気候の変化が病をもたらす六淫のお話
風邪を引いて2-3日、脈浮で頭痛がして項が強ばり、悪寒がして発熱する場合は太陽病が病んでいます。太陽病の病気の治し方は、発汗して病邪を体外へ追いやることです。その主要な役割を担う二味の薬徴は、「麻黄・桂枝」であり、お腹をたたいて、バシャバシャ音がして喘咳があれば小青竜湯。顔が赤く、暑がりで咳をしているならば桂麻各半湯。渇があり尿不利で体痛すれば桂枝二越婢一湯。無汗で項背強ばれば葛根湯。同じく無汗で体痛、喘咳があれば麻黄湯が応じます。また、同じ太陽病であっても体力は低下し闘病反応が減弱している者は、顔赤く、のぼせて汗ばむ傾向にあり、解肌の剤桂枝湯と‘お粥‘と‘どてら‘で、しっとりとした汗をかかせて治していきます。このような方に間違って麻黄剤を出してしまうと、汗が止まらなくなり脱汗します。脱汗とは流れるような汗が出ることで、汗が止まず尿不利で手足が冷え引きつれば病は少陰病に流れて、桂枝加附子湯の出番となります。また、この証が更に深く進行し寒冷し、攣急疼痛するものは芍薬甘草附子湯であり、また、動悸、めまいするものは真武湯です。更に病が進行し陰の極、厥陰病まで行き着くと精気衰憊し、四肢厥冷し煩躁するのを治す茯苓四逆湯で起死回生をはかります。脱汗は誤治だけでなく過剰服用でも起こります。私の失敗談ですが、疲労と寝不足がたたって風邪を引き、寒さ、頭痛、咽頭痛、腰痛から麻黄湯を服用、30分後、汗が出ないことから再び麻黄湯を服用しました。その後激しい動悸に見舞われ、流れる汗が止まらず手足が冷たくなり小便が出ない。渇もない。茯苓甘草湯を急ぎ作り服用30分後、汗が止まり動悸も無くなりぐっすり眠ることが出来ました。
・・・その3につづく