【引き算コーチング】「やったことがない」と「できない」は違う
こんにちは、
サポートコーチ出雲の山根浩二です。
数ヶ月前のことです。
私が主催しているランチ会に、
ある会社員の方が来られました。
その方と話をしていると、
「自分の仕事って、
あまり価値がないと思うんですよね」
そんな話が出てきました。
仕事は10年以上続けている。
でも、自分では、
それほど大した仕事をしているとは
思っていない。
だから、仕事とは別に「副業の投資」に
一生懸命取り組んでいる、という話でした。
そこで、私は聞いてみました。
「ちなみに、会社ではどんな仕事を
されているんですか?」
すると、
「生産管理です」
という答え。
「ああ、生産管理なんですね」
と聞きながら、
もう少し具体的に聞いてみました。
「生産管理の中でも、
具体的にはどんなことを
されているんですか?」
すると、その方がやっている仕事が
少しずつ見えてきました。
製品ごとの販売数を予測する。
世の中の動きや需要などを見ながら、
「この製品はこれくらい売れるだろう」
と考える。
そして、
「じゃあ、この製品を何個作るのか」
という生産数を決める。
その数字をもとに、
生産工程へ仕事を落としていく。
つまり、
「何を、何個作るのか」
というところを考えているわけです。
そこで私は、
「それって、
経営者の仕事じゃないですか?」
と言いました。
もちろん、その方は会社員です。
経営者ではありません。
でも、小さな会社を想像してみると
分かりやすいと思います。
社長がいて、製造現場の人がいる。
社長が、
「この商品を今月100個作ろう」
と決める。
すると現場の人が、
「じゃあ、100個作るためには、
どういう工程にして、
どんな段取りをして……」
と考えて、実際に製品を作っていく。
そんなイメージですよね。
では、
「そもそも何を、何個作るのか」
を決めるのは誰なのか?
これは、かなり経営の根本に
近いところだと思うんです。
何を何個作るかによって、
売上も変わります。
在庫も変わります。
当然、会社の利益にも影響します。
ところが、その方は、それを10年以上、
「生産管理の仕事だから」
とやっていた。
しかも、ご本人からすると、
「会社から言われた仕事をやっているだけ」
という感覚だったんですね。
そこで、さらに話を聞いてみました。
「でも、作る数を決めるって、
外れることもありますよね?」
すると、
「もちろん外れますよ」と。
「じゃあ、外れたら怒られるんですか?」
と聞くと、
「いや、別に怒られるわけではないです」
とのこと。
予想より売れなければ、
次回は生産数を減らす。
反対に、売れた商品があれば、
その商品を増やす。
そうやって年間を通して調整していく。
なるほど。
そういうことなんですね。
私はその話を聞きながら、
「いや、それ、かなり重要な仕事ですよ」
と思っていました。
でも、ご本人にとっては、
それが当たり前なんです。
10年以上やっている。
毎日のようにやっている。
だから、
特別なことだとは思わなくなっている。
これって、仕事に限らないんですよね?
人は、自分が長年やっていることほど、
「こんなの普通ですよ」
と思ってしまいます。
自分にとっては簡単だから。
毎日やっているから。
会社から任されている仕事だから。
「誰でもできるんじゃないですか」
と思ってしまう。
でも、外から見ると
全然違うことがあります。
その仕事を経験したことがない人から見ると、
「えっ、そんなことを
判断しているんですか?」
となる。
「それって、
そんなに重要なことだったんですね」
となる。
今回の方も、話をしていく中で、
少しずつ表情が変わっていきました。
最後に感想を聞いたとき、
「新しい価値観をもらいました」
と言ってくださいました。
その言葉を聞いて、
「ああ、こういうことなんだな」
と思いました。
私が何か新しい仕事を
与えたわけではありません。
その方が10年以上やってきた仕事は、
何も変わっていない。
ただ、
見る場所が変わった。
それだけなんです。
自分の中から見ていると、
「会社から与えられた仕事」
だったものが、
少し外側から見てみると、
「会社の売上を左右する重要な判断」
に見えてくる。
同じ仕事なのに、意味が変わって見える。
私は、これもコーチングの
一つの役割だと思っています。
答えを教えることだけが
コーチングではありません。
その人がすでに持っているものを、
「別の角度から見てみる」
ことも大切なんじゃないかと思うんです。
自分のことって、
自分では案外よく分からない。
毎日やっていることだからこそ、
その価値が見えなくなっていることもある。
だから、ときには自分とは違う経験をしてきた
第三者に話してみる。
すると、
「えっ、それって普通じゃないんですか?」
と思っていたことを、
「いや、それって結構すごいことですよ」
と言ってもらえるかもしれません。
もちろん、何でもかんでも
「あなたはすごい」と
言えばいいわけではありません。
・その人が実際に何をしているのか。
・どんな判断をしているのか。
・どんな責任を担っているのか。
そこを一緒に掘り下げていく。
すると、今まで本人には見えていなかった
「仕事の価値」が見えてくることがあります。
私は、コーチとして、
こういうことを自然にやっています。
その人の中に、すでにあるもの。
でも、本人には
当たり前すぎて見えていないもの。
それを少しだけ離れたところから見て、
「これって、
こういうことじゃないですか?」
と伝えてみる。
すると本人が、
「ああ……そういうことか」
と気づく。
その瞬間って、結構いいんですよね。
何か新しいものを手に入れたわけではない。
ずっと自分が持っていたものに、
自分で気づいただけ。
でも、それだけで、
自分の仕事を見る目が変わることがあります。
そして、自分の仕事を見る目が変わると、
「じゃあ、もう少しやってみようかな」
と、仕事への向き合い方まで変わることがある。
もしかすると、
あなたにもあるのかもしれません。
・「こんなの誰でもやっている」
・「ただ会社から言われた仕事をしているだけ」
・「たいしたことはしていない」
そう思っていることが。
でも、一度くらい、
自分の仕事を少し離れたところから
眺めてみてもいいのではないでしょうか?
あなたが「当たり前」と思っているその仕事。
もしかすると、それは誰かにとっては、
「そんな重要なことをやっているんですか?」
と言われる仕事なのかもしれません。


