使っていないIT周辺機器の電源コードはコンセントから抜いたほうがいいのか、そのままでいいのか?
SDカードの不良で録画エラーに
●今年の夏は例年にない高温となっていて、各地でこれまでの最高気温を軒並み更新し、ニュースではどのメディアでも連日トップで報じています。そのせいでしょうか、ドライブレコーダーの記録失敗が相次いでいることが話題になっているそうです。実は私のドライブレコーダーも最近、SDカードの不良で録画エラーになっていました。
●なぜ、そのようなことが起きるのか、ITサポートエンジニアが実際の事例を基に検証してみたいと思います。
SDカードとドライブレコーダーの接触不良
●車載のドライブレコーダーは一般の機器と違い、車内という過酷な環境で使用されることになります。その影響で起きるトラブルの一つが接触不良の発生です。道路走行中の車は排気ガスや環境に漂う様々な化学的成分、微細な塵などにさらされやすくそれらは車内にも入ってきます。そのため建物の屋内よりも使用している機械類の劣化が進みやすくなります。
●SDカードやドライブレコーダーのスロット接点は表面に金メッキが施されています。しかし、この金メッキも万全というわけではなく、容易く接触不良を起こします。金メッキの金の含有スコアや混在している金属の成分なども影響します。安い価格の製品はこうした部分は最もコストを削ってくる部分ですから、その影響が顕著に品質に現れます。
●要するに低品質のSDカード接点は過酷な状況の車内では容易に酸化被膜ができやすくそのため接触不良も起きやすくなるわけです。なかなか認識しないSDカードの端子を接点復活剤などで掃除したらすぐに認識したりするのはその確かな証拠です。
ドラレコ本体側のSDカードスロットの問題
●格安のドライブレコーダーで多いのが、SDカードスロットの精度の問題です。品質が低いものはスロット部分の工作精度が甘く、装填したSDカードの端子と本体側端子の間に十分な接触テンションがかからないものがあります。これは中華スマ、ホタブレットにも「あるある」ですね。
●また、新品の時には問題なくても車内の温度変化が大きすぎて、膨張と収縮を繰り返す間にスロット部分に歪が生じて接触不良を招いている場合もあります。私のドライブレコーダーが実際にそうでした。
●SDカードの端子を掃除してもなかなか認識しなかったり、してもエラー表示になる場合はスロットに問題があるのかもしれません。そんな時はSDカードの端子側の反対の面に養生用のテープなどを貼って厚みを持たせ、スロットに装填すると確実に認識することがあります。
●テープの厚みの分、端子の接点にテンションがかかるので接触不良が改善するわけです。注意点は貼ったテープがスロット内に巻き込んだり取り出せなくなるような貼り方をしないことです。あまり厚いものを貼るとテープがはがれて巻き込み取り出せなくなってしまうので注意が必要です。
SDカードのトラブル対策
●SDカード自体の品質もトラブルに関係します。ですが、今年のような極端な猛暑ではカードの品質が多少良くても熱による影響は避けられない場合があります。SDカードはそもそも高温によって不安定となりやすい保存の仕組みと材質でできています。耐久性や寿命に関しては記録媒体の中でも非常に脆弱です。
●ですから、耐久性を期待して高額なSDカードを購入するといった、品質をただ上げる方法でトラブル対策を行っても根本的な解決にならない場合があります。実際にそのようなSDカードでもすぐに壊れたという事例がたくさんあります。トラブル対策は優先してまずやらなければならないことがあります。それは以下の3つです。
1.駐車中の車内の温度を下げる工夫をする
(窓をサイドバイザー半分程度、少し開けておく)
2.ドライブレコーダに直射日光が当たらないようにする
(陰になるようなもので上部を覆う)
3.冷房の冷気を直接当てないようにする
(設置場所を良く考える)
●SDカードを故障させないためには、とにかくできるだけ温度を上げないようにするということと、極端な温度変化を与えないように注意することです。冷却のつもりでドライブレコーダに向かってエアコンの風を当ててキンキンに冷やしてしまうと、エンジンを切った後ドライブレコーダは結露してしまいます。
●結露によって回路に異常が生じれば、誤作動で保存データに悪影響を及ぼします。また、温度の急激な変化で大きく膨張と収縮が繰り返されてレコーダやSDカードそのものが壊れることもあります。
ドライブレコーダの簡易整備でトラブルを防止する方法
●ドライブレコーダーも機械ですから当然整備が必要です。接触不良などを改善したり、SDカードの録画を安定させるためには日頃の手入れも必要です。とはいっても、ドライブレコーダーのどこをどう整備すればいいのでしょうか。
SDカードスロット
●SDカードスロット内はほこりや塵などで汚れている場合がありますので清掃します。
1.まず、スプレー式エアダスターなどでスロット内をエアパージします。
2.マイクロSDカードリーダや、使用しなくなった小容量のマイクロSDの接点に接点改質剤などを薄く塗って何回が出し入れします。
3.スロットの排出動作がスムーズで無いと感じたら、潤滑用シリコーンスプレーをごく少量スロット内に散布します。
4.再度カードを抜き差ししてスムーズに動作するか調べます。
SDカード自体のメンテナンス
●スロット部分の整備が終わったら、次にドライブレコーダで使用するSDカード自体をメンテナンスします。その手順は以下の通り
1.パソコンでカードリーダなどからSDカードを認識させます。
2.データが入っている場合はPC内に退避させておきます。
3.PCでSDカードのフォーマット用ソフトウェアで全域をローレベルフォーマットします。以下SDアソシエーションWebサイトよりソフトウェアがダウンロードできます。(SDアソシエーションは、業界指針となるメモリカード規格を策定する規格団体です。)
SDメモリカードフォーマッター
https://www.sdcard.org/jp/downloads/formatter_4/index.html
4.PCで通常フォーマット後、チェックディスクを行います。
5.ドライブレコーダに挿入して電源を入れ、ドライブレコーダで再度初期化します。
SDカードは耐久性が低いため消耗品と考える
●前述したようにUSBメモリやSDカードなどのいわゆるフラッシュメモリは、耐久性や寿命に関しては保存メディアとして最大のウィークポイントです。ですから日頃の使用はもちろんのこと、高温下で使用するものは完璧に消耗品扱いすることを認識をしていただき、定期的な交換を行うようにした方が良いと思います。
●その目安としては約1年です。環境次第ではそれ以下でもダメになることがあるかもしれませんので、車を発進させる前のドラレコの稼働チェックは欠かさず行いましょう。そうしないと、いざという時に役に立たないのでは何のために購入したかわからない上に搭載している意味がありません。
九州インターワークス
「パソコンとほこり」
http://www.kumin.ne.jp/kiw/hokori.htm