漢方薬における副作用とは?
身体を温める食べ物と漢方薬
不妊症の方に漢方薬をお出しするときに、「身体を温める食べものと冷やす食べ物」についてお話することがあります。近頃、生姜が若い女性のブームになっていることでも分かるように、体を温めるものを必要としているのでしょうか。夜はビールにワイン、朝食はコーヒー一杯か、よくてパンとバナナとヨーグルト、一日中冷房のきいた部屋でパソコン仕事では熱が作られるわけが無いのです。また、ストレス社会は、絶えず脳を働かせているため上半身は熱をもち、脳の疲れを取るための砂糖や果糖の摂り過ぎは、逆に子宮や卵巣が位置するお腹を含めた下半身を冷やしていきます。陰証瘀血の持ち主が増えているのも生活スタイルの変化が影響しているのでしょう。当たり前の話ですが、漢方薬を服用するだけで全てが解決するのではなく、縄跳びの勧めと、身体を冷やす食べ物を減らし温めるものを積極的に採るように伝えています。
火照りは冷えの始まり
秋の始まりは、朝夕は肌寒い日も多くなり咽頭痛の風邪がはやり始めますが、最近では日によって30度を超えてきます。このような気温の変化は、東洋医学でいう「太陰病期の寒熱の状態」に似ています。店先の駿府城外堀に根を張る芍薬と牡丹は茶色く枯れてきます。まだまだ元気がよいのは、静岡トウキ(当帰)、安曇野キハダ(黄柏)です。また、もう少し経つと佐渡オケラ(蒼朮)が、とても可愛らしい真っ白な花を咲かせます。自家常備薬も柴胡桂枝乾姜湯から、小建中湯となるのもこの時期です。また、東洋医学では身体が冷えを感じる状態を「寒」「冷」「厥」といいます。
『太陰病期の冷え」は、日によって30度を越えるこの時期に似て、余熱のような熱感を併せ持つことがあります。身体全体は冷えているのに、例えば部分的に足の裏が焼けるように熱くなったり、掌の平が火照り冷やしたくなったり、手足両方が火照ったり、これが「太陰病期の冷え」になります。以前不妊症のお客様で、漢方を色々使うこと1年、なかなか結果に至らない方に、「靴を脱ぎたくなる、布団から足を出したくなる」との訴えを目標に八味丸1ヶ月でご妊娠された例がありました。
サンショウとショウガの漢方薬
体力が衰えはじめ熱を作る力がなくなる時期を東洋医学では「太陰病期」と言います。お年寄りの風邪で、熱を上げる力が無く37℃でひと月ぐらい患うかたがおりますが、そのような状態です。体は冷えています。胃腸を温めることがその治療法になります。
そこに働く漢方薬で山椒と生姜の入った漢方薬があります。漢方の医学書『金匱要略』に出てきます。そこには、「心胸中、大いに冷え痛み、嘔して飲食する能わず、腹中寒え、上衝して皮起こり出で見れ、頭足ありて上下し、痛みて触れ近づくべからず。」と書いてあります。心腹両方が冷えて痛む状態で、山椒と乾姜をもってその冷えをとるとあります。
身体をよく温める食べ物
身体を温める食べものでもこの両者(サンショウとショウガ)は最も温めるほうに入ります。以前に中国研修で出された癖のあるサンショウとショウガがのスープを飲んでとても元気になったことを覚えています。乾姜は、ショウガを乾燥させたものですが、それ以外に食品の柿や、生しいたけを日干しで乾燥させると温める食べ物に変わります。日に干した布団はふかふかで温かくなるように、自家製の無農薬生薬トウキも3ヶ月間半日陰にしてほどほど日にあててから湯もみを始めます。これが太陰病の温め方になります。また、身体を冷やす食べ物であっても、煮炊きして熱を加え温かいうちにいただくことや、塩押しをして日を経ていただくと身体は温まります。
東洋医学的に言いますと、山椒は、下半身のを冷えをとる働きがあり、乾姜は陽気を通わし中を温めます。
大腸憩室
お腹の痛みで来店されました。
お腹の冷えと張りが毎日辛いとの事でした。少し不眠傾向、胃のもたれがあり、めまい、胸焼け、足のむくみもありました。病院では大腸に憩室があり、それが痛みを起こすのだと言われました。サンショウとショウガの漢方薬を30日服用後、排便がスッキリして、腹痛、腹満、内痔核が少しよくなりました。長く服用していると再び症状が悪化。ニッキとシャクヤクの入った漢方薬を合わせて服用、今は痛みが出ることは殆どなくなりました。
手足の冷えと不眠不安
25歳の女性 手足の冷えと不眠不安が強いとで、近隣の先生からご紹介されご来店されました。
生理不順 立ちくらみ 排卵直前から生理前の鼠径部の腫れ がありました。また、人に気を使う性格で気が沈みやすい、音など外からの刺激に敏感でした。手足に汗をかきやすくその汗で冷えてしまい、いつもなんとなくだるく、低血圧傾向で、首凝りから来る頭痛あり、めまい、立ちくらみ、乗り物酔い、目の痙攣があり、不眠頸項で寝付きと熟睡ができません。めまい立ちくらみもひどいことから、脳髄液減少症を尋ねたら、以前に治療をされていた。ここ数年若い女性からの同じような相談が増えています。今までの生活上のストレスも多い方で、張り詰めた状態が続いていました。気持ちを落ち着かそうと甘いものの量が増えていました。お腹の冷えをとる漢方の小建中湯で1ヶ月、手足の冷えがとてもよくなり、肩の力が抜けて頭痛も起きていません。生理痛も改善され生理前の鼠径部の腫れも良くなりました。不眠不安は、半分よくなりました。
食は極端に非ず
これは私の考えです。東洋医学から学びなした。食べ物をとるに当たって一番大切なのは美味しく頂くことす。極論は長続きしません。こころのバランスを取り、落ち着いて、よく噛んで、食べることに集中することです。よくバランスよく食べると言われますが、「陰陽合わせて」は東洋医学の基本の考えです。また、風土は性格や体質を作ります。おじいちゃん、おばあちゃんのよく食べていたものを参考にすると良いのでないでしょうか。大豆や乾物、自然農法の野菜などなど、今では大変贅沢な食事となりました。そして「食」は心を込めて作ること。どんなに高価な食材よりも体が喜びそうです。お忙しい中「おにぎり」ひとつから初めてみてください。今から身体を温め、少し早い冬支度をしていきましょう。