機械がすぐに壊れてしまう、機械が言うことを聞かない原因と意外な事実

古賀竜一

古賀竜一

テーマ:機器と端末の管理と保守

何にもしていないのに壊れるって何かの仕業なのか?

●以前、スピルバーグ製作の「グレムリン」という映画がありました。機械にいたずらをするという西洋に伝わる妖精をヒントにしたものですが、機械に対する間違った考え方、依存などが生み出すトラブルや問題に対する風刺、警告の意味として考えられたもののようです。日本でも同じような存在としていろんな"妖怪"がいますね。海外ではコンピュータ時代の今でもグレムリンを信じる人が多いとのこと。

●これまでのITサポートの経験から、パソコンや周辺機器、モバイル機器類などを良く壊す人、機械類のトラブルを起こしやすい人というのが確かにいるようです。

●まさかグレムリンの仕業ではないと思いますが、そのような人たちが機械を取扱う際のある特徴が一因となっていることが、これまでの長年の経験から分かってきました。

●私の世代では、子供のころかつての昭和等身大ヒーロー「人造人間キカイダー」に出てくるヒール役の「ハカイダー」というのが意外に人気でした。その名前をそのままとって、機械をよく壊すような人をあいつは「ハカイダー」だ・・と揶揄したりしたものです。ハカイダーと言って通じる人は間違いなく同世代です。

●IT機器は機械の中でも精密な部類ですから故障したり、不具合が出たりすることは仕方が無いことです。しかし、トラブルがユーザーの取り扱い方そのものに原因がある場合があります。

●この問題では本人にはそのような自覚が無いばかりか、問題なく普通に使っていると思い込んでいるため、解決の難しさがあります。ですから、本人いわく「何にもしていないのにこわれた」と胸を張って答えるわけです。

●今回は、そのようにすぐに機械を壊してしまう人やなぜか機械が言うことを聞いてくれない、機械に嫌われる人の特徴をもとに、その原因と実態をご紹介します。


丁寧に扱っている「つもり」・・実はそうではない

●機械に嫌われる人の大半は機械に対して粗雑な扱いになっていることが多いようです。自身では丁寧に扱っているつもりでも、傍から見ていると結構手荒な扱いになっていることがあります。機械に嫌われる人の行為には以下のような具体的なものが散見されます。

  • ノートパソコンの液晶画面をバタンと勢い良く閉じるなど、使い方が荒い。
  • パソコン本体を移動させるとき、OSを終了させないまま引きずったり、ドン置きする。
  • コネクタ類の差込の際にあわてる、方向や角度を良く確認せず強引に挿そうとする。
  • 本体に接続したものを抜く際に強引に引っ張ったり 上下左右にこねたりする。
  • イラついてスイッチ類を何度もON、OFFを繰り返す癖がある。
  • 電池、メモリカードなどの装着、取外しが粗雑


●上記の要因に共通していることは、「短気」です。細かな作業が必要なものも多いため、手先が器用でない場合ついイラついて無意識に無理な力などが加わっていることもあります。本人は自分のそういった性格を意識していないため普通の行為と思っていますが、傍から見ているととても粗野な動作に感じます。

●特に急ぐ必要のないことでも、あせって意味なく急いだり、早くやろうとしたりすることがあるようです。その結果操作の確実性が損なわれて操作ミスや誤接続となったり、差込口などの物理的な破損などで機械にダメージが起きます。

●よくある事例としてはコネクタの種類を間違って接続してしまうということがあります。

  • USBコネクタやSDカードの方向を確認せず無理に挿そうとしてコネクタを壊す
  • 有線LANやHDMIポートにUSBコネクタを挿すなどよく確認せずに誤接続をする
  • USBの両端がAコネクタになったケーブルを使ってショートさせてしまう


●コネクタ接続は種類や方向を目視で良く確かめて、挿す場所の間違いや破損を防ぐようにしなければなりません。操作はゆっくり、あわてず、落ち着いて基本に忠実に、確実に行うことです。そうそれば機械に嫌われることなく普通にスムーズに動いてくれるようになります。

●機械にちゃんと言うことを聞かせたいのならば「短気は損気」で禁物なのです。

不適切な管理が原因

●次に、機械類の管理に問題がある場合です。前述の場合は「短気」が原因でしたが、今度は「無精」が原因のパターンです。その要因には以下のものがあります。

  • 操作や手順を飛ばす。つまり、正式な手順を踏まずに操作しようとする。
  • 画面やキーボードがゴミ、ほこりだらけになって汚れている。
  • 機械を良く落とす。ぶつける。
  • 長期間、電源を入れず放置している。
  • つい、人に貸してしまう。人と共有して使っている。




●無精が原因で多いトラブル要因としては操作や手順をショートカットしてしまうことです。面倒くさいからというので、正しい操作や手順を飛ばしてしまいがちになります。一度それで問題なかったということでたぶん大丈夫だろうと何度も繰り返すと、機械にはストレスや負荷となってダメージにつながります。

●たとえば、DVDなどのディスクをトレイに入れようとする際に中央のマウント部分にきちんと音がするまで押さえて取り付ける必要があります。デスクトップ機ならトレイからはみ出さずに乗せる必要があります。ところが、適当に置いたり取り付けたり、トレイの格納ボタンを先に押してディスクをそのあとから投げ入れるようなことをする人がいます。そんなことをすればディスクが挟み込まれたり内部に強引な形で引き込まれて出てこなくなるなど、とんでもないトラブルになってしまいます。

●また、長期間電源をいれずに放置することも機械にとっては良いことではありません。特に最近の機械類は最新のファームウェアやデータの更新が必要なものが多く、定期的に通電したほうが好ましいのです。使っていない期間が長いとそれだけ機械の寿命が延びるのではないか?というのは場合によっては間違いで、機械類は定期的な稼動によって安定を維持しやすくなります。

●それから、放置することでほこりが侵入したり、端子類の接触が経年劣化で悪くなったりします。また、内蔵電池、バッテリーが消耗したり不活性になったりします。機械類の放置はトラブルの温床になりかねませんので、気をつけましょう。

●また、友人知人へ貸したり、家族で共有して使っていると、上記で示したようなそれぞれの人の「癖」で生じる様々な影響が機械に及んでしまうことがあります。

●壊れたらまた買えばいいじゃないかと思う、余程のお金もちには無縁の話かも知れませんが、機械をできるだけ長く使いたい、環境やデータが大切だと思う方は優しく取り扱うことで、機械は必ずそれに応じて言うことを聞いてくれるようになります。人が住まなくなった家がすぐに朽ちるように、機械類も人が使わないとすぐに傷んでしまいます。

●あなたの周りにもハカイダーはいませんか?

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専門家

古賀竜一(システムエンジニア)

九州インターワークス

ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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