの利く意思決定。

こうした特徴は、大企業には簡単に真似できません。

だからこそ、

「誰にでも売る」

ではなく、

「この人に選ばれる」

を目指すべきです。

顧客を絞ることは、市場を狭めることではありません。

伝わる力を高めることです。

そして、その積み重ねが紹介を生み、信頼を生み、結果として事業の安定につながります。

低予算マーケティングの第一歩は、広告でもSNSでもありません。

まず、

「誰に届けるのか」

を明確にすることです。

次回は、その続きとして、

「自社は何を売っているのか」

について考えます。

多くの会社が売っているのは商品やサービスだと思っています。

しかし、お客様が本当に買っているのは、実は別のものです。

そこが見えるようになると、価格競争から一歩抜け出すヒントが見えてきます。

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橋本貢
専門家

橋本貢(経営コンサルタント)

しずおか経営サポート

表面的な課題ではなく、売上・組織・戦略の根本構造を見極め、本質的な打ち手を実行まで伴走支援します。経営者の意思決定に寄り添い、成果に直結する改善を行います。

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