水没したパソコンのHDD、SSDからデータは救えるか?データが助かる要因と救出の確率を上げる方法とは

古賀竜一

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テーマ:機器と端末の管理と保守

パソコンはダメになっても、データは助かる場合がある

●夏場は災害だけでなく、窓を開けたままにして雨が降り込んだり、ジュースや麦茶を盛大にパソコンにぶちまけてしまうなど、様々な原因でパソコンが水没してしまうことがあると思います。

●水没したパソコンはほとんどの場合、基板がショートして全損となってしまうわけですが、パソコンはあきらめがついても中に入っているデータはあきらめきれないかもしれませんよね。そんな場合、パソコンのデータが保存してあるHDDは一体どうなってしまうのでしょうか?

●これまでのサポート事例などでは、水没パソコンからでもHDDからデータ復旧ができた事例が実際にあります。ですから、完全に水に浸かったパソコンでもデータはあきらめずに専門家へ相談することをお勧めします。

●しかしなぜ、水没したパソコンは基板がダメになるようなダメージを負うのに、HDDからはデータが取り出せる場合があるのでしょうか?

●それは幸運にも以下の3つの要因が関係した場合に可能になります。

HDDデータが水没から助かる3つの幸運

1.ノート型PCの場合:HDDのマウント方法

HDDはパソコン内にマウンタという物で固定されています。そのマウンタに直接装着する場合もありますが、機種によってはシールド性のあるアルミを樹脂ではさんだカバーで覆われていることがあります。それによってHDDと水との接触が限定的になって、動作に影響のない状態を維持できている場合があります。

2.ノート型PCの場合:HDDの筐体内での位置や配置部分の形

パソコン本体でHDDが格納されている位置や、HDDが収まっている部分が密閉に近かったり、水分が入りにくい構造だったりした場合も、水没による影響が少なくなりますので、データが助かる見込みは大きくなります。

3.幸運が味方した場合(ノート型PC、デスクトップPC)

上記のようなラッキーなHDDの格納状況に該当せず、HDDが完全に水没してしまったらデータが助かる見込みは非常に厳しくなります。通常のHDDは大気開放型のため、空気抜きのための開口部があります。水没すると、その開口部から水が浸入してHDD内部に入り込み、データ復旧を不可能にしてしまいます。


    ※HDDの通気口。大気に解放されている。

●ところが、何らかの要因でそこから水が浸入していないことがあります。おそらく、開口部にあるフィルタの形状や材質などが作用していると思います。また、水圧がほとんどかからない状況下にあったかもしれません。ユーザーにとっては最後のラッキーな要因と言えます。そのような理由で、完全に水没したHDDからでもデータは復旧できることがあるわけです。

しかし、このように幸運が味方したのに、水没後の対応が遅れたり間違えたりすると幸運を自ら手放してしまうことになります。幸運を手放さないためにはどのようなことが必要なのでしょうか

せっかくの幸運を自分からダメにしてしまわないためには

●水没パソコンからのデータを復旧可能にするには、次のような対応が必要です。

1.素早い初期対応と、早急な本体からのHDD抜き取り
2.徹底した乾燥(基板をはずして分解)※素人は非推奨
3.早急な専門家による診断と復旧


●水没したHDDは、基板を分離して本体との間の水分を除去し、基板の腐食を防ぐ必要があります。水分が付着した基板をそのままにしていると錆びますので、回路の端子やパターンに損傷が生じます。一刻も早い分離、乾燥が必要です。

●SSDの場合は、自分で分解、乾燥までできれば復旧の見込みがあります。しかし、殻割り(外殻ケースからの取り出し)の際に基板や端子を傷つけてしまうとその時点でジエンドとなります。やはり専門家に依頼することを推奨します。


        ※基板はすぐに本体から外して乾燥させる

●水分をふき取っただけで完全に乾燥させてない場合は、間違っても動作確認のためと言って通電してはいけません。外観は乾燥しているように見えても、水分が隙間に残っていることがあり、ショートしてしまいます。通電は十分に乾燥させてから行います。

本当に大切なデータは専門家に任せましょう

●デリケートなHDDは、家電製品とは全く異なる超精密機器です。自身で取り扱う場合は完全に自己責任となります。良くある間違いに、まず自分でやって、そして出来なかったら専門家へ・・・という判断があります。

●余程の経験があれば別でも、自分でいじくり回して余計におかしくなったHDDをどうしようもなくなって、挙句の果てに専門家に見せたところで手遅れになってしまうだけです。本当に大切なデータならば、そのような判断は禁物です。

●一億総活躍社会ですから、自分でも何かやって活躍したいというのはわかりますが、一度もやったことがないようなことをやろうとするのは無謀でしかなく、リスクが大きくなるだけです。

●あんしんできる専門家を発見することも、違う意味でスキルの一つになります。良い専門家を見極める能力もその人の見る目ですから、私と出会った方は相当見る目があると言って良いかもしれませんね。

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古賀竜一(システムエンジニア)

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ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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